♪曲紹介♪ 『セプテンバーセカンド』
ミシェル・ペトルチアーニ
♪曲紹介♪『ブラジリアン・ライク』
ミシェル・ペトルチアーニ
ミシェル・ペトルチアーニ(ピアニスト)
映画「情熱のピアニズム」予告編
フランスの天才ジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニ。彼の情熱的で型破りな人生と、周囲を虜にしてしまうカリスマ的魅力を、彼の演奏シーンや日常を捉えた映像と関係者へのインタビューで明らかにしていく。
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この偉大なジャズ・ピアニストは、若干36歳にしてこの世を去った。しかしその短い生涯も、生後間もなく「20歳位までの命」を宣告されていた彼にとっては、充分に長いものだったのかも知れない。
彼の音楽を聴くと涙が溢れ仕方ないのは、彼の人生が悲惨だったからなどではない。
今は亡き彼が、その音楽を通じて「人生とはどれほど素晴らしいものなのか」を雄弁に語りかけてくるからなのだ。短いと知っている人生を肯定的に受け入れ、最後まで精一杯に生きた、彼の魂の込められた演奏。
その卓越したテクニックと底知れぬ歌心が紡ぎ出すピアノの音からは、彼の背負った地獄のように恐ろしい身体的ハンディキャップや、そこから受けるであろう苦悩など、微塵も感じることがない。
その音はパワフルで、テクニカルで、ポジティブで、美しく、洗練されていて、そして何より優しさとロマンに満ち溢れているのだ。
1962年、フランスのオランジュに生まれたミシェル・ペトルチアーニは先天性の骨疾患を患っていた。骨が正常に発育しないため、成人しても身長は1メートル程度までしか伸びないばかりでなく、内臓や神経が圧迫されるので健康状態を保つことが難しく、様々な二次疾患にかかる危険性があり、いつ消えてしまうか知れない命だった。
そんな状態にありながらもピアノを学び、わずか15歳でプロデビュー、18歳でレコードデビュー。間もなく「天才ピアニスト」としてジャズ界にその名を轟かせる。
一時は自らの不幸を嘆き、自殺未遂を繰り返すという時期もあったようだが、後期にはそんな壁も乗り越え、つねにポジティブな姿勢で生きていたそうだ。僕は1990年の冬に、NYの名門「ヴィレッジ・ヴァンガード」で彼の名演奏を聴くことができます。1999年1月6日。
ミシェルはツアー先のニューヨークで急性肺炎にかかり死去。彼の亡骸は、故郷のフランスで、フレデリック・ショパンの墓の隣に埋葬された。
このことからも、彼が人々からどれほど尊敬され、愛されていたかが伺える。