神経科医オリバー・サックスが実体験をつづった著作を原作に、30年にわたる昏睡から目覚めた重症患者と彼を救おうとする医師の交流を描く感動のヒューマンドラマです。
口語短歌
「昏睡を 一人の医師の 決断が 脳炎麻痺の 患者を救う」
1969年、アメリカのとある病院にセイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)が勤務することになります。この病院は、重度の心の病や障害疾患の患者が入院していました。30年間「嗜眠性脳炎」という病で寝たきりのレナード(ロバート・デ・ニーロ)もその一人。セイヤーは患者に対し、さまざまな反射神経の動作を試したあと、ある最新治療薬を服用させることでいい結果につながるかもしれないと考え、レナードに投与しました。すると、みるみる効果を発揮したのです。
口語短歌
「ひたむきな 医師の優しい 努力こそ 驚異の回復 母も涙ぐむ」
セイヤー医師の諦めない姿勢が素晴らしいです。ひたすら観察し、ちょっとした行動をきっかけにボールを投げたり、物を落としたり、いろいろなことを試して、患者の反応から治療の糸口を見つけようとします。そして、重度の病気で寝たきりのレナードに対して、母親との意思を疎通ができていると感じた彼は「もしかしたらパーキンソン病の薬が、効果があるかもしれない」と投与。すると、ほぼ昏睡状態だったレナードが目覚めるのです。 昏睡状態で一生を終えるだろうと思われていたレナードが目覚めたときの感動は言葉に表現できません。
口語短歌
「恋をする 喜ぶ時間 未知数で 患者と医師の 気持ちのずれが」
ただレナードが目覚めたことが、全てではありません。初めて見る景色、周囲の人々との交流、レナードは恋もします。おそらく「人生って楽しい」と思ったでしょう。やがて、欲がでてきて、「外に出たい、社会に出たい」と思うようになります。しかし、それはできない。なぜなら薬の効果はいつまでなのか、副作用はないのか、完治するのか、すべてが未知数、まだまだ問題が山積みです。
口語短歌
「衝突で 倒れる患者 泣き叫び 見守る医師と 母苦悶する」
レイヤーは普通の生活ができるようになったからこそ、自由がないことを苦痛と感じてしまい、セイヤー医師とレナードは衝突。医師と患者の心のずれが出て来ます。見ていて本当に辛かったです。
「ウィリアムズとデ・ニーロの名演に大感動」
セイヤー医師はロビン・ウィリアムズ、レナードはロバート・デ・ニーロが演じ、ふたりの演技も圧巻です。患者によりそい、研究者としての目線もありつつ、苦しみから解放してあげたいという情熱が溢れているセイヤー医師。セイヤーとレナードは、医師と患者の垣根を超えて、同じ目標に向かって歩む同志になったのです。映画での説得力は、ウィリアムズとデ・ニーロの名演がなければ不可能だったと思います。医師と患者の信頼関係を描くと同時に、辛い病との闘いから目を背けずに真摯に描く映画「レナードの朝」。ぜひ観ていただきたい名作です。
参照
https://cinemarche.net/drama/awakenings-tanigawa/
「2021年軽井沢レイクガーデンに咲いた薔薇たち」
「アナエ」2021年10月7日撮影
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