「若い人は、視野が狭い、世界が小さい」
学生の時は、学校が全てだった。
そんな当時の私に、今の私もきっと、もっと世界は広いよと教えてあげることは間違いない。
私が初めて広い世界を少し知ったのは小学生の時。
本を開けば、いつでも自分の知らない世界に入り込むことができた。
休み時間一人でいても、寂しくなかったと言えば嘘になるが、
少なくとも時間の流れを遅く感じることは避けることができた。
次に広い世界を知ったのは、大学1年生のアルバイト。
初めて社会に一歩踏み出した。
一緒に働く仲間は、それぞれ過去に事情を抱えながらも、
やりたいことのために活き活きと働く姿が眩しかった。
彼らは間違いなく、こうなりたいとう私の人生の指標になった。
だからだろうか。大手に正社員で入社することがまるで正しいゴールのようにいう世の中の価値観が、
まるで意味をなさなかった。
次に広い世界に出会ったのは、海外への渡航。
今まで見たことない色使いに、独特な匂い。
日本にはない窓の形、古い建物の連なり。
空の青さまでも見たことのない青々しさに、同じ地球上、同じ空だとは到底思えなかった。
今の私なら知っている。世界の広さを。
それでも私達が一喜一憂するのはこの小さい世界の中。
外の世界から必ず、この世界に戻ってくる。
大きな世界に出ても自分の悩みが小さいだなんて思わない。
だって今私達が生きているのは今ここであり、
大きな世界じゃない。
私達の今はここが全てなんだ。
「若い人は、視野が狭い、世界が小さい」
その言葉は、
失敗してももっと他の世界もあるよってことを言っていることは百も承知である。
だけどそう簡単に他の世界に足を踏み出せるほど超人ではない、凡人である。
この世界が全てだ。
だから一生懸命生きている。
学生の時の私にもう一言声を掛けてあげるなら、
がむしゃらに一生懸命生きろ。
今の私もそうやって生きている。