仏像にはよりよく見せる方法として比率やバランスのあらゆる法則があります。
その法則は千年たつ今でもしっかりと受け継がれています
しかし、時代や作者によって変化が大きい部分もあります。
それは、仏像の台座や光背です。
その中でも 特に自由に変化をしているもののひとつに台座の中の岩座というものがあります。
私の師、斉藤琳先生は岩座にはとても拘りがあり、そのことを学ばせていただき、岩の表現とはとても難しく彫刻としての見せ場でもあるということを知りました。
日頃、仏像などの彫刻の見方として岩の表現を見て、その作者の想いなどを知る要素のひとつとしています。
しかし、古い仏像などは火災や修理などで台座の作者が変わってしまっている物がほとんどです。
岩座の見方で分かりやすい部分を少しご説明したいと思います。
手前にある岩の青い線と奥にある岩の赤いラインが重ならずに両方が見えるのが分かるでしょうか。
他に2つの緑と黄色のラインが平行にならないように方向が違うのも分かるでしょうか。
これらは、動きの変化と遠近感を出すための方法の1つです。
彫刻でどこか迫力を感じることのできるものは、この動きの出し方に工夫がなされてるものが多いと考えられます。
たんに岩といってもしっかりと考えられて彫られているということです。
以上、一部分をご説明しましたが他にもあらゆる技術がつぎ込まれています。
このような立体感や動きを出す法則は、岩座に限らず、あらゆるところに見受けられます。
このような視点からも昔の仏像を見ていただくと、より楽しんでいただけると思います。