12月議会では、最低賃金を下回るお茶の間カフェのサポーターの時給の是正を求めました。
市が市社会福祉協議会(社協)に委託し実施中の高齢者対象のお茶の間カフェのサポーター(スタッフ)の時給は、今年4月から、それまでの840円から800円に下げられています。
2年前から最賃法違反の疑い
2年前から最賃法違反の疑い
群馬の最低賃金は2019年10月から835円、20年10月から837円、21年10月から865円、22年10月から895円、今年10月から935円。市と市社協は、21年10月以降、最賃法違反を続け、今年4月からさらに最賃法に逆行する賃下げを強行したことになります。
市社協は、お茶の間カフェのサポーターは労働者ではなく、有償ボランティアで労働者ではないから最賃は適用されないと言いますが、その理屈は通用しません。なによりボランティアは、無償であっても有償であっても任意。任意ということは、参加してもしなくても、どちらでもよいのがボランティアということになります。
労働基準監督署は、雇用契約書、労働保険の有無、業務が社協の指揮監督下か、勤務時間が決まっているか、社協による出退勤管理がされているか、勤務場所が決まっているか、業務の依頼を断れるかどうか、などで労働者かどうか、つまり最賃法が適用されるかどうかを判断すると言いいます。
お茶の間カフェでは、サポーターがカフェに参加できる日程を社協に申し出て、社協がシフト表をつくり事前にサポーターに配布していますが、そのシフト表どおりに参加(勤務)しなくてもよいのがボランティアということになります。しかし現実には、シフト表どおりに勤務しなければ、お茶の間カフェは成り立ちません。
これは、事実上、業務を断れないことになります。労働基準監督署は、シフト表が、業務の性質上必要なものなら労働者ではないが、業務の遂行上必要なものなら労働者としています。
シフト表どおりにサポーターがお茶の間カフェに来なければ、カフェの業務は遂行できません。シフト表は、カフェの業務を遂行するために必要なものです。カフェには毎回社協の担当者が来て、利用者の人数とともに、サポーターがシフト表どおりに参加、従事、つまり勤務しているかを確認しています。
これはまさしく、社協が勤務時間と勤務場所を決め、カフェの業務遂行のためにシフト表をつくり、出退勤管理をしているということになります。ということは、サポーターは労働者ということになり、最低賃金法が適用されることになります。
4年前には最賃を超える時給の引き上げ
4年前には最賃を超える時給の引き上げ
実際、群馬の最低賃金が835円になった19年10月には、当時の市の担当課長が必要と判断しお茶の間カフェのスタッフの時給を840円に上げています。最低賃金の時効は3年。市と市社協は21年10月に遡り最賃を下回った不足分を支払わなければなりません。同時に今後も最低賃金を超える時給を支払わなければなりません。
今年の時給カットを説明したお茶の間カフェのリーダー会議では、840円でも安いのに、いくらなんでも800円は安すぎるではないかという声が複数から上がっています。そして、時給が800円まで下がったことで、サポーターをやめてしまった人もいます。
ガソリン高騰下で
しかもカフェ利用者の送迎は1回100円ということもあり、送迎する人がいなくてできないカフェも。スタッフからは、送迎が1回100円という安さに加え、今度は買い物支援の送迎まで1回100円でと言われていることもあり、最賃以下の時給800円も含め、ガソリン高騰の中で無理との声が複数から上がっています。
ガソリン高騰下で
しかもカフェ利用者の送迎は1回100円ということもあり、送迎する人がいなくてできないカフェも。スタッフからは、送迎が1回100円という安さに加え、今度は買い物支援の送迎まで1回100円でと言われていることもあり、最賃以下の時給800円も含め、ガソリン高騰の中で無理との声が複数から上がっています。
だからカフェでは、送迎や買い物支援をやれている地区とやれていない地区があります。市の事業でありながら、地区によって中身が違うのは問題です。そもそも、買い物支援をカフェの利用者に限定しているのは、本来の交通弱者対策とは言えません。
お茶の間カフェは、以前は社協の地域福祉課が担当していましたが、今は同じ社協でも、ふれあい相談員が担当。独り暮らし高齢者の見守り・傾聴活動をしているふれあい相談員にお茶の間カフェを担当させていては、本来業務である高齢者の見守り活動にしわ寄せが出てしまいかねず、そもそも無理があります。
存続が危ぶまれる
存続が危ぶまれる
お茶の間カフェは、去年は9カ所でしたが、今年は市内全地区12カ所で開かれるように。しかし最低賃金を下回っていて、送迎まで1回100円、さらに買い物支援まで1回100円でとなると、スタッフ不足に陥り、カフェの存続も危ぶまれることになりかねません。
質問ではこうした問題を強調し、カフェのスタッフの時給を最低賃金以上に引き上げるよう求めました。しかし市長は、県内他市のお茶の間カフェと同様のカフェのスタッフの時給は、太田市より低いか無償として、引き上げはしないと答弁。これではカフェの存続も危ぶまれ、同時に市の社会的責任が問われます。