【熊本大学:富田 穂樽・大塚 瀬名・村川 梨花・福田 太陽】
「あったあった!」
「私もあった。良かったー」
富田 穂樽と大塚 瀬名は合格発表板に自分の受験番号が記載されているのを確認し、喜びあった。ここは熊本大学武蔵ヶ丘キャンパス。本日は前期試験の合格発表が行われている。一緒に文学部を受けた富田と大塚は一緒に熊大を訪れ、合格発表板を確認したのである。熊大に合格するのが直近の目標であったので、2人の喜びはひとしおである。特にセンター試験の点数が多少足りてなかった富田は2次試験で多少の手応えはあったが、自分的に五分五分ぐらいと感じていたのである。
「さあ、後は梨花と太陽だよね」
「多分受かってると思うけどねー」
そう言って大塚はスマホを取り出したが、大塚がかける前に着信がかかってきた。
「梨花?こっちは受かったよ。あ、梨花達も受かったんだおめー」
スマホを耳に話をしている大塚の声を聞いて、富田も大きなため息をつく。どうやら理系の2人も合格したようだ。
「うんうん、じゃあさっきの所に集合ね」
そう言って大塚はスマホを切る。富田と大塚、村川、福田は元々父親が全員冒険者であり、昔から親しい間柄である。なので、小さい頃から一緒に遊んだり何処かに行ったりする仲であり、俗に言う幼馴染ということになるのだ。
「では正門に戻りましょうか」
「そうだね。一旦黒髪に帰ってってお母さんに電話するの忘れてた」
「あ、私もだ」
合格したことが余りも嬉しく、家に合格の連絡をするのを忘れていた2人である。2人は合格した事を母親にきちんと報告した後、正門前で村川 梨花と福田 太陽と合流し、一緒に黒髪方面へ戻ることとなったのである。