あたりまえ経営のきょうか書

「あたり前のことが、あたり前にできる」思考で、経験から「誰でも知っているようだけど、ちょっと違う」という情報をおしゃべり

■【あたりまえ経営のきょうか書】 1-03 「さん」づけ呼称と民主性 A705831

2021-01-12 07:31:00 | 【経営者】 心構え

■【あたりまえ経営のきょうか書】 1-03 「さん」づけ呼称と民主性 A705831

■■ 1 経営トップは、このようにして変身せよ

 

 リーマンショックやコロナショックにより、多くの経営者・管理職・ビジネスパーソンが自信をなくしてしまっています。一方で、過去の成功体験から、時代の変化に気づかずに、従来の延長線上で事業を続けている人達もいます。

 激動の時代に、不況感に苛まされるのではなく、「不況」が「普況」、すなわち不況期でも健全経営ができる企業体力を持つことが、今日、求められる発想法です。すなわち、「不況が、普況で、普況を富況にする」のが、経営者の役割であり、それを支えるのが管理職や、その下で働く人達の成すべきことだと考えます。

 1970年代から経営コンサルタントという職業を通して、感じ、学び、コンサルティングしてきましたので、それをご紹介します。読者の皆様に、それを感じ取っていただけますと幸いです。

 

◆ 1-03 「さん」づけ呼称と民主性 A705

 近年、企業において、役職名ではなく、「さん」付けをすることにより民主性を表現する企業が多くなりました。

 福沢諭吉翁が「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」とおっしゃったことは有名であり、人間性を重視する観点からも、上司も部下も、皆人間であることには変わりがありません。

 この視点からみても、社長以下の全社員が「さん付け」で呼び合うことは、民主的な人間関係を作る上において必要なことでしょう。

 しかし、視点を変えてみてみましょう。

 日本で最も早くに設立された経営コンサルタント団体であります、日本経営士協会では、会員同士を「さん付け」ではなく、「先生」という呼称を付けて呼び合っています。

 本来、人間性を重視したコンサルティングをするためには、自分達自らが民主的な関係であることを表明するために、「さん付け」にすべきところです。ところが、同協会の伝統として、「先生」呼称が定着しています。

 同協会は、「経営士・経営士補」という資格付与団体です。ところが、コンサルティング経験の浅い資格取得者の中には、「まだ、経験も浅いので、先生と呼ばれるほどのものではありませんので、先生と呼ばないでください」と謙遜する人がいます。


  一方で、経営コンサルタントとしての資格取得は、コンサルティング実践経験の浅い人といいましても、難関な試験に合格した人達です。その資格のブランドを背負っているのですが、プライドを持ってよいはずです。また、プライドを正しく認識することにより、その資格のイメージも高まります。
 自分では謙遜しているつもりで、「先生と呼ばれるほどの実績はありません」と言うことは、その資格の権威を低めることに繋がりかねません。

 そこで、「先生」と呼び合うことにより、プライドを持ち、自分自身も資格に負けないように努力し、責任を持った言動を採るという意識付けをするためにも「先生呼称」は、効果があるのです。

 協会としては、権威うんぬんという問題よりも、意識改革により、すこしでもよいコンサルティングをすることが、社会貢献に繋がるという観点から、外の人からは多少奇異に感ずるような人もいらっしゃるかもしれませんが、このような伝統を守っているのです。


 ただ今ご紹介しましたことは、経営コンサルタント団体という、特殊な組織における、さらに「意識付け」ということに焦点を絞ったお話です。

 だからといって、「自分には関係ない」と切り捨てるのではなく、ここの根底に流れている物は何か、それを自分の立場に置き換えたら、何かに利用できないか、と、いうように本質を追究する思考法を、繰り返しながら、その思考法を自分のものにしてゆく必要があります。

 その一環として、これをヒントにして、自分の会社をよくするきっかけを作れないのか、というような、コンピテンシー思考が、経営者・管理職やビジネスパーソンには求められます。コンピテンシー思考というのは、一般的な意味合いと多少異なりますが、上手にこなしている人や失敗したときの原因や理由を追及し、他のことに転用することを指します。

 

 経営コンサルタントとして企業を訪れた時に感ずることの一つが、「組織で動く」ということができていない企業が多いことです。「烏合之衆」という言葉がありますが、人がただ集まっているだけでは、「組織」とはいえないのです。

 組織を活かした動きになっていないという背景には、「組織で動く」、すなわち、組織力を活かすということを知ってはいても、軽視していて、それを行動に起こしたり、ましてや年度方針に盛り込んだりという発想がない企業が多いのです。

 その様な企業で、「民主的だから、“さん付け”で呼び合おう」ということは、正しいやり方なのでしょうか。

 

 組織的な動きをしている企業というのは、目標が明確で、その目標に向かって、全社員の言動のベクトルがおおむね揃っています。その様な企業では、民主的経営の一環として、「さん」づけ呼称を定着させるという選択肢は、評価されるでしょう。

 ところが、そうでない企業では、まず、組織で動くということを意識付けするために、「管理とは何か」「管理職とは何を、どの様にする人か」というようなことを、体に染み込ませることが必要です。


 その一環として、管理職を、役職名で、たとえば「課長」とか「○○部長」というように呼ばせて、組織とは何かを意識付けさせることが必要なのです。

 多くの方が、そこまでする必要があるのか、それで効果があるのかと懸念されます。「全社一丸」というような言葉がよく知られていますように、「組織で動く」ということの必要性は大半のビジネスパーソンが知識として持っています。

 しかし、このような抽象的なことは、知識として持っているだけでは行動に移すことができないのが常です。役職名を呼称として用いることは、時間がかかりますが、徹底する方法のひとつとして、経営管理の基本を認識させ、体得させるためには必要なことなのです。


 このように、誰でもが知っていることを、知っていることだからといって、軽視するのは一般的な企業です。他の会社とはひと味違う、あたり前のことをあたり前にしようとする企業努力が、機会損失を回避できるのです。成長する企業は、小さなことでも積み上げる「ちりもつもれば山となる」ようなことを地道に継続しています。

 

■【あたりまえ経営のきょうか書】

  https://blog.goo.ne.jp/konsarutanto

 



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