この一件でメンターは私の人生が変わることを教えてくれた。「感情とお金の関係」についてだ。簡単なニュアンスでしか伝えることはできないが、その学びはこのようなものだった。
人がお金を使うことの多くは不安の解消ためだ。たとえば、服や持ち物にお金をかけるのは他人からどう見られるかを気にしているからである。「ダサい人だと思われたくない」「下だと思われたくない」「貧乏に見られるのが嫌だ」こんな不安を解消するために大金を注ぎ込む。男性が女性にお金を使うのも同じことだ「ケチだと思われたくない」こんな気持ちだろう。
幸せになるためには、不安の解消のためにお金を使うのではなく、快のためにお金を使うべきである。たとえば、同じファッションにお金をかける人でも、他人からどう見られるかという不安の解消ではなく、他人に自分をどう見せたいかと考えている人では全く違うし、人からどう見られようと、自分が好きなファッションがしたいという人であれば、正しいお金の使い方となる。
そしてもう一点、大事なポイントとしては罪悪感なくお金を使っているかも幸せになれるのかどうかの大きなポイントである。たとえば、いくらファッションを心から好きな人であっても、借金をしてまで服を買うと幸せになることはできない。そこには罪悪感があるからだ。もう一人の自分は借金をしてまで買うべきではないと自分に語りかけてくる。しかし、もう一方の自分は自分を幸福にしたいためにお金を使いたいと語りかけてくる。そのせめぎ合いの中でお金を投じたとしても、決して幸せになることはない。
罪悪感を背負ったままお金を使うと、満足度が劇的に下がる。自分自身はファッションが好きなはずなのに、欲しかったものを買ったとしても心のどこかで満足できない。だから心が満たされるはずだと信じて、また別のものが欲しくなるというループに陥ることになる。
こうなってしまうと、幸せを求めるためにお金を使っているのではなく、欲しいものを手に入れても満足できない自分自身に対しての不安の解消でお金を使うことになってしまうのだ。この考え方を理解するまでに私自身も何年もかかった。だから、この文章を読んだだけで理解できた気にならないようにしてほしい。何度も何度も読み返し、自分自身のこれまでの行動と感情と照らし合わせて答えを少しずつ見つけてほしい。
では、今回の私のケースに当てはめて考えてみよう。