それで・・・・・想い出しました・・・・。
「びんづけ」って知ってます？
魚を捕る道具です。
ちょうど前の記事のコーヒー豆を入れてるキャニスターみたいな形をしてるんですが、ガラス瓶の中に固形のえさをいれて川の底に沈めておけば、食べにきた魚が出られなくなるように、瓶の口が中側に向いてます。
「びんづけ」ってこちらの方言かなって思って検索してみたら、そうでもないみたいです。
僕が小学生の頃、このびんづけが流行ってたんですが、けっこう高くて確か当時１、５００円位してたと思います。（ちなみに僕の月のおこづかいは３００円くらいでした）
一人では高くて買えないんですが、とにかく「びんづけ」をやってみたくて、友達と５人くらいでお金を出し合って釣り具やさんでこの「びんづけ」を買いました。それも夏休み最後の日に・・・・・。
今日を逃したら、明日から学校が始まります。
僕らはそのまま意気揚々と川に行き、「びんづけ」をする”予定”でした。
ところが近くの川に行ったら、川の上の方にある戦時中の防空壕に人がいました。
見ると、同じ町内の中学生２人でした。
そしてその中学生はぼくらを見つけると、
「こらぁ～～、おまえらちょっとこっちにこい～～！」
ってわめいてます。それも目はうつろで、足下もふらふら状態・・・。
最初は酒でも飲んでるのかと思いましたが、よく見ると足下にシンナーの缶が転がってます・・・・。
そうです！彼らは「シンナー遊び」をやってたんです。
（やっ、やばっ・・・！）
僕らは、びんづけのことはちょっと置いといて、遠巻きに知らん顔して川遊びをしてました。
そしたら、その中学生が、
「こらぁ～～、いのうえぇ～～、お前がこっちに来い～～、来んと殺すゾ～～！」
ってわめきだしました。
（えっ、僕の名前を知ってる・・・・ますます、やばっ・・・。）
防空壕は川の反対側の山の斜面の中腹にありました。
僕は仕方がないので、川の中に入り泳ぎ出しました。
そして、その中学生の真下くらいにきた時、立ち泳ぎしながら
「なんですかぁ～～？」
って言ったら、いきなり・・・・・、彼らは防空壕の中にあったボーリングのボールくらいもある大石を僕に向かって投げ始めました。訳分かりません・・・。
僕の真横に大きな石がドッボ～～ン、ドッボ～～ンと落ちてきます。
僕は、
「なんばすっとですかぁ～～」
と言いながら、逃げ出しました。
そして（こらぁ～もう、ヤバすぎる）ということで、いったん川を離れました。
しかし、今日は夏休みの最終日、どうしても今日びんづけをやりたいんです。
２時間ほど経ったでしょうか。
僕らは恐る恐る川に行ってみました。
聞こえるのは、川のせせらぎだけ・・・・。
どうやら、シンナー中学生はいなくなったようです。
僕らは急に元気になって、キャ～キャ～叫びながら、川まで走っていきました。
そして、今度は誰がびんづけを仕掛けに行くか？
僕らが狙ってるポイントは結構流れが急で、深さも約３ｍほどあります。
話し合ったあげく、ここは水泳が一番うまいＦ君に白羽の矢が立ちました。
Ｆ君は、やや緊張した面持ちで準備体操を始めました。
そして僕らは、釣具屋で買ったえさに少しの水を混ぜ、おだんごにして瓶の中に入れました。
Ｆ君は僕らに見守られながら、瓶をむんずと両手で掴み、川面の方に歩き出しました。
バックに「ハルマゲドンのテーマ」が流れていたことは言うまでもありません・・・。
そして、川に入る寸前Ｆ君が振り向いて一言、
『言って参ります！』
と言うと、僕らは
『いってらっしゃい、がんばれよ！』
と拍手をしました。
そして、数ｍほど泳いだＦ君、ポイントの上で立ち泳ぎしながら
「ここでいいよねぇ～！」
と叫びました。僕らは
「ＯＫＯＫ、そこよ～！」
とピースサイン・・・。
そしてついにＦ君が勢いをつけて真下に潜りました。
その時、かすかに「うっ！」と言う声がしました・・・・。
そして、思ったよりも早くＦ君が戻ってきました。
Ｆ君は黙ったまま・・・・・・。
僕らは何らかのトラブルを察知しました。
「Ｆくん、どうしたとね？」
って聞いたら・・・・・・、
『勢いよく下に潜ったら、反射的に膝を曲げてしもうて・・・・・、瓶が膝に当たって・・・・割れた・・・・。』
僕らはそれから黙ったまま帰路につきました・・・・。
明日から、また学校が始まります・・・・。
帰る途中で聞こえてきたひぐらしの鳴き声が、やけに寂しかったのを覚えています・・・。
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は、しませんが
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ハハハ、マスター、おもしろい話をありがとう。
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