Kitten Heart BLOG -Yunaとザスパと時々放浪-

『きとぅん・はーと』でも、小説を公開している創作ファンタジー小説や、普段の日常などの話を書いているザスパサポーターです。

【小説】「パスク、あの場所で待っている」第40話

2020年03月11日 06時02分33秒 | 小説「パスク」(連載中)
 剣が交わると、再び打ち合いとなる。
「そのうち、楽に終わらせてやる」
「その自信が過信だったことを、思い知らせてやるよ」
 平坦な場所に移ってからは、攻勢を強めてきたタトリーニ。
「さっきは、よくも恥ざらしにしたな!」
 ああ、風呂での一件か。滑稽で楽しめたがな。
 一気に間合いを詰められ、息もつかせぬ攻撃が続く。オレも対応するが、さっきより早い。
「やっぱり抑えていたか……」
「ああ、お前を確実に捉えるためだ!」
 斜面の時より一段と増してきている。相当、恨んでやがる。
 尚も手を休めることなく、攻勢を強めて意気揚々となってきた。むかつくほどに。
「パスク、お前の弱点は分かっている」
「ああ? どういう意味だよ」
「焦らなくても、今に教えてやる」
 タトリーニは更なるギア上げをして、スピードが増してきた。荒波のスピードで、確かにこれは早い。一瞬のスキもなかった。
「どうだ……。これはお前には……付いて来られないだろう……」
 途中で攻撃が止まり、タトリーニから離れた。話しかけてくるが、随分と息が荒かった。
「これが続けば……だな」
 作戦があると言った割には、どうやらオレの作戦の方が上回った。
 一息つくと、タトリーニから仕掛けてきた。先程と同様の攻撃が続いてきた。
「だろうな……」
 つい、思っていたことを口にしてしまった。
「何がだ!」
「それは、自分自身のほうが分かっているんじゃないのか」
 尚もタトリーニの猛撃が続く。しかし、受けるたびに確信してきた。
「そろそろ、終わりにしてやるよ!」
 その言葉通り、タトリーニのスピードが上がってきた。それと引き替えに、息の荒さが目立ってきた。
「……どっちがだよ」
 分かっていた、もうトップギアには入れられないことを。
 粋がって上げたスピードも、徐々に落ちていくのが分かってきた。最初に不意打ちを仕掛けて、無駄走りをさせておいて正解だった。
 隙を見計らい、反撃に出てみた。かわすのがやっとの所だった。
「恥の上乗せを味わえさせてやるよ」
 ピーノとの敗戦。あれがどれだけ悔しかったか……。根本から見直すことにし、持久力の向上を目指した。失っていたものを、なにか取り戻せそうで、日々楽しく過ごせてきた。
 かといって、オレも十分な体力を残しているわけではない。一気に押しかけ、相手に休みを与えなかった。
 間合いを詰めて踏み込む。愛剣に力を込め、一気に振り抜いた。
「ぐくっ……」
 辺りは、金属音が鳴り響いていた。
 弾いた剣は、タトリーニの遥か背後で地面に突き刺さった。


≪ 第39話-[目次]-第41話 ≫
------------------------------

↓今後の展開に期待を込めて!
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【小説】「パスク、あの場所... | トップ | Jリーグが再延期になりました »

コメントを投稿