外山滋比古さんは、名前はよく聞いてたんですけど、著作をちゃんと読んでなくて、今回初めて読んだんです。それもかなり古い著作。
『日常のことば』という、著作ですが、エッセイ的に書いてますけど、面白いです。
とっても面白かった! 国語を教えていたのに、こんなことに気がつかなかったのか! って思えることがあったりして、私って、本当に無知だったのね……。ちょっぴり淋しさも感じたけど、今更でも知りえて良かったと思いました。
例えば、英語と日本語との根本的な違いについて、わかりやすく解説しています。
知ってました? 英語圏の人が、完全な黙読をするのって、とっても大変な言語なのだそうです。かなり訓練しないと、黙読しようとしても声帯が震えてしまって、半黙読になってしまうんだって。だから、速読できない。
日本人で、黙読できない人なんていないよね。黙読できれば速読もばっちりな言語なんだそうですよ、日本語って。でも、コミュニケーションには向いてなくて、眼は肥えているけど、耳が悪い言語なんだそうです。
どうして、日本語は縦書きがいいのか、っていう話とか、どうして横書きにすんなり移行できたのかとか、英語の縦書きが絶対にできない理由とか……。読んでいて、へえ~、とか、ふ~む、と唸る場面が多かったですよ。
それから、ヒューマー(ユーモアと似ていて非なる)についてもかなり書いてます。
ちょっと引用しますね。
池田弥三郎さんが生まれ育った東京を離れて北陸に住むようになり、親しい友人山本健吉さんに葉書を書いた。
ブリさし、イカさし、さしすせそ
こちらの魚はうまいぞというのである。返書で山本さんは、
タラちり、フグちり、ちりぬるを
とやった。こちらにはこちらでうまいものがあるのに、離れていて残念だというのである。おそらく二人に共通の先輩久保田万太郎の句、
竹馬やいろはにほへとちりぢりに
が本句として背後にあるのであろう。味わい深いヒューマーである。
こういう、感じで知的なウィットに富んだ物言いを、現代の日本人も心がけたら、いいと外山さんは思っているみたい。そうだよね~、きっと、面白い生き方ができそうだなあと、私も思いました。(おこがましく)
日本語が専門だったわりに、私はあまり勉強してなかったなあ~。まあ、今からでも遅くはない。楽しみが増えました。知的探究心ほど、素敵なものはないですよね。ふふふ