インドのカタック舞踊☆東京ガラナ

インド古典舞踊「カタックダンス」舞踊家、振付家の前田あつこのブログです。カダムジャパン主宰。atsukathak.com

Ravi Shankar jiの訃報

2012-12-13 | 一言coment
横浜の公演を楽しんだ翌日、九段下のインド大使館へ向かう途中
twitterでRavi Shankar jiの訃報を知る。

いわずと知れたシタールの巨匠。
神様みたいな人っていう表現が過剰ではなくシックリ来る様な
そんな存在感のひと。

私の仲間には、むしろノラ・ジョーンズのパパだよ!って言った方が
分かってもらえるかも知れない。あるいは、今年私たちが何度か踊らせて貰った
「traveler」という曲のアヌシュカ・シャンカールのパパだよと言ったらいいかしら。。。

私が子供の頃からもうずっと巨匠だったから
例えばエアインディア機に乗れば聞けるクラシック音楽のチャンネルには必ず彼のシタールが流れていたり
そう言う感じ。

だから「ええ!」って驚いてしまった。

あと30分したら始まるコンサートの演奏をするシタール奏者ヒンドゥルの事が頭をよぎった。
ラヴィシャンカールの孫弟子に当たる為、彼らはもうこのニュースを耳にしているだろうか?

コンサートはちょっと遅れて始まり、冒頭に彼はひと言いってみんなで黙祷をした。
ヒンドゥルの目は真っ赤に腫れて涙していた。
サンディープとアミットも悲しい顔。そしてモノトーンの衣装に身を包んでいた。

昨夜の華やかなコンサートがまだ脳裏にあったので、そのギャップが全てを物語っていた。

ラヴィ・シャンカールより教わったと言うraagを静かに静かに奏でる。
このツアーでは日本のお客様の為にaalapをひと回しで終わりにしてテンポ良く演奏していただろう彼らだけれど
じんわりと心に響くaalapを涙いっぱいに奏でていた。

どうという事の無い唄いまわしなのに、何故かこちらまで涙が溢れ出して来た。
それは私がラヴィjiのすごいファンだったからでもなんでもなくて
今夜わたしの目の前に居る音楽家たちの気持ちの波動がいっぱい伝わって来たからだった。

どこかでもしkumibenに同じ事が起こったら?と、置き換えている自分も居たかも知れない。
取り乱さずには居られないだろう。

わたしとkumibenの距離でさえそうなのだから、
幼少より慕い、師と学びを乞うて来たひとにとってはもう本当に。。。言いようの無い存在感だろうとそう思う。


楽屋でご挨拶した彼らは、本当は今夜はもうショックすぎて演奏をしたくないといったんだ。と、そう言っていたけれど
わたしはこの夜、彼らの音楽に触れる事ができてとてもありがたかった。

ハグしてi'm sorry...がんばってとしか言いようが無かった。それでも遠く海外にいる疎外感や淋しい気持ちを感じて欲しくはなかった。
ラヴィjiの事など誰も分からない様なところで涙をこらえている訳ではなく(こんな演奏の途中にもお喋りが聞こえたのは残念だった。)
一人でも二人でもささやかな友達が居るものだとそう感じて欲しかった。


グルジが亡くなったと聞いた夜に踊れるものだろうか?
ふとその時の気持ちを想いやった。

親を亡くして尚舞台に立ち続けている歌舞伎役者たちと同じかもね。
えらいこっちゃと思う。。。

ところで、ラヴィjiがダンサーであった時代がある事はこの度のニュースで知った。
ちょっぴり驚きだった!

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/121212/ent12121213580011-n1.htm


最新の画像もっと見る

コメントを投稿