上下巻あってなかなかのボリューム。
本当はイッキ読みしたかったけど、仕事から帰ってくると疲れて寝落ちしてしまうことも多く、ちょっと時間がかかってしまった。
感想は……。
うーん…正直言って、まあまあでした。😅
これはたぶん私がミステリー苦手なのが影響していると思います。
ミステリーの【無理矢理犯人解明という数式を解かされる感】が苦手なんですよ。いや、犯人探さなきゃ物語も始まらないんですけどねw。謎解きに至るまでの説明調の文章や会話が苦手……。
【解】が出た時のカタルシスよりも、文章や表現でうっとりしたいタイプなんで……。
もうね、これは個人の好みなんでどうしょうもないんです。すみません。💦
と、謝っておいてからの、この作品の良かったところ。
やはり、主人公麻生と練、ふたりのシーンですね。
とてもしっくりきて。
本来は一緒にいることは許されない関係ながら、読んでいてほっとするし、嘘がない時間のような気がしました。ずっとこの時間が続けばいいのに…と思いましたよ。絶対に無理だけど。
この作品、そもそも倫理観とかめちゃくちゃで警察の人間が情欲のおもむくまま容疑者(参考人?)である練といたしちゃうし、練もこころの中は特定の人物に囚われていても、カラダの垣根はないに等しい。
反社の世界を描きつつ、性的指向の固定観念や倫理観なんてものを軽くぶち壊していく作品です。でも人間なんてそんなもの…というのもよくわかります。
主人公の麻生はレビューを読むと、よく「鈍感」だと言われていますね。過去の過ちをなかなか認めようとしないし、自分の周囲の人間の寂しさとか愛、執着に気づいていないと。
でも、私はこの作品の中で一番わかるのが麻生なんですよね。こころを寄せやすいキャラクターです。自己完結している人間。鈍感なのかもしれないけど正直。そこが好きですね。
対して、敏感だけど嘘つき。それが練。
練も魅力的なキャラクターですけど、そして幸せを祈りたいけど、100%は支持出来ない。それでも、だからこそ身近にいたら惹かれずにはいられないでしょうねw。
ミステリーとして読むと、登場人物が結構多くて私の頭では「あれ?誰だっけ?」となることもw。海外ものならよくカバー裏とかに登場人物の名前と説明があったりするけど、この作品にはなくて……。😅相関図書きながら読んだ方が良かったかな…と思いつつ読了しました。まあ、イッキ読みすればそのあたりは問題なかったかも?
犯人像についてはまあ、納得です。特別なトリックとかはないけれど、なるほど…という感じ。重く辛い物語ですよね。登場人物、誰にとっても。
本編の前日譚と後日譚にあたる短編(サイドストーリー)が上下巻それぞれに収録されています。こちらは本編の後に読むようにと、作者からのことわりがあります。
賛否あるかもしれませんが、私は2つとも読めて良かったと思います。特に『歩道』は好きですね。その時点に時を巻き戻して違う世界線であのふたりを見たい気もします。☺️✨