「外のテーブルでも食べられますよ。」
やや狭い店内で、注文したベーグルを持って来てくれた男性の店員にそう言われた。
見ると、入り口とは別のドアが開いていて、その向こうにはテーブルが。
「ここは、オープンエアのカフェなんですか?」
そう聞き返すと、店員は笑いながら、こう答えた。
「いいえ、隣はレストランにするつもりなんですよ。
でも、まだ半分しか出来てなくて。」
「いつ頃、完成する予定なんですか?」重ねて尋ねると、
「ハハ!それが、僕にも分からないんですよ。」と店員。
ホルアロアという小さな村にあるホルアコア・カフェで、
そんな会話を交わしたのは、もう6年も前のこと。
4年前に訪れた折も、まだレストランは完成していなかった。
もしかしたら、あの話は冗談だったのかと疑っていたくらいだったのだけれど、
コーヒー農園巡りでホルアロアを通りかかると、本当にレストランが開業していたので驚いた。
「嘘じゃなかったんだ。」
思わず車を停め、降りてみた。
ぼくたちは、マナゴホテルでランチを食べたばかりなので入らなかったけれど、
レストランは、そこそこ賑わっている様子。
他人事ながら、心なしか嬉しく思った。
少しだけホルアロアを散策してみた。
以前は、住む人のいなくなった家がそのままだったり、
人影も見当たらず、まるで時間が止まっているかのような印象の村だったのに、
見渡せば、ホルアロアの村自体が変化したように感じられる。
ここ数年続いたハワイ島西部の開発の波が、どうやらこの村にまで及んでいたようだ。
たしかに、標高420メートルから臨むカイルア湾の景色は、素晴らしいの一言。
この眺めを、不動産業者が見逃すはずはないといったところだろうか。
もし、ここで暮らすとしたら・・・と、妻と想像してみるが、
現実には到底無理な話。
「日本に帰ったら、宝くじ買う?」と妻。
「1等が当たるならね。」
しばし、ふたりで妄想に耽っただけで満足し、車に引き返した。
ホルアコア・カフェ&レストランに立ち寄るのは、またの機会ということにして、
次の目的地へと向かうべく、ぼくたちはNorth Kona Belt Rd.を再び走りだした。
Mahalo nui loa !