今実際に子育てをしている世代は、子育てに負担感を感じていますし、その負担感を解消するための施策の充実はまだまだ必要ですので、精査しながら効果的な政策をとっていく必要があります。これは間違いなく必要ですが、根本的な議論をもっとすべきであるように思っています。
日本では、江戸時代に少子化対策が行われていて、今と同様、江戸時代末期の人口停滞の背景には女性の晩婚化や少子化があったといいます。特に北関東では18世紀前半から後半にかけて、江戸など都市への流出も影響して人口が20%以上も減ったそうです。
人口減に悩んだ藩の中には少子化対策を行うところもあり、妊娠した女性を登録して江戸版「母子手帳」を作り、それにもとづいて米や金などの養育手当をだすというものだったようですが、残念ながら効果のほどは不明だそうです。
この時代でも都会地に人々が出たがったようです。それは必ずしも生活のためではなく、江戸という刺激的な町にあこがれてということもあったようですから、手当てなどで引きとめようとしてもそれ程効果がないですよね。その刺激が自らの快楽のためとなると、当然江戸に出ても子どもは生まない。
外国でも同様のケースがあります。紀元前2世紀半ばに書き残された「村川賢太郎古代史論集Ⅰ」の中に、ギリシャ時代の人口減少について、人口減少の理由がこう書かれてあります。
「人口減少のわけは人間が見栄を張り、貪欲と怠慢に陥った結果、結婚を欲せず、結婚しても生まれた子どもを育てようとせず、子どもを裕福にして残し、また放縦に育てるために、一般にせいぜい1人か2人きり育てぬことにあり、この弊害は知らぬ間に増大したのである」
昔は、快適な生活を送るために、人々は集落を作り、社会を形成してきました。
その社会を維持していくためには子どもは財産であったものが、社会が成熟したことで、人のつながりを希薄にし、個人的な楽しみが優先され、それが少子化を招いていることを考えていかなければなりません。
目先だけ見ると、子どもを産み育てる意味が分からない若者の気持ちは分からないでもありませんが、人口減少以上に、こうしたことの意味が分からない若者が増えている現状に大きな不安を感じます。
益田市の次世代育成については、関係機関の代表者で構成されている益田市次世代育成支援協議会という会で議論されています。
今年度は、まだ開催されていないようですので、しっかりと本質的な議論をして頂きたいと切に願います。
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