Kona Makaiのラナイで心地よい風に吹かれながら、妻と明日の予定を相談。
パンフレットやガイドブックを広げて話しているうちに、
「カヤックをレンタルして、ケアラケクア湾を横断するのも楽しいよ。」
と、地元の人に言われたことを思い出しました。
しかし、私たちのカヤック経験は、コハラ地区の用水路で乗せてもらっただけ。
自分たちで漕いだ事がない上に、
シー・カヤック(Sea Kayak)はまったくの未経験。
そこで、まずはツアーで体験してみることに!
早速、Aloha Kayak の日本語予約代行に妻が電話します。
「明日の予約をお願いしたいのですが?」
すると、前日までの悪天候の影響で波が荒く、今日のツアーは中止となり、
明日も波の状況によっては中止になるかもしれないとのこと。
明日の朝、ツアーを催行するかどうか判断して連絡するが、
それでも構わないかと問われたので、
「構いません。お願いします。」と、
部屋の電話番号を伝え、明日の連絡を待つことに。
そして、迎えた翌日の午前8時。
ツアー催行の電話がかかってきました。
天気は快晴。実にハワイらしい青空が広がっています。
軽く朝食をとった後、午前9時にKona Makaiを出発。
Alii Dr.を走り抜け、集合場所のケアウホウ湾へ向かいました。
やけに細長く区切られた駐車スペースに、
多少の違和感を覚えながらも車を停めて降りようとすると、
近くにいたアメリカ人が何かの標識を指差しながら、
そこに停めてはいけないと言っています。
どうやら、私達が停めようとしていたのは、
ボートを運んできた車専用の駐車スペースだったようです。
教えてくれたアメリカ人に「分かった。」と言って、車を移動することに。
でも、普通の乗用車を停めるスペースがみつかりません。
結局、道路脇に駐車することに。
車を降り、持って来るように言われた帽子を被り、
ボート・ランプ(Boat Ramp)まで歩いて行くと、
すでにスタッフや参加者らしき人たちが集まっています。
傍らには、赤、青、黄色のカヤックが積まれていて、
『ALOHA KAYAK』の文字が。
どうやら、ここで間違いないようです。
アロハ・カヤックの青年たちが、カヤックをランプの傍に一艇ずつ降ろし終わると、
ツアー参加者の点呼がはじまりました。
今回は、私達夫婦とアメリカ人の夫婦、
そして、おばあちゃんと両親と10代の兄妹の五人家族が参加。
私たち夫婦以外の7人はみんなアメリカ人です。
(つまり、外国人の参加者は私たちだけ。)
当然、ツアーの説明もすべて英語。
予約のときは日本語だったので、てっきり日本語の出来るガイドが付くと勘違いしていました。
『これは、一言一句聞き逃せないぞ』と思いつつ耳をそばだてますが、
早口過ぎる上に訛りがあって、半分以上というかほとんど聞き取れません。
内心焦り始めている僕の横で、最初から聞き取る気のない妻は、どこ吹く風。
僕は、
なんとか、カヤックの漕ぎ方や注意点を聞こうと意識を集中しているのですが、
分かったのは、ライフジャケットの着け方と、カヤックの乗り方くらい。
ひっくり返ってしまった場合や、
高い波が来たときの対処の仕方など、何一つ聞き取れません。
『もし、最悪の事態が起こったら・・・』
あまり想像したくない場面が頭を過ぎります。
『やっぱり、やめておいたほうがいいのだろうか?』
ツアー参加15分で、すっかり弱気になっている僕。
しかし、気が付けば、
ライフジャケットを着て、妻とふたり赤い色のカヤックに乗せられ、
パドルを持たされ、
ケアウホウ湾に浮かんでいるではありませんか!
「おい、おい、どうなっちゃうの~?」
同じく二人乗りカヤックで押し出されたアメリカ人の夫婦が、
私たちの前方で漕ぐ練習をしています。
止む終えず、私たちも独自に練習開始!
僕が後ろから「右!左!」と声を出しながら漕ぐと、
妻も声に合わせてパドルを動かします。
(陸上では傍若無人な振る舞いの妻も、この時ばかりは素直です。)
まぁ、『案ずるより産むが易し』とでも言ったところでしょうか。
コツさえつかめば漕ぎ方は、O.K.!
全員が準備できるまでに、直進、右旋回、左旋回、後退、
さらには急速反転・・・と、
まったく必要の無い漕ぎ方まで出来るようになっていました。
その一方で、
アメリカ人夫婦は、
岸に近づき過ぎて釣り糸に引っかかってしまい、釣り人に怒られ、
5人家族はと言えば、組み合わせが決まらず、
なかなかカヤックに乗りません。
どうやら、おばあちゃんと誰が一緒に乗るかで揉めているようです。
かなり話し合った結果、
おばあちゃんと父親、母親と娘がそれぞれ二人乗りのカヤックに分乗、
残った男の子は、1人用のカヤックに乗ることで落ち着いたようです。
なんとなく先行きが不安な一行ですが、
それでも、ツアー・ガイドの青年も用意できたところで、いざ出発!
6艇のカヤックが、ケアウホウ湾から沖に向かいます。
が、やはり二日前までの嵐の影響か、
湾の中では比較的穏やかだった波も、外に出た途端、高くて力強く感じられます。
カヤック初心者には、かなりのチャレンジ精神を要求される波です。
妻は、大きな波を乗り越える度に飛沫を浴びて、
子供のような悲鳴をあげています。
そして、やはりというか、当然というか、
ツアーは思いもかけない展開をみせるのでした。