「後期印象派・ゴッホ1853年~1900年」~口語短歌と写真で綴る「世界文化紀行」
2022-02-03 07:26:31
「炎の画家」ゴッホ、彼の残した力強く色彩感のある絵画は、日本だけでなく世界中の人に愛されています。現代の人気とは正反対に、その生涯に1枚しか絵が売れなかったというゴッホ。彼は精神病を患いながら自分の絵の世界を追求し、最後は自殺したと言われています。今回は、そんなゴッホの作品の中でも特筆して素晴らしい5枚の絵画をご紹介します。前回は私が好きなアルル時代を掲載しましたが、今回は1890年代の世界観について思いを馳せてみましょう。
「星月夜」1889年ニューヨーク近代美術館
口語短歌
「日の出前 窓から見える 村景色 星月夜以外 何も見えずに」
「星月夜」は、ゴッホの最も優れた作品の1つとして評価されており、また世界で最もよく知られている西洋美術絵画の1つで、ゴッホがサン=レミにあるサン=ポール療養院に入院している間、部屋の東向きの窓から見える日の出前の村の風景を描いた作品です。精神病院の窓から見える風景を元に描かれた作品ですが、実際にこのような風景は存在しておらず、ゴッホの過去の記憶が反映されています。
「花咲くアーモンドの枝」1890年ゴッホ美術館
口語短歌
「甥っ子が 誕生の知らせ 優しいタッチ 飾るようにと 祝福描く」
サン=レミ=ド=プロヴァンスの精神病院で療養していた時、弟テオに息子が生まれるという知らせを聞き、子どもの寝室に飾るようにとお祝いのために描いた作品です。生まれてきた男の子はゴッホと同じく「フィンセント」と名付けられました。他の作品では荒々しい筆致や色彩が印象的なゴッホの作品ですが、この作品からは優しい筆致で丁寧に花を描いていったことが伺えることからも、弟の息子の誕生を祝う兄ゴッホの気持ちが伝わってくる作品です。この作品はファン・ゴッホ家の子孫たちによって代々大切に受け継がれ、今も「ファン・ゴッホ美術館」の所蔵作品の1つとして家族を見守っています。
「糸杉と星の見える道」1890年クレラー・ミュラー美術館
口語短歌
「まっすぐに 天にそびえる 糸杉は 調和がとれて オベリスク模様」
サン=レミ=ド=プロヴァンスの精神病院で療養していた時に制作した作品です。友人であり同じく画家のゴーギャンにあてた手紙の中で、この作品をゴーギャン作「オリーブ山のキリスト」と同じく、苦悩と不屈をテーマとしたものと説明しています。まっすぐに天にそびえる糸杉は、ゴッホの孤独や仲間のいない不安を表しているようにも見えます。
「カラスのいる麦畑」1890年
口語短歌
「晩年に 描く麦刈り 人の死を 象徴するも 鮮やか黄色」
ゴッホの最晩年に描かれた作品のひとつです。聖書の中で「麦刈り」はしばしば人の死の象徴として語られており、ゴッホ自身も死のイメージとして好んで麦畑の主題を描いています。作品の暗鬱な雰囲気と、晩年に描かれた作品、ということからゴッホの絶筆作と謳われることの多いこの作品ですが、実はこの作品が完成されてから、ゴッホが死ぬまでには25作品ほどの絵が制作されたと言われています。
「オーヴェルの教会」1890年オルセー美術館
口語短歌
「ファンゴッホ 牧師になれず 教会の 特別モチーフ 魂救済も」
「オーヴェルの教会」は、オルセー美術館に所蔵されているゴッホ作品として世界的にも有名な作品です。絵にはゴッホが幼少期を過ごした北の風土の特徴が現れています。ゴッホにとって、教会は特別なモチーフだったと言われています。牧師の祖父と父を持ちながら自身は牧師になれなかったゴッホは、絵を描く事で人々の魂を救済しようと志して画家になりました。膨大な数の教会を描いていたゴッホですが、父の死後は全く描かなくなります。厳しい軋轢がありながらも尊敬してやまなかった父が死んだとき、教会は父との記憶を蘇らせ、正常な気持ちで描けなくなったのでしょう。
参照
https://media.thisisgallery.com/20190962
「2021年軽井沢レイクガーデンに咲いた薔薇たち」
「アンブリッジローズ」2021年9月7日撮影
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