日経平均株価の価格がバブル景気時を超え、過去最高値という記事が出ています。
ニュースでは一般の人が「投資をしているので株が上がって利益が出た」などと語る様子が街頭インタビューで映されていますが、まぁ100人1000人とインタビューすれば数人くらいこう答えてくれる人も出るでしょうし、そういう人を選って放送しているのだと思います。わたしも投資はやっているのですが、日本の株を単独で持っているやつは直近でも全然上がってません。額面上利益が出ているものでもそれは父親が買ったやつを相続したものであくまで父が買った時点から計算すれば利益が出ているだけのものです。ちなみにその株はそれはわたしが相続して相続税を払った直後あたりで落とし穴に落ちたように猛烈に株価を落とし、最近やっとマシになってきた、程度には上がってきましたがまだ相続時点の価格には遠い株価でしかありません。単独持ちは後で買ったやつも含めてこの調子で、わたしがかろうじて投資で利益が出ているのは全部外国株中心のファンドで、それで日本の株のマイナスをなんとか取り戻しているからです。なので全く日経平均株価の最高値なんて実感がありません。
そもそも世間の景気もそんなものじゃないでしょうか。ウチの商売の話ですが、父がよく言っていた話の中に「ウチの場合世間の景気がよくなると釣銭に不足する。みんな大雑把に一万円札で払ってお釣りを持っていくから。逆に景気が悪くなると小銭を寄せ集めてお金を工面して払うようになるから釣銭が減らなくなる」というのがありました。銀行の両替手数料は上がるばかりでウチみたいな弱小店だと利益をごっそり持っていかれかねないので手数料ゼロの範囲で両替できるよう銀行を数件数日にわたって回る必要があり、一時は釣銭の確保にものすごく苦労していたのですが、ここ数か月はもっとも減りの激しい100円玉すら銀行に両替に行かず、たまにわたしが個人的な買い物でできた100円玉5枚500円玉1枚を千円札と交換する程度、銀行で両替するのは五千円札確保くらいでやりくり出来てしまっています。わたしは外での買い物なんて月に5~6回しかしないのでそれだけ釣銭が出ること自体2か月に一度くらいなんですが、それで十分ということは、それだけお客さんが小銭の寄せ集めで支払う場合が増えたということです。もう一つの理由としてお客さんの数がまた減った、というのもありますが、どちらを見ても「日経平均株価過去最高値」の国の景気とは思えないやり取りが続いています。
それは日経平均株価が国内の景気というものを全く反映していない、ただの虚構の数字にすぎないものになり下がった、ということを示しています。それさえあげておけば見かけだけでも景気が良くなったように感じさせることができ、増税の理由が出来る。そのために円安への誘導をしたり、日経平均株価の指標となる企業に年金の資金でピンポイントに投資を行って意図的に上げているとかそういうこともしてるでしょうね。最近はインボイス制度によって大企業の負担を上げることなく中小企業の負担を大きくして弱いところをどんどん潰すことで景気の中央値を上げるなど、見せかけの景気対策だけはどんどんやってますから日経平均株価最高値もその一環なんだと思います。
同じ株価だったバブル期のころは全く違っていて、それこそ日本中が狂っていて、異常でしたからね。当時の個人的な思い出といいますと、ちょっとした用で東京は銀座に遅くまで居たときにこんなことがありました。今はどうか知らないんですが当時の銀座は条例でタクシー乗り場以外でのタクシーの乗車が禁じられていた(という話を人から聞いた)んだそうです。そしてみんな夜遅くまで、終電逃して飲んで遊ぶのが当たり前、銀座のタクシー乗り場は大行列でタクシー待ち。というのも会社からタクシーチケット大量に配布されていて業務と関係なくても実質タクシー乗り放題(と、一緒にいた人から聞いた)だったからで。しかし、夜の銀座、終電終わっても街はかなり量の自動車が行き来し、その半分はタクシーじゃないか?くらいのすごい数が目の前を往来してましたが全部乗車中ばかり。深夜終電後なのに2~3時間待ちも珍しい話ではなかったそうです。記憶は曖昧ですが、多分携帯電話は限られた人しか持っておらず、それでタクシーを電話して呼ぶ行為は普及していなかった時代だったかも知れません。そして行列の待つタクシー乗り場へ向かおうと姿を現した待望の赤ランプを灯した空車のタクシー。その姿を見かけた列に並んでいた先頭からほど遠い人がいっぱいの紙袋を両手を上げていきなり車道へ飛び出し、タクシーの前に立ちふさがったのです。タクシーはもちろん他の車も慌てて急ブレーキ、街にキキキーのやクラクションの音が鳴り響きました。見ていたわたしは生きた心地がしませんでした。事故が起きなかったのが奇跡なくらいです。そしてその飛び出した人物は乗せろ乗せろ、自分を先に乗せろと交渉していたはずですが、飛び出していったシーンがあまりに強烈で、どうなったか覚えていません。それが周りの人、特に並んでいた人から呆れられることはあっても大して咎められない、つまり出来るものなら自分も同じことがやりたいとみんな思っていた、そんな恐ろしい時代でした。
一転して現代、と言ってももう10年くらい前の話の話ですが、お釣り絡みで書いておきたかった話があります。一応実際の中身とは細部が少しですが変えて話しますね。
わたしがお釣りの工面に苦労していたころ、来るようになったお客さんがいました。来てくれるのは嬉しいんですが、全部の取引を一点ごとの集計にして、一口ごとに一万円札一枚で払う、というやり方をさせる人だったので困ってました。150円と80円と600円の支払いがあったら全部個別で三口扱い、一口ごとに一万円ですからお釣りをそれぞれ9850円、9920円、9400円寄越すように求めてきたんです。正直勘弁して欲しい要求で「せめて全部まとめて一万円札一枚にしてもらえませんか?」と頼みましたが「お客が要求してるんだから言うこと聞け」の一点張り。当時は父が存命であり、「しょうがない、お客の言うことを聞いてやれ」と言われ、心で泣きながらお釣りを渡していました。ここまでだったら、あるいはまだ少々迷惑な要求をするお客さんで済まされたのかも知れません。ひょっとしたらわたしみたいに個人商店の経営者であり、お釣りを確保したいから小銭を作るようにしているのかも、と言う思いもありました。でも、違いました。その人は終わって一時間くらいしたらこんな電話をかけてきたんです。
「五千円札が足りない。そっちがお釣りを渡さなかったんだ。金を返せ」
慌てました。さすがにまだ当日で、お金の出入りが正しかったかどうかの計算は閉店してからするので合っているかどうかその日の分は確かめていません。とりあえず
「もしそうなら申し訳ありません。ただ、わたしどもが払っていないだけかどうか確かめないといけませんのでお時間をいただくことになりますが」
と言いますと
「こっちは急いでいるんだ。今から行くからさっさと金を返せ」
とこう来ます。とにかく調べないとダメだ、まずは本日のお金の出入り状態を調べてから、とこっちも引かないと
「だったら警察に訴えて、逮捕してもらってやる!」
と電話を切られました。とにかく慌てて金を数えなおし、問題ないことを確認しました。さぁ警察に訴えようが文句をつけて怒鳴りつけてこようが来い!と待ち構えていたんですが全く音沙汰無し。
半月くらいしたらその人、その時のことなどまるでなかったように来店し、またしても金の支払いは一口ごとで全部一口一万円札払い、お釣りをたくさん持っていかれました。そしてやっぱり一時間後
「五千円札が足りない、返せ」
と電話が。もうウンザリ。ああ、こういう詐欺をやってるんだな、と。今度は引きません。支払った、いや払ってない、の押し問答が続き、また「警察に訴える!」と電話切。それが数か月間、延々と繰り返されます。必ずお釣りを山ほど持って行って、必ず一時間すると「五千円札が足りない」電話と押し問答。持っていかれたお釣りの補充に銀行回ってなんとか手数料なしの範囲で集めるのは何日もかかって大変だし、もうあの人が来たら断ろう、とわたしは父に訴えたのですが、父は「それでも客だ」と許可してくれません。
ならばこういう詐欺が無駄だ、とわからせるしかありません。いちいちお釣りを写真に撮ろうとも考えたのですが、それを「疑っているのか、写真なんて勝手に撮るな」と言われたら後で揉めたときにこちらにとってのマイナス要素になりえてしまいます、もちろん疑ってるんですが。そこで一口ごとにいちいち領収書を発行し、お釣りに関してこと細かく書き込みして
「領収書を出します。これはあなたも間違いなく支払ってお釣りを受け取って取引を終えた、という証明書です。発行した以上、領収書をあなたが受け取らなくてもお互いに取引に対して責任を持つことになります」
と仰々しく宣言してお釣り一枚一枚とともに手渡し、「これで間違いないですね」と念を押すことにしました。領収書を出したことで相互に特別な責任が生じるかどうかは言った本人も疑問ですが、相手をけん制することは出来ます。領収書代で利益削られますけど、同じことが繰り返されるよりマシです。これでもまだ一時間後に「五千円札が足りない」電話はあったんですが「領収書出しましたよね? その時あなた確認したじゃないですか。もしそれで間違っているならあなたにも確認ミスの責任がありますよ」とシレっと回答。もちろん怒りの声を上げられましたが受け付けず。それが2~3回あったのち、その人来なくなりました。わたしの態度が不快を与えたのでしょうか、一人お客さんを失ったのは残念です。でも、なんかバブルのころと比べると人のやることもセコくなったと思いますのです。
こういう人が来る場合でもない限り、お釣りには少々苦労する、程度の経営でなければ見せかけの数字だけ良くなっても世の中の景気は悪いままが続くのだと思います。ウチなんか現政府の製作では切り捨ててしまいたい対象だと思うんですが、生きていくためにそれでもしがみついていきたいものです。その割にまた今年も経産省の調査書、届いて書かされているんですが。建前上はランダムに送付しているはずなのになんで毎年経産省か総務省の調査書、どっちかは必ず来るんでしょうか。しかも書いて送り返さないと法律では罰則あると送付受け取りの代理店の人に言われました。まだ罰せられた人や企業責任者はいない、とも言われましたが、ちゃんと書かないとわたしがその第一号になるぞ、第一号だと名前出てさらされるぞ、と脅されているようにしか聞こえなかったですね、はい。まさかのそのために毎年調査書送ってくるんじゃ・・・。さすがに無いでしょうが、どっかの人みたいに全部「不明」で責任も罰則も税金も免除という立場になりたいです。