■【あたりまえ経営のきょうか書】 1-35 【心 de 経営】 経営は頭でするのではなく心でする pA924
■■ 1 経営トップは、このようにして変身せよ
リーマンショックやコロナショックにより、多くの経営者・管理職・ビジネスパーソンが自信をなくしてしまっています。一方で、過去の成功体験から、時代の変化に気づかずに、従来の延長線上で事業を続けている人達もいます。
激動の時代に、不況感に苛まされるのではなく、「不況」が「普況」、すなわち不況期でも健全経営ができる企業体力を持つことが、今日、求められる発想法です。すなわち、「不況が、普況で、普況を富況にする」のが、経営者の役割であり、それを支えるのが管理職や、その下で働く人達の成すべきことだと考えます。
1970年代から経営コンサルタントという職業を通して、感じ、学び、コンサルティングしてきましたので、それをご紹介します。読者の皆様に、それを感じ取っていただけますと幸いです。
◆ 1-25 【心 de 経営】 経営は頭でするのではなく心でする pA924
多くの経営者・管理職は、経営管理のために知識吸収に時間やエネルギーを投じています。経営者・管理職にとって、知識は、部下のそれを上回っていることが望まれます。
しかし、部下達は、日夜、その業務を中心に飯を食ってきているわけで、そこで蓄積されたノウハウや技を持っています。たとえ経営者・管理職とはいえ、相手と勝負をしても敵(かな)わないことがたたありますことを自覚すべきです。
ですから、部下を相手に話をする時に、「現場における皆さんの知識や経験、それに培われたノウハウには、私は太刀打ちできません。一方で、私は、経営や管理という視点で、いろいろな業界の人や、いろいろな問題と直面してきました。皆さんの知識や経験・ノウハウと、私のそれとを合算したら、必ずよい方向に向かっていくと思いませんか」という主旨のことを投げかけます。
それまで「どうせ、上の者は、われわれ現場の者の真の姿をわかるはずはない」と、経営者・管理職に対して抱いていた警戒心が多少ですが和らいでくるでしょう。
知識に頼りすぎますと、学んできたことと異なる状況に直面したときに、知識を優先して判断してしまい、現場と乖離した見方となってしまいます。現場と乖離しても、それが正しい方向であればよいのですが、正しいかどうかはわかりません。
経営は、百社百様のやり方があります。
知識に基づいているということは、教科書としては間違えていないかもしれませんが、現況に即した対応ではないかもしれません。知識偏重ですと、教科書がものさしとなってしまい、現場での経験を加味したものさしとは異なります。
教科書に書かれた状況と、眼前の企業の状況が完全にマッチしていれば教科書通り実行すればよいでしょう。
しかし、大半の企業で直面することは、教科書とは異なります。その場合に、教科書の知識に固執しすぎますと、教科書にないことを受け入れがたくなってしまい、教科書に即した固定的、硬直的な判断となりかねません。
教科書の知識にそぐわない経験を受け入れにくく、教科書の内容を応用しようというフレキシビリティに欠けた判断をしがちです。
それに対して、「心で問題解決をする」ということは、知識に、経験に基づいた知恵を付加し、現状を考慮に入れ、業務をするのは人間であることを忘れない経営管理をいいます。
教科書通り行かないのがあたり前であるという開き直りができ、与えられた経営資源に知恵を加味して、なんとか解決し、この会社をより良くしていこうという情熱から、火事場の莫迦力のような智恵と工夫で難局を乗り越えることができます。
すなわち、経験に頼りすぎないで、新しいアイディアと、教科書や実務から学んだ知識とを融合させて、解決の努力をします。すなわち、フレキシビリティを持った対応ができ、それらの経験が、明日への成長に繋がります。その結果、これまでに直面したことのない新ケースにいこましても応用力を発揮して、対処できます。
経営者・管理職の業務は、経営現場におけます真剣勝負です。教科書にありますような、知識だけをたよりに、経営や企業が抱えます問題・課題を解決できるほど甘くはありません。
全社一丸となって、心の通った経営管理が求められているのです。
■【あたりまえ経営のきょうか書】
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