クワトロシステムをはじめとする、AUDIの技術やコンセプトを全く知らずにA5を購入した私ですが、
無関心でクルマを走らせていると、直進安定性が良いことに気がつきました。
例えばEクラスに乗った後だとしても、特に高速時の安定感、安心感はAUDIが良いなと感じます。
ダウンフォースのような吸い付きとは違う・・・
矢のように直進する、車が真っ直ぐ走ってくれる安定感があります。
今回は、ドイツ御三家のエンジン搭載位置の違いからくるハンドリング性能への影響を比較したいとおもいます。
比較対象は、8T A5スポーツバック、C238 E300coupe、F10 528iです。
セグメントの違いはあれど、いずれも直列4気筒エンジンですので、メーカーの考え方がそれぞれ出るかと思います。
前提として、エンジンはクルマの部品の中でも相当大きく重量のある部品です。
クルマの中心からの距離によって、クルマの動きは大きく変わります。
例えば、ショッピングカートを思い浮かべてください。
重たい水ケースやお米をカート先端に置くと、手さばきが重いですよね。
逆に手のほうに置くと、軽々曲がれます。
それがクルマにも当てはまり、何が最善か、メーカーによって差が出ているという話です。
まず、BMWから。
V8さえも押し込まれるF10 5シリーズのボンネットの中に、
小さな直列4気筒が載せられています。
BMWは前後重量配分50:50を掲げ、いかなるシチュエーションにおいても最大パフォーマンスが発揮できる性能、
また、優れたハンドリングが魅力です。(*と言われています。)
切ったら切っただけ曲がる。ドライバーの意のままのハンドリングと言いいます。
5シリーズという大柄なボディでありながら、シャープなドライビングかつ、安定感のある優れたハンドリングを持ち合わせたクルマです。
F10型はインテグレーテッドアクティブステアリングと呼ばれる高性能な4WS機構を備える等、
"駆けぬける歓び"を感じられるよう、BMWのハンドリングへのこだわりが垣間見れます。
ここで注目して頂きたいのがエンジンの搭載位置です。
エンジンの前に大きな空間がありますよね。
BMWは基本FRレイアウトのシャシ設計でありますが、搭載位置はフロントとはいえフロントミッドシップ、
室内空間に限りなく近くエンジンが搭載されています。
これにより、前後重量配分50:50が達成され、BMWの素直かつダイナミックな走行フィールを実現されます。
一方で、メルセデスベンツ。
メルセデスベンツは、前後重量配分50:50とは特別謳っていませんが、比較的意識した設計です。
Eクラスレベルですと、ほぼ50:50ではあります。
また、基本的にFRレイアウトであり、その点はBMWの志向と近いものがあります。
ハンドリングはBMWとはうらはらに穏やか傾向で、コーナーを攻めるのが楽しい、
ハンドルを切ったら切っただけ曲がるという印象ではなく、安定感があり安心したドライビングが可能です。
高速時の安定感はBMWより上だと感じました。とくにカーブでは、ドッシリと地に足ついた感覚のサスペンション性能や、高い剛性のボディからくる安定感が魅力です。
逆に言えば、アンダー傾向で安定重視で、スピン方向に破綻することはあまり考えられません。
*タイヤや設計年数も関係すると思います。
ご注目いただきたいのはエンジンの搭載位置ですが、BMWほど奥ではありませんよね。
重たいものがフロントノーズ方面にあると、ハンドリングが安定方向となります。
一方で、クルマをひらひら曲げるような性能は落ちます。
アンダー傾向で安定感がある。この感覚は、理論上あながち間違えでは無いと思います。
そして、AUDI
この順番だと言うまでもなくエンジンが一番前に出ています。
重たいものがクルマの先端にあるイメージです。
理論上、最もアンダーステア傾向で最も安定感のあるハンドリングとなります。
BMWやメルセデスとの違いは、4WDであること。
FFベースの4WDです。
ほぼ車軸より前にエンジンがレイアウトされています。
BMWとは全く正反対の搭載位置ですよね。
ここで、三社のフロントタイヤ位置から見るエンジンのマウント位置を比較すると・・・
*写真はサスアッパーなので、おおよその目安にしてください。
面白いように違いが出ております。
BMWは線より後ろ、メルセデスは中間、AUDIは線より前が大半を占めます。
これらから分かる事は、BMWが最も車両重量バランスに拘り、回頭性の良いハンドリング。
AUDIが最も直進安定性に優れるということです。ベンツは中間。
乗ったイメージも、そんな感じです。
もちろん、アライメントや駆動方式にも左右されますが、
同じドイツ車、同じ道を走る設計なのに、ここまでメーカーの意思がはっきり出るとは、
それぞれのコンセプトがそれだけ違うということですね。
Audiは横から見るとこれだけ前にエンジンがあります。
Audiのずるいところは、これだけエンジンが前にマウントされながら、
クワトロシステムの可変トルク配分機構により、ドッシリと安定感のあるハンドリングでありながら、
クイックに良く曲がってくれるところです(笑)
前輪駆動+リア駆動の4WDですので、FRのような素直なステアリングフィールとは少し違いますが、
高速での直進安定感は、病み付きになりそうです。
BMWのXdriveや、メルセデスの4Matic+がどういうフィーリングなのか、気になります^^
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