関東方面では大雪、そして毎日のように地震警報や速報が流れ心穏やかに過ごせるのはいつになるのでしょうか?常に情報に耳を傾け、気持ちは備えていたいものです。
備える→準備する→prepare・・・【pre-】接頭語で「前もって、あらかじめ」のようにも使います。
あれれ無理がある?そんな事はありません^^今回は「プレカット」のお話です。
国道162号線を高雄からさらに奥へ5キロほど、中川トンネルの手前、中川に入ってすぐ、高台に茶色の建物が見えます。
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ここは加藤林産株式会社。北山杉の床柱を中心に数寄屋建築材などを植林からプレカット床柱まで一貫して製造している会社です。
北山丸太をプレカット加工している国内有数の企業と聞いていたのでとても興味がありました。ところでプレカットとは?
【プレカット(precut)】
住宅建築における木工事部分について現場施工前に工場などで原材料を切断したり加工を施しておくこと。工期を短縮、産業廃棄物の抑制、大工職人の技量や建築現場の気象条件などのさまざまな不安定要素に左右されることなく、均一な部材を安定して調達できるというメリットがある。
文明や科学が革新されるにつれて人の技術や技量は特別なもの、時間とお金がかかるもの、と思われるようになり、住宅メーカーなどでは家を「建てる」から「組み立てる」感覚になってきたように思います。
その家その家に選ばれた丸太が運ばれ、墨を描き鉋で削り鑿を打つ。本来、床の間は大工さんの腕の見せ所でもあったはずです。
けれど施主の好みに合わせてゆっくりと家を建てることは少なくなり、また床の間の需要も減少して行きました。
それ故に大工職人さんの技術の継承も一部のものとなってしまった。負のスパイラルを生み出してしまったのです。古き良き日本人の心が失われていく悲しい現状。
けれど加藤林産は考えました。「この時代にどうしたら北山杉を使ってもらえるか?」
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複雑な床の間の施工に丸太を持ち込んだところで大工さんは「これをどうせいっちゅうの?」そんな事がなきにしも非ず、という現場。設計図に合わせて床柱がカットしてあったらどんなに施工が楽だろう。それが北山丸太をプレカットするという発想でした。
工場で作業中です。ほとんどカットは終わっていて、仕上げの部分を見せていただきました。
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背中(壁がわ)です。背割りもビシっと入った上にカットされています。
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こちらは柱の上部。まるで木工細工のように見えますが、恐らく床の間の落し掛けにあわせてこんなに細かいカットが機械で出来るのです。
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丸太の太さは一本ずつ違うので、発注される設計図に基づいてコンピューターで管理しています。現代の頭脳と伝統の北山杉との融合の一部です。
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プレカットした丸太に下地材を付けます。
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何と言うことでしょう。ここまで出来ていると、現場ではパコっとはめるだけです。
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丸太と下地材の間に遊びがあるように、ビス留めもガチガチにはしません。このように全てにおいて「現場が作業しやすいように」の心づくしと、その家の床柱としてどうしたら北山丸太が美しく存在するかが考えられているような気がします。
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鋸で端を揃えて切り落として…
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ハイ!出来上がり。 「プレカット」と聞いて機械化と想像していたものとは全然違いました。コンピューターと人が力を合わせて作り上げた床柱です。
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こうして床柱として再びお嫁に行く北山丸太。磨きがお化粧ならプレカットは既に嫁ぎ先の色に染まっている…とでも言いましょうか。
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負のスパイラルから正の方向へ。住宅メーカーではこのプレカットにより床の間の需要が増えました。積極的に営業もできますよね。日本人の心。安らぎの和室と床の間。そして現場の大工職人さんは施工が容易であるとともに、カットされた丸太を見て構造を研究したり勉強にもなっています。
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2階にはたくさんの丸太が待機しています。上質な丸太たちは乾燥も十分。加藤林産はクレームゼロを自負しています。それだけ品質管理にはこだわっているのです。
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きちんと磨きが施されていて5年後、10年後と年月を重ねる毎にその色艶を増していくと言います。
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近年、確かに出荷量が減少している北山丸太。試行錯誤の中で、誰もが絶やしてはならないと思っています。
加藤林産も考えることは常に「どうやったら北山丸太をつこてもらえるか」。
そのためにも良い杉が育たなくては。良い絞りでなければ。価値ある北山丸太でなければ。
加藤林産は信念をもってこれからも進んでいきます。