信州安曇野Web美術館・・Digitalのニューアートへご招待

デジタル彩画やデジタル版画は、今までの写真や絵画や版画と一味違うニューアートです。・・・お楽しみください。 角次郎

10 礫川雪ノ旦 葛飾北斎 富嶽三十六景 

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

礫川雪ノ旦  こいしかわゆきのあした    コレクション アート工房 雲のゆくえ

 北斎の「冨嶽三十六景」中、唯一の雪景色である。「雪ノ且」の且は旦の誤り。夜のうちに積もった雪で、江戸の町はすっかり銀世界に変わった。起伏の多い小石川のあたりでも特に眺めのよいこの茶屋は、朝から雪見客で賑わっている。女性が指す方向に小さく描きこまれた三羽の鳥が空の高さと広さを表している。

 北斎の雪景は珍らしい。今の文京区(もとの小石川)のあたりは高台が多い。その高台の料亭で男が雪見酒を楽しんでいる図で、白皚々たる満天地のあなたに、これもすっぽり雪をかぶった富士の姿が見える。空は雪晴れである。

 


9 東都駿臺 葛飾北斎 富嶽三十六景 

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

東都駿臺  とうとするがだい    コレクション アート工房 雲のゆくえ

 駿河台の対岸、水道橋付近の坂道を、神田川に向かって下っていく。土手の髙木と家屋の間をぬけると、駿河台の甍の波の上に富士が見える。坂道の上にはもう一本土手道があり、二本の坂道を武士や行商人、巡礼者など様々な人々が行き交っている。富士の眺望が開ける江戸の坂道の雰囲気がよく伝わってくる。

 現在は予備校の街として知られた神田駿河台。当時この附近には武家屋敷が立ち並び、高台から望む富士は美しかったことでしょう。荷を担ぐ行商人の姿、巡礼、お供を連れた武家、額に手をかざすもの、扇で風を入れる者と大変季節感ただよう風俗描写となっています。

 

 


8 江都駿河町三井見世略図 葛飾北斎 富嶽三十六景

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

江都駿河町三井見世略図 こうとするがちょうみついみせりゃくず    コレクション アート工房 雲のゆくえ

 これは、素晴らしい春景色である、沖天には凧が舞い日本橋駿河町の三井見世(今の三越)を両角にした通りの正面に白雪を頂いた富士山が端然と描かれている。

 しかも、右手の呉服店の大屋根には3人の屋根屋が、瓦の修理をしている。その姿がいかにも動的で、生き生きとして、この絵をさらに清新たものにしている。

 軒先にかかる看板には、「現金掛け値なし」と有り、当時呉服業界では珍しかった現金支払いで、良質な商品を必要な分だけ販売していた三井越後屋を描いたもの。みなさんご存知、現在の日本橋三越です。

 


7 上総ノ海路 葛飾北斎 富嶽三十六景 

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

上総ノ海路  かずさのかいじ    コレクション アート工房 雲のゆくえ

 

 航行する弁才船を真横からとらえ克明に描いている。弧を描く水平線で分けられた広大な空と海。帆と綱が作る三角形の中に、富士の小さな三角形がのぞいている。北斎のまた新たな波の描写も注目される。弁才船を手前に富士を望む。富士の麓に伸びる陸地は富津岬と考えられることから、金谷浦・湊浦付近の沖合浦賀水道からの風景かと推測される。

 三浦半島と房総半島に挟まれた海峡である浦賀水道(千葉県富津市)から描かれた図と思われます。江戸時代、房総半島には多くの湊があり、江戸と結ぶ江戸湾の海運で賑わっていました。湾曲した水平線は、北斎は地球が丸いことを知っていたことを暗示してくれます。構図の妙、色彩の妙、全てにおいて北斎が如何に優れた絵師であったか感じさせます。

 

 


6 尾州不二見原 葛飾北斎 富嶽三十六景

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

尾州不二見原  びしゅうふじみがはら    コレクション アート工房 雲のゆくえ

 

 なによりも奇抜な構図によって世界的に有名である。中央に大きな桶の円があり、その中に小さな富士が遠く見えるという面白さである。しかもこの桶を作っている桶屋の姿を、安定した場所で絵の中心にしている技巧は北斎の独壇場といっていいであろう。
 また桶屋の姿態描写が生き生きと力がこもって切実で、人物画にすぐれた北斎の典型的な傑作といってもいいであろう。俗にこの絵を「桶屋」と呼んでいる。 
現在の愛知県名古屋市郊外、富士見原を描いたもので、遊郭や武家の別宅が存在する名勝地として知られていたそうです。

 

 


5 東海道程ケ谷 葛飾北斎 富嶽三十六景

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

東海道程ケ谷  とうかいどうほどがや    コレクション アート工房 雲のゆくえ

程ヶ谷は現在の横浜市保土ヶ谷区。程ヶ谷宿近くの品野坂は松並木が見事であったという。北斎はその松の枝振りを見事にとらえて描いている。前面の人物の描写も面白い。特に中央の馬子が、松の間から見える富士を仰ぎ眺めているが、この男のしぐさによって、遠方の富士との距離感が一気に伝わってくる。この馬子が牽く馬や背には永寿堂の家紋が見える。また、富士もよく見ると南側(画面左側)の斜面の雪が解けていて、描かれた季節が晩春であることがうかがえる。初摺りのイメージの版では人物の歩く地面や富士の裾野の山々に、明るい緑色が配されていたが、この版では藍色を主とした配色が施されている。

 


4 隅田川関屋の里 葛飾北斎 富嶽三十六景

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

隅田川関屋の里  すみだがわせきやのさと    コレクション アート工房 雲のゆくえ

隅田より千住河原までの一円の地をさして関屋の里といいます。現在、京成線に関屋駅がありますがその辺りを描いたものです。牛田堤を馬で疾走する旅装姿の3人に武士。この躍動感のある近景に対して、静かで雄大な富士を遠景に持ってきた北斎の心憎い構図。色使いや馬の細かい描写など、北斎の醍醐味を満載した作品です。

 


3 江戸日本橋 葛飾北斎 富嶽三十六景 

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

江戸日本橋  えどにほんばし    コレクション アート工房 雲のゆくえ

 五街道の起点である日本橋は、江戸の経済の中心であり、両岸には整然と並ぶ蔵屋敷があった。北の橋詰にある魚河岸には、多くの船が荷を運び、橋はいつも賑やかだった。この市場は、徳川家康公が入府された時、摂津の漁民が30人ほど一緒に移り住むようになり、彼らが白魚漁の権利を得るようになったことが始まりといわれている。 中央には、橋の擬宝珠(ぎぼし)が黒く大きく描かれている。擬宝珠は橋の格を表しており、擬宝珠があると、幕府が管轄する公儀橋であることの証となる。江戸城下では日本橋と京橋、新橋にのみ許されていたが、日本橋の擬宝珠は、明暦の大火(1657年)に焼失。1658年(万治元年)再建された。

 


2 凱風快晴 葛飾北斎 富嶽三十六景

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

凱風快晴  がいふうかいせい    コレクション アート工房 雲のゆくえ

稀代の天才絵師・葛飾北斎による連作錦絵『富嶽三十六景』中で最も有名な作品のひとつ『凱風快晴(赤富士)』。本作は北斎が1823(文政6)年頃から取り組み始め、1831年(天保2年)前後に刊行された、冨嶽(富士山)を画題に主板36図及び追加分10図(通称裏富士)で構成される連作大判錦絵『富嶽三十六景』の中の1点で、夏から秋にかけて年に数回、朝焼けによって富士山が赤く染まる現象、所謂≪赤富士≫の情景を描いた作品である。赤富士は南風の吹く晴天の朝方に起こる現象で、『凱風快晴(がいふうかいせい)』という本作の名称はそこに由来している(※凱風は南風を意味する)。画面右側に悠々と聳える富士山を、左側に巻積雲(鰯雲)が流れる紺碧の空を配するという非常に簡素で単純な構図を用いながら、富士山の堂々とした雄大な造形性や霊峰としての神秘性、揺るぐことの無い不動性などは富嶽三十六景の中でも群を抜いて優れた出来栄えを示しており、特に本作の極めて純粋な造形に対する視覚的アプローチには、北斎の類稀な才能を感じずにはいられない(※富嶽三十六景で山の姿そのものを主題に置いている作品は本作と『山下白雨』の2点のみである)。また4枚の版木と7度の摺りで完成する本作で用いられる赤色(富士の山頂から中腹部分)、緑色(富士の山麓部分)、青色(鰯雲のかかる空)の明快な階調の変化は観る者に強烈な印象を残すと共に、一服の清涼感と心地よさを与えることに成功している。中でもベロ藍(ベロリン藍)とも呼ばれる、当時、西洋からの輸入され流行となっていたベルリアン・ブルーの鮮やかな色彩は絵師の絶頂期の作品に相応しい輝きを放っている。なお富嶽三十六景の中で特に人気の高い本作と『山下白雨』、『神奈川沖浪裏』の3作品は三役と呼ばれている。

 


1 神奈川沖浪裏 葛飾北斎 富嶽三十六景 

2020-09-11 | 富岳三十六景コレクション室

神奈川沖浪裏       かながわおきなみうら    コレクション アート工房 雲のゆくえ

現在の横浜本牧沖から富士を眺めた図。「浮世絵と言えば、これ!」というくらい世界的に有名な作品です。北斎が長年に渡って描いてきた波の作品の中でもダイナミックな構図と静と動が交錯する画面は圧巻の一図です。国内外の有名な美術館・博物館にも所蔵され、現代のアーティストに今なお影響を与え続ける世界的名画といえるでしょう。

 


『信州安曇野Wev美術館 へようこそ・・』デジタル彩画・デジタル版画はPCで描くニューアートです。写真や絵画と一味違う作風をお楽しみください。

デジタル彩画やデジタル版画は、主に写真を原画としてパソコンを鉛筆や絵具・彫刻刀として使い描く新しいアートです。写真を画像処理ソフトのフィルターや描画機能・画質調整などで、図柄を描画し点描や隈取や色彩を描きそろえ、版画の版木にあたるレイヤと呼ばれる数枚の「電子版木」と組み合わせ、油水彩画や木版画の様に描画する電子画法です。