司馬遼太郎はご存じでしょうか。
私は別に司馬遼太郎ファンってわけではないのですが、坂の上の雲が好きなんです。
ただ逆に言うと、坂の上の雲以外の司馬作品は、まるで知りません。
特に、数年前にNHKでスペシャルドラマとして放映された、ドラマ版坂の上の雲が好きです。
圧倒的映像迫力、豪華な役者陣、最高でした。
旅順攻略のところは、やはり胸が熱くなりますね。
しかしながら、坂の上の雲は、「歴史をもとにしたフィクション作品」であり、「史実」ではありません。
坂の上の雲における旅順攻略は、ものすごく雑に言ってしまえば
乃木司令官と伊地知参謀長の、融通の利かないクソな指揮のせいで、沢山の戦死者を出し、時間もかかったが
最後は聡明な児玉総参謀長の指揮介入で、戦略目標を達成することができた
というストーリーです。
これ、作品としてはものすごくドラマチックで、盛り上がるところなんですけれど
冷静に考えてみると、おかしなことが多いのですよ。
・そもそも、「最初は旅順なんて簡単に落ちるだろ」みたいな態度だった総司令部が、途中から急に「時間かかりすぎ早く何とかしろ!」とキレながら、増援は逐次投入ってどういうことなの。
・そんなに乃木・伊地知の能力に問題があるなら、なぜ罷免されなかった?
・いくら何でもあのタイミングで児玉の指揮介入って組織のシステム的にあり得ないだろ。仮に超法規的措置でやったとしても、現場大混乱でしょ。
・重砲の陣地転換って、そんな簡単にできるわけ無いだろ。そもそも二十八サンチ榴弾砲は地面据え付けの砲だろ。そんなちょっと砲の運用が変わっただけで戦局が傾くか?
・203高地取って、そこから着弾観測射撃するっていうけど、目標は小さく、移動するものじゃん。当るのか?というか、もしあたるなら、着弾観測しなくたって当てずっぽうに港に向かって打ち続ければ、そこそこ効果出るんじゃね?
・というか、秋山弟参謀が言うみたいに、そんなに203高地がロシア側にとって大事なら、日本が占領した瞬間に、大量の砲弾が飛んでくるんじゃね?見晴らしが良いんだから射線も十分通るでしょ。
・旅順攻略中は、伊地知参謀長はクソ無能みたいな描かれ方してるけど、旅順攻略前は、砲弾補給と鉄道網を気にする、すごく常識的な人という描かれ方をしてる。この矛盾は何だ?
元々、私は上記のような疑問を持っていました。
しかし、「ま、小説だから、脚色だろう。気にすることは無い」
とスルーしていました。
でも、さすがにちょっと思ったわけですよ。
たった100年くらい前の人を
いくら小説とは言え、こんなおとしめるような描き方をして良いのか?と。
で、これについて考察している本を探していたのですが、タイトルの本、「乃木希典と日露戦争の真実」に出会いました。
元軍人さんが書いているので、さすが現場を知っている人の考察は的確だという感じです。
坂の上の雲ファンは是非読むべき本です。
小中学校の歴史の教科書を見ると
日露戦争の軍事的部分は
日本海海戦で、バルチック艦隊を破ったから大戦に勝てた。よって、東郷平八郎の功績が大である。
というような書かれ方をしています。
ただ、私に言わせれば、日本海海戦は、ドミノ倒しにおけるドミノが美しく倒れていく部分であり
この教科書の書き方は、そこに至るまでのドミノを並べる作業をスルーしているようなものであると思っています。
旅順攻略の重要性を満州軍司令部が認識し、乃木軍がどうにかした。
ここって大事だと思うんだけどなぁ。
もう一つ、この本を読んでいて、面白いなぁと思ったことを紹介して終わります。
強い組織とは何かと言うことです。
作戦指揮が秀逸で、装備がしっかりしていれば、下々の者の練度がそこまで高くなくても、勝ててしまうという事例がいくつか紹介されています。
西南戦争の政府軍や、太平洋戦争の米軍がそうです。
詳しくは、本を読んで欲しいのですが
どちらも、精強な兵が、作戦指導と装備・補給のまずさにより、敗北するという構図です。
これは、軍事だけではなく、会社や職場にも言えることなのでは無いでしょうか。
私は別に司馬遼太郎ファンってわけではないのですが、坂の上の雲が好きなんです。
ただ逆に言うと、坂の上の雲以外の司馬作品は、まるで知りません。
特に、数年前にNHKでスペシャルドラマとして放映された、ドラマ版坂の上の雲が好きです。
圧倒的映像迫力、豪華な役者陣、最高でした。
旅順攻略のところは、やはり胸が熱くなりますね。
しかしながら、坂の上の雲は、「歴史をもとにしたフィクション作品」であり、「史実」ではありません。
坂の上の雲における旅順攻略は、ものすごく雑に言ってしまえば
乃木司令官と伊地知参謀長の、融通の利かないクソな指揮のせいで、沢山の戦死者を出し、時間もかかったが
最後は聡明な児玉総参謀長の指揮介入で、戦略目標を達成することができた
というストーリーです。
これ、作品としてはものすごくドラマチックで、盛り上がるところなんですけれど
冷静に考えてみると、おかしなことが多いのですよ。
・そもそも、「最初は旅順なんて簡単に落ちるだろ」みたいな態度だった総司令部が、途中から急に「時間かかりすぎ早く何とかしろ!」とキレながら、増援は逐次投入ってどういうことなの。
・そんなに乃木・伊地知の能力に問題があるなら、なぜ罷免されなかった?
・いくら何でもあのタイミングで児玉の指揮介入って組織のシステム的にあり得ないだろ。仮に超法規的措置でやったとしても、現場大混乱でしょ。
・重砲の陣地転換って、そんな簡単にできるわけ無いだろ。そもそも二十八サンチ榴弾砲は地面据え付けの砲だろ。そんなちょっと砲の運用が変わっただけで戦局が傾くか?
・203高地取って、そこから着弾観測射撃するっていうけど、目標は小さく、移動するものじゃん。当るのか?というか、もしあたるなら、着弾観測しなくたって当てずっぽうに港に向かって打ち続ければ、そこそこ効果出るんじゃね?
・というか、秋山弟参謀が言うみたいに、そんなに203高地がロシア側にとって大事なら、日本が占領した瞬間に、大量の砲弾が飛んでくるんじゃね?見晴らしが良いんだから射線も十分通るでしょ。
・旅順攻略中は、伊地知参謀長はクソ無能みたいな描かれ方してるけど、旅順攻略前は、砲弾補給と鉄道網を気にする、すごく常識的な人という描かれ方をしてる。この矛盾は何だ?
元々、私は上記のような疑問を持っていました。
しかし、「ま、小説だから、脚色だろう。気にすることは無い」
とスルーしていました。
でも、さすがにちょっと思ったわけですよ。
たった100年くらい前の人を
いくら小説とは言え、こんなおとしめるような描き方をして良いのか?と。
で、これについて考察している本を探していたのですが、タイトルの本、「乃木希典と日露戦争の真実」に出会いました。
元軍人さんが書いているので、さすが現場を知っている人の考察は的確だという感じです。
坂の上の雲ファンは是非読むべき本です。
小中学校の歴史の教科書を見ると
日露戦争の軍事的部分は
日本海海戦で、バルチック艦隊を破ったから大戦に勝てた。よって、東郷平八郎の功績が大である。
というような書かれ方をしています。
ただ、私に言わせれば、日本海海戦は、ドミノ倒しにおけるドミノが美しく倒れていく部分であり
この教科書の書き方は、そこに至るまでのドミノを並べる作業をスルーしているようなものであると思っています。
旅順攻略の重要性を満州軍司令部が認識し、乃木軍がどうにかした。
ここって大事だと思うんだけどなぁ。
もう一つ、この本を読んでいて、面白いなぁと思ったことを紹介して終わります。
強い組織とは何かと言うことです。
作戦指揮が秀逸で、装備がしっかりしていれば、下々の者の練度がそこまで高くなくても、勝ててしまうという事例がいくつか紹介されています。
西南戦争の政府軍や、太平洋戦争の米軍がそうです。
詳しくは、本を読んで欲しいのですが
どちらも、精強な兵が、作戦指導と装備・補給のまずさにより、敗北するという構図です。
これは、軍事だけではなく、会社や職場にも言えることなのでは無いでしょうか。