ここに一冊の本がある。
のちに角川書店から刊行される『犬狼伝説』のオリジナル版とでも言うべき日本出版社版である。
この本のあとがきにこう書かれている。
「周囲の人は困ったもんだで済ませていたが、間違いなく彼は本気だったのだ。
枚数もないので詳細な記述は避けるが、己の手掛ける作品に隙あらばこそと出没させるだけでは飽き足らず彼等立喰いのプロの系譜を辿りつつ日本の戦後史を新たな視点から再編すべく企図された虚構の歴史ドラマ。
『立喰師列伝/全六巻』の企画を真剣に検討していたことや、その為の準備と称して架空の民俗学者・柳谷邦男名義による『闇の系譜――立喰師の世界』『立喰師騎馬民族学説』等の出版を目論で挫折したという噂は紛れもない事実である。それらの壮大にして奇怪な企画が実現しなかったのは、ただ単に彼の周囲に冒険主義的なプロデューサーが存在しなかったからに過ぎない(と彼は今でも信じている)」
(押井守/あとがきより)ー「ガブリエルの憂鬱」より抜粋しましたー
周りの誰しもが、冗談だろうと思っていた此の構想10年越しの企画を、
押井守は日本の戦後の総括的意味合いと共に2006年に映画化しました。
公開当時は、結構、話題に成ったので、知っている人も居るかとも思いますが、
此の「立喰師列伝」は、その後、「女立喰師列伝ーケツネコロッケのお銀・パレスチナ死闘編」を得て、
今年、「真・女立喰師列伝」を公開しました。
しかし、どちらの作品ともめっぽう面白いので、まだ、観ていない人は
レンタルででも、観て見る事をお勧めします。本当に面白いですから。。。
下で予告編が観られます、映像の真中を一回クリックする事で映像が始まります。
立喰師列伝 予告編
立喰師列伝 お銀抜粋編