【南地区レストラン:鈴木 裕司・木村 健・土屋 優子・坂井 誠・吉田 珠美・伊藤 園子】
「今日も手がかり無しやったな」
「手がかりも何も全くお手上げ状態ですな」
少しため息をつきながら発した鈴木 裕司の言葉を聞いて、土屋 優子も同じような感想を述べた。ここは午後1時過ぎの『南地区レストラン』。本日もまずますの客で賑わっている。本日午前中に探索を行った食べラー大好き部隊であったが、第6迷宮の地下4階に降りるヒントすら見つけることが出来なかった。6人はすでに食事を終え、食後のドリンクやデザートを楽しんでいるところである。
「地下3階に降りてから結構経つよな」
「このままクリアできないってのは嫌だよね」
コーヒを口に含んだ後、坂井 誠が発言し、それに伊藤 園子が感想を述べる。食べラー部隊が第6迷宮探索を始めて約1年が経つが、地下1階と地下2階は3ヶ月ずつ程度でクリアしているので、地下3階に降りてから約半年が過ぎようとしている。現在冒険者組織では1部隊だけ別格の黒髪てへトリオ部隊を除けば、自分達の部隊が1番古参となる。冒険者活動自体がかなりシステム化されていることもあり、近年では長くても5〜6年程度で冒険者を引退するものが多い。自分たちの部隊は鈴木、木村 健、吉田 珠美の38期生がもうすぐ丸8年になるので、今年の2月に引退するかどうかは非常に悩んだのである。ただ、継続を決めた以上、迷宮の探索は進めたいと考えている。
「何とか存在が確認されている地下6階までは行きたいよな」
「あわよくば地下7階以下も・・・と言ってもあるかどうかわからないけどねー。そろそろ出ましょうか」
大きく背伸びをしながら木村が感想を述べ、それに同意するように吉田も言葉を発し、全員が食事を終えているのを確認できたので、店を出るように提案した。