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『きとぅん・はーと』でも、小説を公開している創作ファンタジー小説や、普段の日常などの話を書いているザスパサポーターです。

【小説】Last Kitten Heart friends 第52話 更新情報

2013年06月27日 13時32分00秒 | 小説(きとぅん・はーと情報)

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vol.52『回想、南駅前大森林公園というオリの中で……』

 ナナたちとフロシエ城の地下室で、ひっそり暮らすようになって一年が過ぎた。
 当初は食料を分けてもらい、ほとんど城内で日々を送っていた。
 ここ最近は、あの事件も忘れられて外に出やすくなってきた。元・児童福祉施設周辺も徐々に平穏を取り戻していた。
 公園を出入りするのは日中なら簡単な話だ。他の来園者に紛れていけばよいのだ。夜間は例のルートで外に出る。そして、食料調達へ街に出かけていった。お金なんて持ち合わせていないので、非合法な手段を続けていた。
 でも、いつかは自立しなくてはと、植木鉢を公園内や城の一室など、こっそり置いて野菜を作っていた。本来少しでも売ってお金にしたいところだが、農業が盛んな南地区はこの辺が厳しくて政府管理下の法人団体に加盟していないと売れない。そもそも、地区内で作ったものは一度この団体に集められるので、他に売るのは許可を取らない限り違法。持ち出すのも当然不可。法人団体に売るか、自分たちで食べるか二つしかない。
 いつものように早朝、誰もいない公園を四人で散歩していた。目覚ましと健康管理を兼ねた運動として。
「ねえ、あれ何?」
 夏実が草むらを指さした。何かの生き物ぽく見えたのだが、ここにいる動物は全て小型のもの。それにしては大きすぎる。
 恐る恐る近づいてみると、同じくらいの年代の子が傷だらけで倒れていた。背格好から女の子だろう。まだ息もある。
「大丈夫?」
 そう夏実は優しく声をかけるが、その辺で拾った枝で突いて安否確認をする。どうやら意識は薄らあるみたいで反応があった。
「よかった……。気がついた」
「大丈夫そう? 水、持ってこようか」
 留恵がそう言って立ち上がろうとすると、腕をつかまれた。
「留恵でしょ? そうだよね?」
「え?!」

 留恵を知るこの女の子。元・施設脱出組だった。とりあえず、地下の隠れ部屋に案内した。
「でも、その傷どうしたの?」
「仲間にやられた……。離脱した留恵たちが正解だったよ。西地区に着いてからは確実に力を伸ばして、一大勢力にまで成っていた。でも、粗暴なやり方が納得できなくて、無理に抜け出そうとしたらこの有様……」
 服をめくってみせると顔だけでなく、全身にわたってアザや生傷が至る所に付いていた。
「留恵だって分かっているでしょ! 戻りたくはないの……。お願いだから、かくまって」

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Last Kitten Heart friends
■あらすじ
5つの地区に分かれたうちのひとつ、東地区で幽閉されていた14才の少女『なのか』。
反政府組織に助けられて、逃亡先として南地区の郊外に住むことにした。

そこでちょっと不思議な生き物たちと暮らす夏実たちと出会う。
自分が東地区出身だということを隠し、彼らと接していく。

一方で、反政府組織を容赦なく追う、東地区政府。
それは、なのかだけではなく、夏実たちも巻き込まれていく。


南地区で出会った彼らとの友情と、世界の成り行きは——



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