今回が坂野家レポートの最後になります。
廊下から見えた月波楼の2階。
窓の上の方に、巻上げ式の日除けがついています。
当時では珍しいそうです。
月波楼は、
大正9年(1920)に大口村(現坂東市大口)の棟梁の手により建てられたもので、
近代和風建築として価値の高いものだそうです。
主屋とはまたちょっと違った雰囲気でモダンな感じです。
離れの廊下に来てみると、急に違う時代に突入した感じがします。
懐かしい鍵です。
これはねぇ、ずっと使っていると時々、廻しても廻しても空回りするようになってしまうことがあるんですよね。
そして、このガラス。
薄さがわかりますでしょうか?
昔使われていた窓ガラスで、全て手作りだそうです。
表面の少し歪んだ感が、ガラスの柔らかさを感じます。
こちらは、浴室です。
お洒落ですね。
珍しいタイル張りだったり、天井は湯気が出ていくように換気のことも考えて作られています。
仲間由紀恵さんと阿部寛さんが出演していた「トリック」というドラマの撮影にも使われたそうです。
脱衣所兼洗面所まで設計されているなんて、すごいですね。
浴室の床が見えますが、これもお洒落~。
オルガンがあるのにも驚きです。
それも、ペダル式です。
向こう側に小部屋と階段があります。
オルガンのところから見えたお部屋です。
階段のすぐ脇になるので、女中部屋かな?とも思いましたが、そうでもなさそうです。
どのような部屋として使用していたのかわかりませんが、部屋の中には大きな金庫がありました。
なので、女中部屋ではないですよね。
こちらが、その金庫です。
といったところで、横の階段を上がりましょう。
かなり急勾配になっています。
2階の窓には腰かけまであります。
この欄間も、かなり凝った模様になっているのが特徴らしいです。
この奥には、またトイレがあります。
この時代で2階にトイレを設置しているのも、珍しいことだそうです。
時代の先端を行ってたのですね~。
2階の窓からは鳥居と土蔵が見えます。
敷地内に鳥居があるなんて、ほんとに広いのだと実感します。
これがメインである月波楼のお部屋です。
襖の画について、説明してくださっていたのですが、
ちょっと別の所に離れていてよく聞き取れませんでした。
(今になって後悔・・・)
ここには、数多くの書画作品が遺されていて、
この月波楼と書かれた扁額は、中村不折(なかむらふせつ)の作品のようです。
他にも、梁川星巌(やながわせいがん)の「星巌先生月波楼誌」や、12代当主行斎が明治期にまとめた「月波楼遺稿」などが遺されているようです。
幕末の11代当主坂野耕雨と明治期にかけての12代当主坂野行斎は、文人当主として名高かったこともあって、江戸(東京)をはじめ各地の著名な文人墨客がここに集い、交流・創作活動が行われていたそうです。
当時、坂野家は常総地域の文化活動の中心でもあったということですね。
この日が寒くなければ、
もっとゆっくりと見学してきたかったのですが、
あまりに寒く、先を急いでいたこともあって、急ぎ足の見学になってしまいました。
帰る時に気づいたのですが、
出入り口のところの階段を利用して引出しになっています。
昔の建物は、あらゆるところに工夫がなされているのですね。
帰りに少しだけ庭を見ることにしました。
外に出るとすぐ左側に物置のような建物がありました。
唐箕(とうみ)。
穀物に混ざるゴミやもみ殻などを風力によって除去・選別し、穀粒をきれいにする農具だそうです。
地唐臼(じがらうす)踏み臼というらしいです。
米や麦の精米(精麦)道具。
天びん式の臼で、杵のついた長い柄を足で踏みながらつくそうです。
これも、主屋にあった板木と同じですね。
こちらの方が、より一層音が響きました。
とても広い坂野家。
今はひっそりとしていますが、
その当時はさぞや賑やかに人の出入りも多かったのでしょう。
表門を眺めてみると、やはり庭園も広いですね。
今度は暖かくなったら、来てみたいです。
3日間、長々と拙い文と写真で綴ったレポートでしたが、
最後までお付合いいただきまして、ありがとうございました。
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我が家の縁側は しんばり棒でしたが
玄関や裏口・窓 すべて手回し鍵でした
なつかしいです
いかにも豪農の家屋敷と、暫くその時代に浸って見せて頂きました。
沢山の使用人がいたのでしょうね。
坂野家の子孫の方のお話では、辺り一帯を所有していたとか。
取手市にある陣屋よりはるかに大きなお屋敷ですね。
昔のものには、道具一つにしても愛着が持てました。
最近になって、エコと騒がれていますが、
昔は一つのものを修理しながら長く愛用していたせいでしょうか、簡単に捨てる気にはなりませんでしたね。
人間同士も同じなのですけどね・・・。
少しでも、伝わっていただければ幸いです。
ここまで大きく繁栄維持してこれたのは、
きっとお人柄も良かったのではないかと思いました。
古いものを見ていると、モノの懐かしさだけでなく、
人の心までもが懐かしくなります。
その1 その2 も 読ませて頂きました。
その3の 踏み臼 なつかしいです。
うちの実家にありましたよ。
子供の頃 お手伝いをした事があります。
ウフフ 歳がばればれですね。
長々となってしまったレポートで、
根気よく読んでいただいて感謝します。
あさがおさん、農家でしたものね。
ご存知のものがあったのですね。
歳がバレバレなのは、お互いさまですよ。
私にとっても懐かしいものばかりですもの(笑)
ここまで古風な家の中に、あまりにも自然なかたちで
洋風なすりガラス、タイル張りのお風呂に天窓、
ペダル式のオルガンに、洋風な金庫、
これは一度、行って見てみたいですね☆彡
私にとっては、魅力満載の見学でした。
minorpoetさんも、実際にご覧になれると良いですね。
タイムスリップした世界に浸って、
映画を観るより、いろんな情景が浮かんできます。