絲山秋子さんの芥川賞作品を読む。この本には『勤労感謝の日』と『沖で待つ』の二編が納められていた。旬の芥川作品をよむことはあまり無い。いつも決まって少し時間がたってからが多い。だから聞いたことのある名前だなあと思って手に取った。
第一印象、短いって!
でも、不思議と女の仕事感というか、職業観が、妙に納得。
『勤労感謝の日』って、粗筋言うと、行遅れの失業者が近所のしがらみでお見合いをして、あまりの価値観の違いと不細工さに飛び出して、後輩の子を呼んで酒を飲み、家の近くの飲み屋でぐだぐだといい、一日が終わる…という内容。でも、それが妙に面白い。いろんなものに内心で噛み付いて見せる主人公が、自分に似てるかも…と思わせてしまう。
『沖で待つ』も仕事に懸命なOLとその同僚の話。同期入社の男との友情が描かれる。その男の子供が「るか」という名前でびっくりしたな。え、ひょっとしてもうメジャーな名前なの? 私のペンネームは大学の頃から使っているんだけど、普通に、子供につける名前になっているんだろうか。まあ、ひどい名前のオンパレードは前のブログで書いたけど。
異性との友情ってなかなかこれが芽生えにくいように思う。ある程度年取ってきたら、成り立つのかなあ。私も一人だけ、中学校時代からの男友達がいる。でも、多分、それは彼に一度も男性を感じたことがないからかなと思う。いえ、いい意味で。魅力が無いというわけではないけれど、自分の中の、女が騒がないというか……。
登場人物の特に主人公の声に出さない言葉ってのが、うん、うん、なんて、頷いてしまう一冊でした。