「あいつ、しつこいぞ!」
またもや煙幕に包まれて、嫌気が差してきた。
煙幕の中から殺気を感じ、振り抜いた。感触が良かったが、なにか違う。
「ちっ。竹か!」
深い煙に包まれてしまっては、相手を確認できない。それは相手も同じことだが。どのみち、この中で戦うには勝機が見えない。
むやみに動くだけだと、体力を無駄に使うだけだ。
まずは、この煙幕から抜け出そうとするが、竹が邪魔をして思うように抜けられない。
「くそっ!」
追い打ちをかけようと、ミタチアが襲いかかってきた。応戦するも、勢いに負けて押し込まれてしまう。
押し負けてしまい煙幕の外に出たが、尚も攻撃が続いた。
これをチャンスと捉え、反撃に出る。状況が逆転され、ミタチアは間合いを空けた。
「随分と息が上がっているな」
そう言ってみるが、オレも息が上がり呼吸を整える。
「敵を取るまでだ!」
しかし、また煙幕攻撃をさせるわけにはいかない。なにか良い手がないかと考えた。
「……そうか! コトミの予想通りだったな」
ミタチアの呼吸が整う前に、一気に間合いを詰めた。
「させるか!」
発煙弾を投げ込まれたが、発煙する前に走り抜き、振り抜いた。
「くっ……!」
応戦するも、オレの方が力で押し込む。そのまま打ち合いになり、ミタチアは後退していく。
オレは休むことなく、攻め続けた。
ミタチアの振る力が弱くなるのを感じ、体力が無くなってきたのがよく分かる。
「ちくしょう!」
再び間合いを空けて、荒い呼吸を続けた。
「そんなに、焦らなくても勝負は決めてやるよ」
オレも体力を消費してきたが、全力で地面を蹴り、ミタチアに詰めた。煙幕を張られて、一気に視界が暗くなった。
そして、衝撃音が聞こえた。
「そこか!」
愛剣を音の方へ、力一杯に振り抜いた——。
風が弱く、竹林の葉がこすれ合う音が、時折微かに聞こえる。
煙もなかなか晴れないが、次第に薄くなってきた。
そして、土壁を背にしたミタチア。その首元ギリギリに刃があり、足下にはミタチアの剣が落ちていた。
「勝負あったな!」
「……うぅ、降参だ!」
その言葉を聞くと、愛剣を鞘にしまった。
「どんなに煙幕を張っても、後ろに建物があれば進行方向は限られる」
これだけの大きな庭園、ひとつくらい休憩所があってもおかしくない。
木々の間から見えた休憩所。ここの外壁の角になっているところに追い込み、相手の行き先を限定させた。
コトミが言うように、甘いものを食べながら、この庭園を眺めたくなるな。
「テオに会ったら、よろしくな!」
ミタチアに別れを告げると、庭園を後にして、このまま北を目指すことにした。
コトミが寄ってこないところをみると、交代したのだろう。
どこかで甘いものでも、食べているのか。
コトミには、なにかと助けられている気がする。
≪ 第43話-[目次]-第45話 ≫
------------------------------
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またもや煙幕に包まれて、嫌気が差してきた。
煙幕の中から殺気を感じ、振り抜いた。感触が良かったが、なにか違う。
「ちっ。竹か!」
深い煙に包まれてしまっては、相手を確認できない。それは相手も同じことだが。どのみち、この中で戦うには勝機が見えない。
むやみに動くだけだと、体力を無駄に使うだけだ。
まずは、この煙幕から抜け出そうとするが、竹が邪魔をして思うように抜けられない。
「くそっ!」
追い打ちをかけようと、ミタチアが襲いかかってきた。応戦するも、勢いに負けて押し込まれてしまう。
押し負けてしまい煙幕の外に出たが、尚も攻撃が続いた。
これをチャンスと捉え、反撃に出る。状況が逆転され、ミタチアは間合いを空けた。
「随分と息が上がっているな」
そう言ってみるが、オレも息が上がり呼吸を整える。
「敵を取るまでだ!」
しかし、また煙幕攻撃をさせるわけにはいかない。なにか良い手がないかと考えた。
「……そうか! コトミの予想通りだったな」
ミタチアの呼吸が整う前に、一気に間合いを詰めた。
「させるか!」
発煙弾を投げ込まれたが、発煙する前に走り抜き、振り抜いた。
「くっ……!」
応戦するも、オレの方が力で押し込む。そのまま打ち合いになり、ミタチアは後退していく。
オレは休むことなく、攻め続けた。
ミタチアの振る力が弱くなるのを感じ、体力が無くなってきたのがよく分かる。
「ちくしょう!」
再び間合いを空けて、荒い呼吸を続けた。
「そんなに、焦らなくても勝負は決めてやるよ」
オレも体力を消費してきたが、全力で地面を蹴り、ミタチアに詰めた。煙幕を張られて、一気に視界が暗くなった。
そして、衝撃音が聞こえた。
「そこか!」
愛剣を音の方へ、力一杯に振り抜いた——。
風が弱く、竹林の葉がこすれ合う音が、時折微かに聞こえる。
煙もなかなか晴れないが、次第に薄くなってきた。
そして、土壁を背にしたミタチア。その首元ギリギリに刃があり、足下にはミタチアの剣が落ちていた。
「勝負あったな!」
「……うぅ、降参だ!」
その言葉を聞くと、愛剣を鞘にしまった。
「どんなに煙幕を張っても、後ろに建物があれば進行方向は限られる」
これだけの大きな庭園、ひとつくらい休憩所があってもおかしくない。
木々の間から見えた休憩所。ここの外壁の角になっているところに追い込み、相手の行き先を限定させた。
コトミが言うように、甘いものを食べながら、この庭園を眺めたくなるな。
「テオに会ったら、よろしくな!」
ミタチアに別れを告げると、庭園を後にして、このまま北を目指すことにした。
コトミが寄ってこないところをみると、交代したのだろう。
どこかで甘いものでも、食べているのか。
コトミには、なにかと助けられている気がする。
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パスクの続きを楽しみに待ってました!
yunaさんの書くファンタジーが大好きです。
スピード感があり、その中に優しい感じがします。
キャラクターも様々で惹き付けられます!
今後の展開も楽しみに待ってます。
いつかyunaさんのお話が紙媒体で読めればなぁって思っちゃいます。
これからも応援してます!
パスクも読んでいただき、ありがとうございます。
その当たりは意識して書いています。
応援していだき、これからも来ていただけると幸いです。