朝夕は上空に冷たい空気が流れ込み、山あいは真っ白なもやに包まれます。お昼頃にはようやく晴れ間が見え、やわらかい暖かさにほっとする季節になりました。
ここ生産組合から国道162号線を京北に向かって車で2〜3分で小野郷へ。
そして大森への分かれ道を入ると道が細くなってきます。少しすると綺麗に刈り込まれた生垣とその中に聳える木々が見えてきます。
生垣に近づいて見ると、もみじ・ひいらぎ・サカキなど幾種もの樹木で構成されていて、また違った趣きがあります。
生垣にそって歩き、正面に回ってみると...
大きな大きな銀杏の木に囲まれてひっそりと鳥居さんが佇んでいました。
岩戸落葉神社(いわとおちばじんじゃ)。イチョウが見ごろを迎えています。とても小さな可愛らしい黄金の葉っぱが石段を埋め尽くして、時折風がさらって行ってはまた積もります。
岩戸落葉神社は、岩戸社と落葉社の二社からなっています。
岩戸社は小野上ノ町の氏神で、御祭神は小野氏が大切にしたことで知られる瀬織津姫(せおりつひめ)はじめ女神の三神。
落葉社は、小野下ノ町の氏神です。祭神は古来、源氏物語に登場する、落葉の宮を祀るといわれています。
巨大な石を真ん中に左側が岩戸社、右側が落葉社です。
それでは恒例の狛犬ちゃんwacthing!
左側が阿・吽の「うん」
右側が「あ」。大きく口を開けています。そしてこのスタイル...尻尾を立ててお尻を突き上げていますよ!
チョット可愛い恥ずかしいこのスタイルは腰を上げて今にも飛びかかろうというポーズで形状分類では「出雲構え獅子」型(crouching style)と言うのだそうです。
社の裏側も岩盤が剥きだしになっています。「岩戸」という名称と何か関係あるのかも知れません。
落葉社は、落葉の宮の隠棲地に因んで創祀されたと伝えられていますが、源氏物語の「小野の山里」を当地としたのは、後世の伝承であって確証はないそうです。
その源氏物語の「落葉の宮」はどのような宮さまなのでしょう...
それではしばし源氏物語の世界へと入ってみましょう。
朱雀天皇の皇女、落葉の宮は、柏木右衛門督(うゑもんのかみ)に嫁ぎましたが、柏木は同宮に心を染めることが出来ず、その妹の女三の宮に恋慕していました。
柏木は女三の宮のことが忘れられず、自分は「落穂を拾った」と嘆いたことから自分の妻につけたニックネームが「落穂の宮」。柏木(呼び捨て!)なんて失礼なヤツなんでしょう...!!
しかし、柏木はほどなく身まかり、傷心の落葉の宮は母とともに「小野の山里」に隠棲します。柏木はこの世を去る前に、親友であった光源氏の子・夕霧に「落葉の宮のことを頼む」と言い残します。今生の別れ、間際に浮かんだのは深く情を重ねることが出来なかった妻だったとは。そして真面目な親友によろしくね、とお願いするとは...柏木、少しはいいところもあったやん♪
間もなく夕霧が訪ねてきて、落葉の宮と親しい仲になっていきます...
実は柏木にはもっとけしからんことがあったり、それに纏わる出来事etc...このくだりは源氏物語 五十四帖の中で第三十六帖「柏木」から第三十七帖「横笛」と続いていきます。
因みにその次の第三十八帖「鈴虫」が現行二千円札の裏に印刷されている絵巻です。
興味のある方は源氏物語に触れてみてはいかがでしょうか?
天に向かって真っすぐに、そして大きく枝を広げている銀杏の木。
傷心を抱えゆかしい暮らしをおくる落葉の宮を見守ってきたの?...そっと幹に耳をあててみても静寂が聴こえてくるだけ。
黄金に舞う小さな扇を愛でながら夕霧のほのかな思慕に思いを馳せるのでした。
お知らせです♪
平成23年11月20日(日)、岩戸落葉神社のイチョウ祭りとライトアップが開催されます。
※午後1時より
【軽食コーナー】
コーヒー、やきいも、鯖寿司、草餅など茶店
【バザーコーナー】
小野郷で収穫された米や野菜、自家製漬物などの特産品、使用されていない贈答品などの即売
※午後5時~8時 ライトアップ
※午後6時~7時 奉納演芸会(和太鼓、合唱など)
日曜日にはこの写真よりもっともっと美しいイチョウが見られるはずです。
ここだけの話...午後5時から先着200名様、おぜんざいが無料でいただけます^^
そうだ!黄金に染まった岩戸落葉神社へ行こう...!
落葉の宮と夕霧がにっこり微笑んで迎えてくれるかも知れません。。