5 - 財産分与の決め方
(1)協議
まず、財産分与につき、協議(話し合い)を行うことが一般的です。協議をしていく上で重要なのが、財産目録を作ることです。そして、各財産の価額を算出して、分配割合や分配方法を決めていきます。そして、協議離婚の合意書を作成します。
強制執行認諾文言付公正証書を作成することもあります。なぜなら、協議離婚で決めた内容について、一方が履行しない場合に備えて強制執行ができるようにしておけば、債務の履行をしなければならないというプレッシャーなるからです。
もっとも、直接の協議が難しい場合や、財産分与に際して対象となる財産に不動産が含まれている等の場合は、夫婦のみでの協議による解決が難しいかもしれません。その場合には、協議の段階から、弁護士に依頼することで解決に近づく可能性があり、早期に弁護士に相談することもおすすめします。
(2)調停
以上のような協議が決裂した場合には、調停を申し立てる必要があります。また、協議で解決した場合であっても、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しなかったときには、強制執行することができません。相手が合意した内容に従わない場合には、調停などの裁判制度を利用する必要があります。離婚前であれば、離婚調停を、離婚後であれば財産分与調停を申し立てます。そして、調停によって調停調書が得られた場合には、債務の履行を確保することができます。
(3)審判
話し合いがいつまでも平行線をたどり合意ができず調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始され、裁判官が一切の事情を考慮して審判をすることになります。
審判の結果が納得できない場合には、不服の申立て(即時抗告)の手段があります。
6- 財産分与を取り決める際の注意点
(1)共有財産を明らかにする
財産分与の協議は揉めることが多いです。また、いざ離婚を切り出した場合に、共有財産を隠されてしまう場合も考えられます。そのため、証拠となる書類をコピーする等して証拠を保存しておくとよいでしょう。
離婚を切り出す前の段階で、不動産や預金や生命保険等、どのような共有財産があるかを確認しておく必要があります。
(2)財産分与請求できる期限
財産分与の期限は離婚から2年間です(民法768条2項)。この期間制限は「除斥期間」ですので、一定の事由があっても進行が停止したりゼロに戻ること等がありません。
このように、請求できる期限には注意が必要であり、離婚した後に財産分与請求をしたいときは早めに弁護士への相談をおすすめします。
7- 弁護士に依頼するメリット
(1)弁護士に頼むことで納得のできる解決に近づく
離婚をした場合には、夫婦間で感情的になるなど、冷静な話し合いが困難な場合もあります。一方で、離婚の財産分与については、対象財産が何か、価額はいくらなのか等、客観的な資料に基づいて分析する必要があります。そこで、弁護士に依頼することで、財産分与の対象財産の見落としや評価の間違いを防ぎ、公平な財産分与をすることができます。また、紛争開始前から、依頼者様のご状況の確認等をすることで、安心して協議を進めることができるようになります。
(2)弁護士に頼むことでトラブルの長期化を防ぐ
財産分与について、協議や調停で解決できない場合には、審判や裁判に至ることがあります。長期間にわたって書面のやりとりや家庭裁判所への出頭をすることは精神的にも辛いものがあります。早い段階から弁護士に頼むことで、財産分与請求に関して要点をおさえ、交渉ができることから、協議や調停等で公平で迅速な解決に至ることが考えられます。
(3)協議をした後のトラブルを防げる
財産分与については、当事者で協議して解決することになりますが、せっかく協議で解決したように思えても、合意書を検討すると、合意の内容が不明確であったり、債務の履行が確保できていないケースも多々見られます。協議により合意に至った内容を弁護士等の専門家に合意書に整理してもらうことが安心です。
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