「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

岩戸落葉神社・源氏物語 落葉の宮に思いを馳せて

2011年11月14日 | 北山杉の里 見どころ

朝夕は上空に冷たい空気が流れ込み、山あいは真っ白なもやに包まれます。お昼頃にはようやく晴れ間が見え、やわらかい暖かさにほっとする季節になりました。

ここ生産組合から国道162号線を京北に向かって車で2〜3分で小野郷へ。

そして大森への分かれ道を入ると道が細くなってきます。少しすると綺麗に刈り込まれた生垣とその中に聳える木々が見えてきます。

 

 生垣に近づいて見ると、もみじ・ひいらぎ・サカキなど幾種もの樹木で構成されていて、また違った趣きがあります。

 生垣にそって歩き、正面に回ってみると...

 大きな大きな銀杏の木に囲まれてひっそりと鳥居さんが佇んでいました。

 

 岩戸落葉神社(いわとおちばじんじゃ)。イチョウが見ごろを迎えています。とても小さな可愛らしい黄金の葉っぱが石段を埋め尽くして、時折風がさらって行ってはまた積もります。

 

岩戸落葉神社は、岩戸社と落葉社の二社からなっています。

岩戸社は小野上ノ町の氏神で、御祭神は小野氏が大切にしたことで知られる瀬織津姫(せおりつひめ)はじめ女神の三神。
落葉社は、小野下ノ町の氏神です。祭神は古来、源氏物語に登場する、落葉の宮を祀るといわれています。

 




巨大な石を真ん中に左側が岩戸社、右側が落葉社です。
それでは恒例の狛犬ちゃんwacthing!

 

左側が阿・吽の「うん」

 



右側が「あ」。大きく口を開けています。そしてこのスタイル...尻尾を立ててお尻を突き上げていますよ!

 

チョット可愛い恥ずかしいこのスタイルは腰を上げて今にも飛びかかろうというポーズで形状分類では「出雲構え獅子」型(crouching style)と言うのだそうです。

 

社の裏側も岩盤が剥きだしになっています。「岩戸」という名称と何か関係あるのかも知れません。


落葉社は、落葉の宮の隠棲地に因んで創祀されたと伝えられていますが、源氏物語の「小野の山里」を当地としたのは、後世の伝承であって確証はないそうです。

その源氏物語の「落葉の宮」はどのような宮さまなのでしょう...

それではしばし源氏物語の世界へと入ってみましょう。

 


朱雀天皇の皇女、落葉の宮は、柏木右衛門督(うゑもんのかみ)に嫁ぎましたが、柏木は同宮に心を染めることが出来ず、その妹の女三の宮に恋慕していました。


柏木は女三の宮のことが忘れられず、自分は「落穂を拾った」と嘆いたことから自分の妻につけたニックネームが「落穂の宮」。柏木(呼び捨て!)なんて失礼なヤツなんでしょう...!!

 

しかし、柏木はほどなく身まかり、傷心の落葉の宮は母とともに「小野の山里」に隠棲します。柏木はこの世を去る前に、親友であった光源氏の子・夕霧に「落葉の宮のことを頼む」と言い残します。今生の別れ、間際に浮かんだのは深く情を重ねることが出来なかった妻だったとは。そして真面目な親友によろしくね、とお願いするとは...柏木、少しはいいところもあったやん♪

 

間もなく夕霧が訪ねてきて、落葉の宮と親しい仲になっていきます...

実は柏木にはもっとけしからんことがあったり、それに纏わる出来事etc...このくだりは源氏物語 五十四帖の中で第三十六帖「柏木」から第三十七帖「横笛」と続いていきます。

因みにその次の第三十八帖「鈴虫」が現行二千円札の裏に印刷されている絵巻です。

興味のある方は源氏物語に触れてみてはいかがでしょうか?

 

 

天に向かって真っすぐに、そして大きく枝を広げている銀杏の木。

傷心を抱えゆかしい暮らしをおくる落葉の宮を見守ってきたの?...そっと幹に耳をあててみても静寂が聴こえてくるだけ。

黄金に舞う小さな扇を愛でながら夕霧のほのかな思慕に思いを馳せるのでした。

 

 

お知らせです♪

平成23年11月20日(日)、岩戸落葉神社のイチョウ祭りとライトアップが開催されます。

※午後1時より

【軽食コーナー】

コーヒー、やきいも、鯖寿司、草餅など茶店

【バザーコーナー】

小野郷で収穫された米や野菜、自家製漬物などの特産品、使用されていない贈答品などの即売

 

※午後5時~8時 ライトアップ

※午後6時~7時 奉納演芸会(和太鼓、合唱など)

日曜日にはこの写真よりもっともっと美しいイチョウが見られるはずです。

ここだけの話...午後5時から先着200名様、おぜんざいが無料でいただけます^^

そうだ!黄金に染まった岩戸落葉神社へ行こう...!

落葉の宮と夕霧がにっこり微笑んで迎えてくれるかも知れません。。

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中川・秋の風物詩を探して(2) 

2011年10月28日 | 北山杉の里 見どころ

10月もまもなく終わろうとしています。陽が落ちるとサッと冷たい空気が身体を包み込み、思わずぶるっと身震い...そろそろ炬燵が恋しくなってきました。

宗蓮寺の紅葉はまだほんの少ししか色づいてはいませんが、もう一つの見どころを迎えています。

参道に入るとすぐに目に入るピンク色...

山門へと続く道沿いに咲く可憐な花。秋明菊(しゅうめいぎく)が最盛期を迎えています。

 

秋明菊は「菊」という名前がついていますが、菊の仲間ではなくアネモネの仲間です。

植物学ではキンポウゲ科。古くは中国から伝わり秋牡丹とも呼ばれていました。また、貴船に多く自生したことから貴船菊とも言われています。

背が高くなり、茎は長くその先に花をつけ風に揺れる姿がとても嫋やかです。

 

山門をくぐり見渡せばあちらこちらに群生する鮮やかな色。

ミツバチが夢中で蜜を吸っています。カメラが近づいても、知らん顔。

 

お寺の中の小さな流れの周りにもトクサやシダ類など、色々な植物が見えます。 整然としすぎず、自然のままの姿にかえって風情を感じます。

とっても可愛いお顔のお地蔵さん。

 こちらは面白いお顔の???

 

 秋明菊だけでなく赤い実や黄色い花、色とりどりで華やかな雰囲気です。

 

これは「ツワブキ」。フキの仲間ですが、葉がつやつやとしていることから艶のあるフキ→ツワブキとなったようです。園芸植物として日本庭園の石組みや木の根元に植えることから石蕗(イシブキ)とも言われています。

 

そして小さな赤い実と少しギザギザした葉っぱが特徴の「センリョウ」。マンリョウと共にお正月の縁起物として良く知られていますね。

 

お寺のまわりにもたくさんの花々が秋の日差しを浴びて元気いっぱいに咲いていました。 

これも秋明菊。もともとはピンク色で、白色や一重咲きは新しい品種のようです。

空に向かって枝を伸ばしているのは「ムラサキシキブ」。6月に咲く花は撮影を逃してしまいましたが、美しい紫色の実をつけています。

果実が紫色なことから平安時代の「紫式部」の名がついていますが、もともとは「ムラサキシキミ」という名前だったそうです。

「シキミ」とは実がたくさん成るという意味。

 

ムラサキシキブの根元に目をやると、青々とした低木が白い、小さな花をたくさんつけています。

ころんとした花びらに溢れそうに鮮やかな黄色い雌しべは何となく椿に似ています。

これはお茶の花。

中川ではその昔お茶が栽培されていました。畑のまわりを囲うようにお茶が植えられ、販売や家庭用のお茶を育てていたのだそうです。その名残でしょうか、今でもところどころにお茶の木を見ることが出来ます。

中川のお茶は独特の味わいだったと聞きました。

こうして今なおひっそりと咲いている花を見ていると茶摘みや干したり蒸したりする光景が目に浮かんできて、中川のおじいちゃんやおばあちゃんと一緒にそのお茶を飲んでみたいなぁ...と思うのでした。

そして何となく椿の花に似ていると思ったのも納得。お茶はツバキ科の常緑樹だったのです。

もうお茶として新芽を摘まれることはなくなりましたが、年中緑をたたえツバキに似た可愛らしい花をつけてくれるお茶も確かな「中川・秋の風物詩」。

  

お寺をあとにして振り返れば、きれいに枝打ちされた北山杉の緑に、秋明菊の濃いピンクがよく映えます。

私たちは、花が季節を間違わずに咲いてくれることで「あぁこの花が咲いたら秋の収穫だな」とか「もうすぐ寒くなるな」とかを教えてもらえる、自然のカレンダーを持っていました。

けれど地球温暖化が囁かれる近年、動植物も絶滅の危機に晒されたり、先日のあけびのようにいつの間にかその姿を見なくなったり、あらぬ時期に花が咲いたり...と言う現実があります。

今年も、中川には秋の花が咲いてくれました。

秋明菊の花言葉は「忍耐」。

この花言葉のように、これからも厳しい環境の中で耐えて美しい花を咲かせて欲しい。

何故か北山丸太と重なり励みをもらったような気持ちになりました。

来年も、その次の年も...。いつまでもこの光景が見られるように願ってやみません。

 

 

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中川・秋の風物詩を探して

2011年10月18日 | 北山杉の里 見どころ

こちら生産組合から望む北山杉の山々は一面のグリーン...小さな若い台杉タルキも、まるで散髪したての少年のように綺麗に枝打ちされて勢ぞろいしている姿が見えます。

そんな中、もみじの木も見上げると所どころうっすらと色づいて来ました。

朝夕冷え込んでくると北山が錦に染まるのも間近です。

 

先週から秋の植物を求めてカメラ片手に中川を歩いています。題して「中川・秋の風物詩を探して」。

緑と水が豊かなところならどこにでもあるかも知れない、長くここに住んでいる方々にとっては毎年見られる普通のこと...だったはず。

でも聞いてみると「昔はいっぱいあったのに今はほとんど見かけないなぁ...」

そんな植物を求めていくつか山道を歩いてみたのですが、ありません。

途方に暮れる私たちに「小学校にあるよ!」という朗報が飛び込んできました。

いそいそと中川小学校へ向かい案内されたそこにそれはありました。

 

うふふ。まだ解りませんよね^^では...

えっ...!?サツマイモが枝についている?! なるほど色は赤みを帯びた薄紫色ですが大きさは10cmくらいです。

これは「アケビ」。

アケビはその昔、山遊びする子ども達にとって絶好のおやつとして親しまれていました。実が膨らんできてもうそろそろ...と狙っている矢先に鳥たちに奪われて悔しい思いをしたり...ところが今ではほとんどその姿を見ることは出来ません。

それが、この中川小学校の裏手に二つだけ実をつけていたのでした。

明日にははじけてしまうだろう...いやいやカラスがつついてしまうよ...と教頭先生に脅され?不安を募らせながら3日間通ってみました。

 

あくる日...わぁ!はじけて少し中身が見えています。アケビについて少し調べてみました。

「アケビ」・・・アケビ科蔓性落葉低木の一種。学名はAkebia quinata。

雌雄異花で、蜜を出さないので受粉形態はよくわかっていません。

雌花が雄花に擬態して雄花の花粉を目当てに飛んでくる小型のハナバチ類を騙して受粉しているらしいです。虫たちを「だまして」と言うのが何かしたたかで面白いですが、それも種の保存ため。

受粉が成功すると雌蕊は果実をつけ、9月~10月にかけて熟して淡紫色を帯びます。

成熟した果実の果皮は心皮の合着線で裂開、甘い胎座(ゼリー状の果肉)とそこに埋もれた多数の黒い種が見えてくる...

ほうほう、文面どおり縦に裂けて中身が見えています。

この白い部分が「胎座(たいざ)」で黒いつぶつぶが種。

白くて甘い胎座を鳥や哺乳類(ヒトも^^)が食べて、種が散布され種は保存されて来たのです。

わかりやすい例ではピーマンの小さな種のまわりに付いている白いふわふわのもの、あれが胎座です。

中川のアケビは少なくなってしまいましたが、山形県では農家さんが栽培していたり東北地方でも新芽を山菜として利用しているのだそうです。

 

そしてアケビの蔓性の茎は「木通(もくつう)」という生薬として使われていました。

利尿作用、抗炎症作用があり漢方処方されます。

この他、強くしなやかな蔓はかごなどの工芸品となったり種は油の原料となるなどあますところなく利用されたそうです。

 

 いったい誰がこの不思議な植物にこのような素晴らしいパワーと用途を見出したのでしょう。

科学の発達した現代にアケビの成分を分析したところで自然の中での動植物の営みの前では何の意味もなさないという気持ちになります。

人も動物も季節の流れの中で、食べられるもの食べられないもの、病に効くもの、怪我を癒すものなど自然の理を学び植物の恩恵を受けてきました。そして植物もまた、動物たちによって種を保存できてきたのです。

いつの間にか自然界のバランスが崩れ、中川のアケビも少なくなってしまいました。

けれど、この小学校にひっそりと生った二つのアケビがどうかたくさんの種を残し、時が巡りめぐって、いつの日かたわわに実をつけてくれたら...

少し冷んやりした秋の空の下、子ども達が山を駆け回ってアケビの種を飛ばしている...そんな光景が目に浮かぶのでした。

アケビの英名はChocolate vine。直訳するとチョコレートの蔓。

蔓がチョコレート色だからなのか、はたまたチョコレートのように甘いからなのか... ... 調べてみようと思います^^

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270年の時を経て...

2011年09月08日 | 北山杉の里 見どころ

台風12号は長く日本列島にとどまり、猛威をふるい、各地に大きな被害をもたらしました。

いまだに孤立している方々もおられ、一刻も早い救助を願うばかりです。

ここ中川も大変な風雨に見舞われました。大きな被害はなかったようですが、皮を剥いて乾燥させていたタルキの色の仕上がりが...と嘆いている人もいます。

さて台風一過とはよく言ったもので、長雨が去った後はまるでハケでさっと撫でたような秋の空!!

 日中の日差しはまだまだきつく蝉の合唱も賑やかですが朝晩はグッと冷え込み、そろそろ中川の秋が足音を立ててやってきました。

 

今日は中川の伝統的な家屋をご紹介しましょう。

宗蓮寺に向かう途中、チラっと見えた何か...?両側に夏の草花が茂る道を行くとそこに見えたのは....

茅葺きのお家!! とても美しく整えられ、元気な生活感。近づくにつれ「家が呼吸している」のを感じます。

 

ここは中川で唯一の茅葺きの伝統家屋、Uさん邸。

築およそ270年というこの家は、現存する茅葺き家屋で人が生活しているという点でも極めて貴重で、大学の調査も受けています。

20年から30年に一度は葺き替えなければならないという茅葺き民家、維持も大変なのに住み続けるUさんから色々聞き出しちゃおうと思います!

 

 

これがお玄関。見えていませんが、屋根を支えるのにも北山丸太が使われています。

まず目についたものが・・・何か由緒ありそう・・・って言うか

チョットおどろおどろしい~~かも?犬神家の一族・・・!

名前は何と言うのかUさんも判らないみたいですけど、お札を入れておくもののようです。

破れた隙間からおそらく「愛宕」の文字が見えますね。

Uさん、触ったことがないとおっしゃるから、中のお札の年号を見て遡ってみると...100年くらいはそのままみたいです。

 

中川の伝統家屋には、それぞれの部屋に独特の呼び名があります。

入ってすぐが「シモンデ」。「下の出」から来ているそうです。そしてここは「ウッチャ」。

「うちわ」が語源であるように、家族が集う生活の中心となる部屋。。時にはお客さんを招いて真ん中に切られた囲炉裏を囲み会話がはずんでいたのが目に浮かびます。

奥には懐かしい「おくどさん」が見えますね。もう使われていませんがウッチャにどんと腰を据えている姿を見ると、長年家族の食事の要となったおくどさんへの愛着が感じられます。

 

ここは「ナカノマ」。昔は寝室だったようです。数えてみると4畳ですが、普通の4畳よりもかなり広くなっています。そしてこの奥にお座敷があります。

 

家のあちらこちらに昔のつくりが見られます。私たちは「シモンデ」でお話を伺いました。お部屋とお部屋を仕切るのに襖はありません。みな、木の引き戸です。

鉋(かんな)などない当時は「鑓鉋(やりかんな)」と言う道具で削ったそうです。斜めから見ると戸の表面がなだらかでなく、少しデコボコしているのがわかります。

外を遮るのに、雨戸はありますがガラス戸やサッシはありません。障子だけ。それでいいのです。

ここには古き良き時代の空気がそのまま流れています。

何故270年もの間、天変地異によって倒されることなく現存しているのでしょうか...それはこの萱葺きの家屋が風が吹けば風とともに漂い、地震が起これば共にゆらゆらと揺れるから、とUさんはおっしゃいます。

「ガチガチの建築ではなく、家自体が自然に身を任せている」  家は自然に身を任せ、家族はその家に身を委ねる...そんな生き方が今なお、ここ中川で息づいているのです。

 

心地よい風に虫の声。「涼し~~」思わず声に出すとUさん、「萱葺きの家は夏涼しくて、冬あたたかいって言うやろ?アハハ!そんな事あらへん、隙間だらけで冬は寒い寒い」...だそうです^^

…あ。じっくり見ると木がそって隙間があったり、歪みのために引き戸が重かったり。だって270年もの間、幾世代の家族を見守ってきたのだから少しくらいの不具合は大目に見てください。自然に身をまかせるんだから寒かったら着込みましょうよ。・・・とは言ってませんよ。。

 

去りがたいほどくつろがせて頂いた、最後のサプライズ!!

それは正面からは見えませんがお風呂の屋根に取り付けられたソーラーパネルです。

Uさんご自慢のすぐれもの、夏も冬も燃料いらずでお風呂をいただけるそうですよ。

現代の便利も少し取り入れながら太陽の恵みを暮らしに役立てているのですね。

 

 色んな方面からの取材や調査があるにも関わらず、Uさんご夫妻は伝統家屋を270年も守り伝えている、というような奢りはなく肩肘はらず本当に普通に、自然に暮らしておられるように見えました。

ふらっと立ち寄ってみたら...今日もUさんが表の長いすに腰をおろしてお庭を眺め、傍らで奥さまが何やら用事をされてる姿が見られるかも知れません。。

 

 

 

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数寄屋造りの粋

2011年08月29日 | 北山杉の里 見どころ

ちょっとだけお宅拝見!! Kさんご夫妻に無理言って見せていただきました。

およそ30年前に改築されたこの家には数寄屋造りのお部屋や回廊があり、専門の大工さんが駆使された技術や粋があちらこちらに見られます。

語源の「数寄」は茶の湯や生け花など風流を好むこと、「数寄屋」とは「好みに任せて造った家」で茶室を意味し桂離宮や修学院離宮が有名です。

タルキの天井(大雨が降り込んでの染みにKさん嘆いておられます)、もちろん廊下は畳敷き。

 

面皮柱と磨丸太(長押)の見事な組み合わせ。ちなみに壁も聚楽などではなく、まるで模様のように見える左官屋さんの腕です。

 

欄間も洗練されています。シンプルですが、とても手の掛かった細工。ここにも数寄屋造り独特の、虚飾を嫌い内面を磨いて客をもてなすと言う茶人たちの精神が垣間見られます。

 

 

 

 

見よ!!これが天然出絞だ!! 歳月とともにいい色になっていますね。

写真はほんの一部です。北山杉をふんだんに使ったお部屋、建てたばかりのような木の香りが漂い座っているだけで落ち着くのです。Kさん、大切なお家を見せていただき有難うございました。

 

≪おまけ≫

Kさん「あれを見てごらん。」あ、周囲の家々の屋根の上に小さな屋根が。

 

これは「煙ぬき」と言って、昔はどのお家にも囲炉裏があり上昇する煙を外へ逃がすためのものだそうです。

現代の換気扇のようなものでしょうか。本当に昔の人は良く考えたものです。生活の知恵、建築の美。

まだまだ、中川の魅力は尽きません。 

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本白杉のおじいちゃん

2011年08月22日 | 北山杉の里 見どころ

今日は162号線沿いの気温表示は26℃と、数字を見ただけでホッと気分がやわらぎます。このまま夏が終わってしまうのでしょうか?いやいや、まだまだ猛暑日がやって来るようですよ。

 

そんな中、中川の名所・第二弾!! 

今日は中川八幡宮社へ行ってきました。場所はJRのバス停で「中川学校前」です。近くには消防署や区役所の出張所があります。

ね、緑がいっぱいでとっても綺麗なところでしょう?

バス停の反対側すぐにこれまた緑に囲まれた鳥居さんが見えます。

 

狛犬ががおーと威嚇の表情をしています。でも何かチョット可愛いです。

 

中川八幡宮は鎌倉時代、鎮守の社として山の神々を祀り、その後源家の一族がこの地に定住し建立したものと伝えられています。

寛文12年と明治27年の二回の火災で本殿を焼失し、古文書などはほとんど失われてしまいました。

幸いにも御神霊は無事奉還されたので翌明治28年に再建され現在に至ります。

拝殿には10月の秋祭りにお神輿が奉納されます。

階段を昇って本殿へ。両脇・後にも杉の木が鬱蒼と茂り本当に山の神様が住んでいらっしゃるようです。

ご利益としては厄除け・開運・家内安全・交通安全・安産祈願など。。。

私たちもお賽銭をいれてガラガラ、ぱんぱん!!

 

さて本日のハイライトです。

本殿の周りにはあちこちに大木があるのですが、左奥に目をやると一際大きな杉が姿を現わします。

見上げればどこまでも高く、午後の日差しが木漏れ陽となって一段と勇壮かつ幻想的な雰囲気を醸し出しています。

太い太い幹。そして力強く地面にはりついた根が、まるで大地をしっかりと守っているようにも見えるのです。

この木は樹齢およそ500年の本白杉老樹。

北山林業を代表する「シロスギ」という品種で、北山杉の母樹とも言われています。

長い長いあいだ、この中川を見守ってきたシロスギのおじいちゃん。近づくと圧倒されそうで何故かあたたかい。

それはきっと中川に住む人々が崇め、感謝し、いつの時代も守ってくれた山の神様に大きな安心感を覚えるからではないでしょうか?

山の神様が棲む中川八幡宮。秋祭りにお神輿を見に行きませんか?そして紅葉と北山杉のコラボレーションも今からとっても楽しみです!!!

 

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「冬の花」

2011年08月18日 | 北山杉の里 見どころ

今日は中川の名所とも言える素敵な場所をご紹介しましょう。

 

国道162号線から中川地区方面に入り少し行くと、ふたまたの道が現れます。

山手の方を道なりに行くと見えてくるのは綺麗に手入れされた北山杉。

そこに宗蓮寺の参道が続いています。

少し早いかな、と思うけれど萩が可憐な花をつけています。

そして見渡す杉、紅葉...

 

宗蓮寺は室町時代末期から続く歴史あるお寺。

山門も夏の日差しを浴びながらしっとりとした風情のたたずまいです。

本堂を通り抜けたどり着いた縁側からの絶景は見事なものです。

遠くに北山杉を望み、桜や紅葉などの樹木が存在感を示しています。その周りにも丁寧に手入れされたタルキが真っ直ぐに空を見上げてiいます。

春は桜。しゃくなげやササユリ、夏から秋にかけては萩、秋明菊。四季折々の花々が咲き誇るお庭の中には如意輪観音の石仏が変わることなくやわらかな表情で腰をおろしています。

秋。萌える紅葉と北山杉のコントラストが見られるのももうすぐ、かな?まだ少し先ですけどね。。。

 

そして冬。ここ中川の「冬の花」って何でしょう? 

辺りが雪に包まれる極寒の冬。霜でやけた北山杉の葉が赤くなり、まるで雪の中に咲いた花のような光景なんですって!

そんな一味違った北山杉の姿も是非見てみたいものですね!

 

最後に壮大な台杉を。

樹齢500年、600年とも言われるこの台杉は見るものを圧倒します。

そのどっしりとした幹を見ているとこれまでどれくらいたくさんのタルキを産み出してきたのだろう?どれくらいたくさんのお世話がいったのだろう?これからももっともっと、生き続けて欲しい。そんな思いがこみ上げてきます。

 守ることも大切。繋ぐことも大切。そして森の中の文化を創りたいとおっしゃるご住職。

これからその言葉を考えてもっともっと北山杉を見つめて行きたいと思います。

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