ガングロ・マスター

先週、三姫の高校初めての体育大会が開催されました。
そこで赤団の応援団を務める三姫を一目見ようと、ママと見にいくことになりました。

プログラムを見たら、三姫の始めの出場種目は１０；２０頃・・・、
充分時間はあるし、どんな格好で行こうかな？
やっぱ僕の夏の定番（？）、アロハにジーンズだなっ。　そうだ！三姫の赤団に合わせて赤のアロハにしよう！・・・なんて思ってたら、


甘かった・・・・。


「せっかく行くんなら開会式からいくわヨ！」


なんてママが騒ぎ出しました・・。


それからあわてて赤いアロハにジーンズに着替えて・・・・・、気が付いたら８時前、
父兄なんて誰もまだ来てないグラウンドに立ってました・・・。



父兄席には、早起きのじ～ちゃん、ば～ちゃんしかいなくて席はよりどりみどり、五月みどりです・・。
ど～せなら一番前がいいな～ということで陣取ったんですが・・・・、

その時から、ちょっとは気になっていたんです・・・。

このままいけば座ってる方角からいって、午後には僕らは直射日光の餌食になりはしないかと・・・。



お弁当も終わって、午後・・・・


案の定でした・・。僕らは日焼け止めのCMみたいに、直射日光とタイマン張ってました。
・・・・そのうち、みるみる城みちる僕の繊細な顔と腕の皮膚はまっくろくろスケになってしまいました・・・。
しかし、メインイベントの三姫の応援団競演が始まって、日焼けのことは忘れてました・・・。


三姫の赤団は総合優勝こそ逃しましたが、応援団競演ではみごとに優勝して、
感動のうちに、後は最後のフィナーレを待つばかり！

そこでやっと松崎しげるばりに日焼けした我が身に気が付き、ちょっと木陰にでも行こうかと席を立って歩き出した時です。

向こうから、三姫の同級生のおやじでもあり、当店の常連さんのAさんが歩いて来ました。
そして、僕を見つけるやいなや、僕を中庭まで引っ張って行くではありませんか！　僕は意味が判らずされるがまま・・・。

そして、中庭の隅っこで僕の肩を抱き、ひそひそ声でこう言いました。

「マスター、そんな堂々と学校ば歩いたらいかんバイ！」

もちろん、僕は意味が判らず、「はァ～？」と言うと、Aさんは財布から千円札を一枚出して僕に見せながら、

「とりあえず時間が無かけん、純物を１０ｇ！」・・・と言います。

僕が唖然としてると、Aさんは続けて

「あはァ！違った、違った。そのガングロに赤いアロハば見たら、ド～見ても東南アジアかなんかのヤクの売人バイ・・・・あっ、ははははは・・・。」


と言いながら、去っていきました・・・。



「こら～！わざわざ中庭まで引っ張り出しといて、しょ～もないジョ～ダンば言うな～！」　
お陰で、フィナーレば半分見損なったたい！・・・。　








しかし家に帰って鏡を見て、僕は呟きました・・・・。



『Aさん！あんたは・・・・正しい・・・。』 　　　






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