田口ランディさんの文章

　おかっしいなあ～。なんでエッセイで泣けるんだ……。

　と思いながら読んでましたよ。田口さんの『できればムカつかずに生きたい』を。私より多分、一個下くらいの年だと思うんですが、少女の頃から悩んできた人で、それを書くことで解消しつつある…とありました。

　２００４年文庫化で読みましたが、書かれたのは２０００年前後かな。

　私は悩みがあるようで、あまり疑問にも思わずにのほほんと生きてきたので、一個の自分と向き合う必要に迫られたってのは、ずいぶん大人になってからだと思うんですよね。

　多分家庭がぬるかったからでしょうね。言い換えれば幸せ？　と、疑うことを知らなかった。私は人の嘘が見抜けないほどに、お間抜けで、馬鹿で、けっこうそれで幼少期はひどいこともも遭ったのだけど、今考えるとひょっとするともの凄くダメージが強い記憶なのに、それほど響いてないと思っていた節があります。

　でも、大人になって記憶を拾うと、これって、もしかすると犯罪？の被害者なんじゃ…と思えることもあって、いやあ、無知で良かったのかもとも思ったりして。こうして息してるしね、ここまで生きてこられたしね。

　すみませんねえ、なんか、オブラートで包んだ言い方をして。ランディさんよりも臆病なので、なかなか語れません。

　ところが、彼女はすぱすぱ自分を切るんですよ。

　彼女の言葉で。

　それが凄いなあと感じた所でしょうか。

　この本を読んで、思ったこと。

　●人との出会いは本当に大切だということ。

　ランディさんは実に多くの人と出会っていらっしゃる。そして、それをとことん大切にしているんですよ。そして、人の負の部分も人の受け売りでなく自分の考えを語る。そこに批判、非難があっても、自分はこういうものの考え方をするんだ、って姿勢がある。

　●自分をさらけ出すという行為は、ある意味、やるべきことかもしれないと思ったこと。

　自分の家族の辛い部分に逃げずに対面している。もちろん、すぐにそういう境地に至ってないことも分かる書き方で。実は私も吐き出したいことけっこうある。その勇気が出ないのですが…。吐き出したらすっきりするかも…って気がしました。

　●人間存在の理由の一つに、触れていることに驚嘆。

　これはなんというか、人間なんてしょうもない生き物だと常々思い続けてきた私の心を揺さぶりましたね。漠とした思いでしたが、どうして、地球にとって鬼子のような人間がここに存在するんだろうと、ここ十数年思い続けて来たんですが、見方を変えることを教えられました。

　ここに引用することもできるのですが、どこかを切り取って受け取るより、やっぱり、本全体を読んでもらったほうが納得するだろうと思うので、書きません。

　そうそう、なんかこういう風に本を紹介するってこと、今までなかったな～。

　誰かに読んでもらいたいって思うってのも新鮮でいい。

　私の読書は小説志向主義的で、あまりこうしたエッセイって読む機会がなかったのだけど、これを機に幅を広げてみようかなあと思いました。

　ブログってエッセイだよね。色んな人の日記を垣間見ることでエッセイにも興味がもてたのかも知れないなあ。

　蛇足　本リストにある『ぼくは勉強ができない』も、この『できれば…』も古本屋で買ってきたんですが、『ぼくは…』はなんと、５６円だったんですよ。ひえ～～～～、でしょ。嬉しいような、悲しいような…。安く手に入ることには喜びがあるんですが、書き手の立場になるとなんとも言いがたい気持ちになりますねえ。ま、図書館で借りればただですがね。