寂しがり屋のハーモニカ吹き。(障害者の日常生活)

芳雄さん・・・

お久し振りです。

相変わらず調子が悪いです。

ですので,寝ています。

そんな訳で書く事も無いので、、

原田芳雄さんの「B級パラダイス」から、

「竜馬暗殺」の撮影秘話について芳雄さんが語っている

のを抜粋して上げて置きます。

 

 「竜馬暗殺」撮影秘話みたいなもの・・・

独立プロで、撮影所を持たない所から映画を製作していくというその中で、自分の血脈を通じてやったのは『竜馬暗殺』が最初だね。 それと『祭りの準備』だな。この二本が、自分の節目になっている。これからどうしようかと、先行きわからないところで、なぜかいい仕事があったり、 新たな出会いがあったりするんだね。


 特に『竜馬暗殺』は、黒田征太郎さんをはじめとして、一人一人の、映画に対する熱い想いだけが集まってでき上がった映画なんだ。 誰ひとり、卓抜した金持ちなしで、その中で、千円、二千円からはじまって、熱い想いが結集してできた映画だからね。 どこを突っついても、全員、自分の『竜馬暗殺』が、どんな末端からでも出てくるっていうのかな。 映画は忘れるけれども、そういう現場のことは、よく覚えてるんだな。 本当に久し振りに、日活以来、映画やったって気がした。『祭りの準備』は、現場がある種独特だったんだね。ああいう体験は、これからあともないでしょう。

 単純にいっちゃうと、都会の自閉症の少年が、林間学校へ行って、はじめてハシャいだというようなロケーションだった。 これは、まったく自分個人の場合だけで、映画全体とはかかわりない印象なんだけどね。

 あそこの半月間というのは、いまだに、日々これ夢、という感じがする。

 俺はあの時、ひとりだけ、土地の人の家にお世話になったんです。ホテルというのがまったくダメなんでね、監督の配慮もあったんでしょう。 それがとても良かった。その家の人たちだけでなく、あの土地には、本当に自分にとってなつかしい人たちが住んでたんだ。 かつて、自分の幼年期から少年期にかけて出会ったような人たちね。これはもう、感動的なことだった。

 

酒だけはチャント差し入れします。黒田征太郎賛

 忘れられない写真がある。

 幕末の男女の粉飾つけた俳優たちを、監督の黒木和雄氏の横からジッと見つめている征太郎さんと富田幹雄氏を撮ったもので、 1974年5月14日、午後1時、祖師ヶ谷大蔵の古い土蔵の前。映画『竜馬暗殺』はこの日の特報撮りからクランクインした。

 顧みれば、俳優たちのはしゃぎぶりをよそに、ふたりのプロデューサーの胸中、さだめし思案、感慨入り混じった複雑なものであったろうとつくづく思う。

 初対面の挨拶は情けないほどぎこちなく、しどろもどろで、持病の「瞬間失語症」はひどいものだった。 征太郎さんの気配がそうさせたのかどうか良く判らないが、頭の中は完全にハレーションを起こしていて、 本人は必死にホレお話をせにゃあ、お話をせにゃあアカンと思い焦るが「ハッ、どうも」「あ、そうですか」「いやいや」これだけじゃあどうにもなりゃしない。 そのうち、こっちの緊張がそのまま移ってしまったのか征太郎さんの方も怪しくなってきて、 最後に、「あのー、酒だけはチャント差し入れしますから」とやや訥弁風に言って向こうへ行ってしまった。 このひと言だけは奇妙に記憶していて、後々、この日の約束が誠実に守られ、6月22日のクランクアップ当日まで酒酒酒の酒のびたり。 お陰で、それでなくても蛮行激しい「遊び場」に拍車がかかって、祖師ヶ谷の土蔵に京都の妙顕寺に、
「ゴダールがさあ!」
「うるせい!」
「竜馬って……」
「関係ねえ!」
「馬鹿!」
「ちきしょう!」
「痛てえ!」
夜毎、奇声、嬌声こだまする、実に正常な現場が成立したのである。

 また、この遊びの後も大変な苦労で、ある日、富田氏が「やっとすべての精算が終わりましたヨ」とヘナヘナと腰をおろしながら言った時は、 この映画が世に出てからすでに4年を経ていた。

 こうして、この写真には、実物「黒田征太郎」さんの初対面の印象やら諸々強烈に焼きついていて忘れ難い。

 もうひとつ大事、大切にしているものに「暗殺者」と題する当時のポスターがある。

 澄みわたるような紫からブルーへと微妙に変化していく実に静かな空間の中に、何か鋭利な刃物で引き裂いたような、すさまじい勢いを孕んだ「線」で、 殺る者と殺られる者との激しい瞬間がとらえられていて、観つづけていると不思議ないい気分になってくる。 この何とも言えない気分に魅きつけられて、折々、観つつ、眺めつしてて飽きない。独特な「気」の魅力に参ってしまった。

 祖師ヶ谷の土蔵以来、征太郎さんと酒席重ねて、多少持病の症状やわらいだこの頃、思い決めた事がひとつある。

 本来ならば、朝がたでの征太郎さんとの顔合わせはやめにしようと。

 どうにも気恥ずかしく、所在ない。以前、京都で午前の陽光の下にお会いした時など、まるで色盲検査表みたいにすっかり輪郭がぼやけてしまっておかしかった。

 どうもお互い「さわやかな朝」などは笑い話にしかなりそうもない。

 やはり、おみっちゃんから貰った薬果ガラナで臓物いたわりつ、新宿ミッドナイトをスニーカーで足早に闊歩する征太郎さんの後姿なんざあ、 思わず掛声のひとつもかけたくなる。
「ヨッ!」いや、やめとこ、ここはひとつ艶やかな女の声で、
「征太郎さ~ん」

           「B級パラダイスより,原田芳雄」

B級パラダイス  原田芳雄

勘ぐる原田芳雄

映画『ブラック・レイン』(原題:Black Rain) 予告篇

原田芳雄 & 松田優作 / 横浜ホンキートンクブルース

愛の賛歌 北村宗介(原田芳雄、女装にて・・・) Ai no sanka (Hymne à l'amour) by Sousuke Kitamura.

7月19日は 俳優 原田芳雄の忌日です。

原田芳雄&宇崎竜童_LazyLadyBlues

原田芳雄「TVスタジオ・ライブ」


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