グループリーグは1勝1分1敗で決勝トーナメントもスイス代表に0-2で敗れてベスト16でユーロ2024敗退が決まった前回王者のイタリア代表に対し、母国メディアはもちろん前回決勝を戦ったイングランド代表のOBからも批判が集まっているようです。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/theworldmagazine/sports/theworldmagazine-410146
今大会のアズーリへの批判は、次の三つになろうかと思います。
一つは創造性の欠如とタレント不足。
二つ目はやる気、闘志のなさ。
三つ目はスパレッティ監督の采配、です。
ただ、この三つの要因が絶妙に絡みあっている印象を受けます。
まず今大会のアズーリには、ポルトガル代表FWクリロナやフランス代表FWムバッペにイングランド代表FWケインやベルギー代表MFデ・ブライネのような個は欠けていたと思います。
ただ、これは今に始まった話ではないというか、前回優勝した時にも言われていたことだと思います。
少なくとも前回優勝チームにもクロアチア代表MFモドリッチのような10番は不在であったと思います。
この創造性の欠如とタレント不足と聞いて、いつも思い出すのが、12年程前に読んだとあるサッカー雑誌の記事です。
たぶん「サッカー批評」という雑誌で当時日本代表を率いていたザッケローニ監督が表紙だったかと思うのですが、ミラン・チェルシーを経て当時パリSGの指揮を執っていた現レアル・マドリーのアンチェロッティ監督がその指導者としてのキャリアを自ら振り返ったインタビュー記事とユベントスを久々のタイトルに導いてその後アズーリやチェルシーにインテルの指揮を執るコンテ監督のインタビュー記事が記憶に深く残っているのですが、同時に当時のイタリア代表の育成年代の指導状況をレポートした記事も記憶に残っていて。
巻末に白黒のページに書かれていたその内容を全部は憶えていないのですが、アンチェロッティ監督やザッケローニ監督の師匠とも言える(ザッケローニ監督は直接ではないですが)サッキ氏が育成年代の総括責任者となってから、所謂ファンタジスタの素養を持った子供達は評価されなくなったと言うものでした。
ある一人の少年の現状を例にレポートされていたことも記憶に残っているのですが、同時にサッキ氏がミランで現役時代のアンチェロッティ監督に指導したゾーンプレスの素養、ファンタジーアよりもフィジカルが重んじられるようになったことを察しました。
そして、サッキ氏がアズーリを率いた1994年W杯、ファンタジスタの代名詞とも言える元イタリア代表FWでサッキ氏のアズーリの10番であったロベルト・バッジョとの確執が育成世代にも続いていると想像されました。し、
もちろんサッキ氏はサッキ氏で、バッジョと同じ10番で同じバロンドーラ―の元オランダ代表MFフリットをミランで輝かせている訳ですが、創造性の欠如とタレント不足と聞くとサッキ氏の影響下にあった育成世代がA代表の中核を担っているのではないかと思う次第です。
一方で、ゾーンプレスはゲーゲンプレスはもちろんティキ・タカの祖というか、サッキ氏がミランでフリットを右サイドに据えましたが、ティキ・タカの祖とも言える元オランダ代表のヨハン・クライフもまたフリットを起用する時はおそらくサイドに配置していたというか。
ようはそれならそれでやりようがあったというか、そうするようにしてきたんだから、そうすれば良いというか。
やりようがあったのが、前回大会のアズーリというか。
そうなると前回大会のアズーリを率いたマンチーニ前監督とスパレッティ現監督の差というか、スパレッティ現監督の采配、ユーロ2024本番を前にアズーリの合宿にスパレッティ監督の発案でバッジョや元イタリア代表FWデル・ピエーロに元イタリア代表FWトッティら歴代のアズーリの10番が招待されてコーチとしてトレーニングにも参加したことも今思うと逆に現役選手のモチベーションを下げてしまったのかと想像してしまう訳です。
アズーリとしてはレジェンドかもしれませんし、グループリーグのクロアチア代表戦で06年W杯準決勝のドイツ代表戦でのデル・ピエーロの決勝点を彷彿とさせるイタリア代表FWザッカーニのゴールもありましたが、一方ではサッキ氏に否定された10番の指導がピンとこなかった可能性もあります。
それは逆効果よりも達が悪いというか、糠に釘というか。
特に現10番のイタリア代表MFペッレグリーニにとっては、プレッシャーになっていたかもしれません。
ローマでは7番で、トッティからローマの10番は継承できていませんし。
モダンサッカーの花形とも言える左ウイングで起用していたペッレグリーニを中盤でも計算できるとはいえ、クロアチア代表戦では一列下げ、スイス代表戦ではそもそもベンチスタートで代わりにローマのチームメイトであるイタリア代表FWエル・シャーラウィを起用したスパレッティ監督はここでもやらかした感じはします。
確かに左ウイングはエル・シャーラウィの方が本職というか、ペッレグリーニは3-4-2-1のトップ下の1枚というか。
3-4-2-1と言えば、大会前のエクアドル代表戦では3バックの3-4-2-1で臨んでアズーリが勝っていたと記憶しているのですが、本番は4-3-3に変えてしまった感じもします。
これもスパレッティ監督からしたら、ナポリで実績のある4-3-3はもちろんそのキャリアからすると3バックもお手の物なのかもしれません。
ただ、3バックのインテル勢を多く招集して4-3-3をクロアチア代表戦ではインテルと同じ3-5-2に変え、スイス代表戦ではまた戻して、挙句の果てには司令塔もアーセナルのイタリア代表MFジョルジーニョからユベントスのイタリア代表MFファッジョーリに代えたことで余計に混乱したのではないかと想像します。
試合直前に目を通した多分「ワールドサッカーダイジェスト」のユーロ2024の出場名鑑で、ファッジョーリは賭博の出場停止の影響でコンディションはバッチリだと書かれていて、根拠レスで酷い選手評だと思っていましたが。
その一方で、好成績を残したアズーリの中盤の底にはレジスタがいた訳で、ジョルジーニョの後継者が今後必要だと思います。
1982年W杯の元イタリア代表MFアントニーニョ然り、2006年W杯の元イタリア代表MFピルロ然り。
そのピルロの系譜を継いでいるのはドイツ代表MFクロースだと思う訳で、そのクロースを復帰させたことでドイツ代表はベスト8進出を果たせたのかもしれません。
いずれにせよ30年前はスイス代表とアズーリとでは、アズーリだったと思います。