静寂の中に燃ゆる心

町の高台にひっそりと佇む静かなお寺。

遠くから見ると、まるでその山が燃えているかのように鮮やかな紅葉でした。

山門をくぐったら、きっと別世界が待っているに違いない。
そんな予感でいっぱいになって、一歩ずつ前に進む。

想像を絶する美しさ。
いったいこの木には、どれだけの年月が流れているのかしら。

茜色と黄色のコントラストが鮮やかに。
どちらも華やかな色の競演。

そうかと思えば、落ち着いた侘び寂びの世界に迷い込んでしまったり・・・。

緋色に染まったもみじの葉。
どこにいても画になってしまう色と形。

鎌倉の杉本寺を思い出すような、苔むしてすり減った階段。

こんなところでお昼寝ですか？
「三年寝太郎」という昔話を思い出した。
きっと世の中を良くするために、何かを考えているのでしょう。

春の新緑かしらと錯覚しそうな、
そんな汚れのない緑の隙間から見える紅葉も新鮮に。

途中、にっこり微笑みかけるお地蔵さん。
両手に抱えた蓮の花。
「幸せをどうぞ」と差し出されているよう。

そんな健気なお地蔵さんを見守る緑のもみじ。

美しいものには、近づきたくなるのが人の心理。

後ろの御影石にうっすら写った姿も無視できない。

黄色のもみじ。
星を散りばめたようにも見えてきて・・・

紅葉トンネルをゆっくり歩く。

どこを歩いても緋色の世界。

目の覚めるような鮮やかさ。

こちらは、
「幸せになりますように」と祈ってくれて

ゆっくり流れる時間とやさしさに包まれて、心から癒される。

思わず、もみじに願いをかけたくなるほどに・・・

遥か遠くの山を眺めてなお一層、清々しい自分を取り戻し

眼下に走る鉄道も赤に黄に緑にと、もみじをイメージしたのかも・・・。

まだ、これから色を染めるのね・・・
せっかくだから、少しでも長く愛でていられますように。

それほど広いお寺ではないのに、
ずいぶん長い時間を過ごしてしまっていました。

帰り道、
川沿いの紅葉も色濃くなるまでに、もう少し・・・

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