いろいろ意見もおありでしょうが、もう少しだけこのチューナーについて書かせていただきたい。ただ、
http://www.god-tuner.net/も少しリニューアルしたようだし、これで一区切としたいと思う。
SKYLABの売りのひとつが、録画ファイルに一切の制限がかかっていないこと。サイトでは「かんたんにパソコン上で再生可能」とあるが、実際はどうなのだろう? ある意味、それと同じくらい重要な要素であるエンコードは可能なのだろうか? 実際にはかなりやっかいな問題が二つある。
一つは、trpという聞き慣れない拡張子を持ったファイルに入っていること。実際には大して珍しいものではなく、TSの一種であるらしい。ただ、PCで扱うためではなく、レコーダーなどの内部で処理をするためのコンテナらしいので、対応しているソフトが少ない。たとえば、普通に使われているだろうVLCメディアプレイヤーやMediaPlayerClassicHEでは再生出来なかった。ウチの環境でインストールが出来、かつtrpが再生できたのはGOMプレイヤーだけだった。ただ、やや変則的ながらVistaのWMP11での再生も確認出来ている。ただ、PowerDVD9の製品版やHalli Media Splitterと言ったソフトが入っているので、この辺がたまたまうまく作用したためと思われる。普通はGOMに頼るしかないだろう。
また、PCではないがPS3での再生も一応出来た。ただし、trpの拡張子だと動画と認識しないため、拡張子をtsなどに書き換える必要がある。tsは読めてもtrpは読めないPC用のソフトではその程度では読んでくれないが、PS3はそれだけで再生出来る。
ここまではいい。ここでもう一つの問題が出てくる。それはSKYLABのtrpは1ファイル2GBで切ってしまう性質があるということだ。これは一つにはHDDのフォーマットにFAT32を使っているせいもあると思い、ext2フォーマットにして、かつWINDOWSでext2を読むことが出来るソフトを適当に使って読み込んでみた。が、やはり1ファイル2GBで切ってしまっている。フォーマットは関係ない仕様のようだ。PC仕様でないファイル展開がここでも足を引っ張る。
もちろんGOMプレイヤーは連続再生出来るので、.001や.002の隠れtrpファイルに同じ拡張子をつけ、まとめてGOMプレイヤーに放り込めば最初のtrpが終わると同時に次のtrpに移ってくれるが、その間にタイムラグがあり、昔のLDソフトのようにちょっと気になる。また、PS3でも連続再生機能を"入"にしておけば、拡張子tsに書き換えたファイル入りフォルダごとDLNA共用フォルダにほうりこんでおけばGOMプレイヤーよりはタイムラグの少ない切り替え再生が可能になる。
また、GOMプレイヤーよりもタイムラグの少ないファイルにしたければ、くっつけるしかない。一番簡単なのはMurdocCutterに放り込んでファイルを全部選択対象にし、どんどん追加していく方法だ。最終的に出来たファイルをtsにしておけばGOMプレイヤーやPS3で再生出来る。
ただし、いずれの方法を使っても「タイムラグが少ない」再生が出来るレベルでしかない。やっぱり明らかな切れ目はあるし、そこはどうしてもPT1/2などで録画したTSに比べてはるかに劣る。しかし、わたしの腕ではこれ以上改善出来なかった。MPEG2である以上、どうつないでも切れ目を隠すことが出来なかった。よって、「まんま残す」にはSKYLABは不向きだと断言するしかない。もちろんSKYLABでの自己再生しかしないのならばそれでもいいが、せっかくのコピーフリーが台無しと言わざるを得ない。内部の処理は気が利いていない。
ならば、エンコード用としてはどうなるか? これももちろん似たようなものだが、数々の方法を試した結果、かなりのレベルまで切れ目の違和感を減らすことまでなら出来た。以下にその方法を書いておく。
・trpはそのまま。001.002となっているファイルは.trpを追加しておく。
・XMedia Recodeというソフトを探してインストール、起動
・先のtrpファイルを表の部分にドラッグ&ドロップ
・リストのファイルをクリックし、下部の設定項目を増やす。さらに以下の方法でtrpをMPEG2-PSに変換する。
・プロファイルは"カスタム"、形式は"MPEG-2"、音声トラック1のコーデックは"MP2"
・"ビデオ"に移動し、最下部の"ビデオコピー"にチェック。これで映像部分は変換されなくなる
・"音声トラック1"に移動。設定はビットレートだけ。劣化を少しでも防ぐため、最高の320に設定。残念ながら動画と音声の両方を変換なしには出来ない。
・一番上の"リストに追加"をクリック。先の設定項目の"リスト"に移動して、登録されていることを確認
・以上のことをすべてのtrpに対して行う。特に"ビデオコピー"のチェックはすぐに外されるので忘れないように
。最下部から保存先を選び、最上部の"エンコード"をクリック。数分で終わるようなら問題なし
・DVD2AVIというソフトを探してきて、エンコードソフトとして有名なAviUtlのフォルダに放り込む。TMPGEncを使う場合は、環境設定のVFAPIから"DVD2AVI Project File Reader"にチェックを入れて有効にする
・DVD2AVIを起動、さっき作ったMPEG2-PSファイルを放り込み、ファイル→Projectを保存を選び、d2vとmpaファイルを作る
・"音整"と"lame"を探してくる。lameを解凍したファイルを音整のフォルダに全部放り込む
・音整を起動。先のmpaファイルを放り込み、音のズレを修正したwavファイルに変換
・AviUtlまたはTMPGEncに先のd2vファイルをwavをD&Dで入れる
・未圧縮またはlagarithなどの可逆圧縮のAVIファイルとして出力
・DVD2AVIの作業をすべてのMPEG-PSファイルに繰り返す
・できあがった全部のAVIファイルを適当なエンコードソフトに放り込む。AviUtlならキーボードのCtrlを押しながらだとどんどん追記出来る
・好きな形式に変換
この方法がもっとも切れ目も違和感もない方法だった。特に動画の切れ目はまず見えない。ただし、音声が最大3フレーム分ほど消えてしまう。だが、それでもくっつけるだけの時よりはかなりマシになる。残念ながら、わたしの技術ではこの程度が限度だった。
エンコード目的なら、HDMIからキャプチャーした方が正直確実であろう。アナログと違い、音声もそれほど悪くなく普通にとることが出来る。なお、SKYLABのHDMIはHDCPを出力しないので、特にアダプタを挟むことなくどんなHDMIキャプチャーでも録画を行うことが出来る。
と、いうわけでこのSKYLAB。当初の想像とは裏腹に使いこなすのに相当の忍耐と過去の経験から絞り出す試行錯誤が必要だった。特に最後のDVD2AVIなんてアナログ時代のエンコード派なら誰もが一度は通った道、いわば過去の遺物的方法である。まさかこれが一番しっくり来るとは思わなかった。ほかの方法だと音声だけでなく映像まで一部が消滅してしまうのだ。
最後に加えておくが、確かに現状の不正競争防止法では、実験や研究目的でスクランブルを外す器具の発売も、実験を行って発表することも禁止はされていない。SKYLABはまさにその実験レベルと言える製品である。自慢のスペシャル機能も実用には適さず、実験ならばという能力であった。だからと言って、常時の利用が問題ないとはとても言い切れるものではないが。
だから、入手するのならば相当の覚悟を決めて行った方が良い。キワモノとしては極地に近い品だけに、労をいとわず研究に没頭出来る人ならばイバラの道も苦にならないだろうから。