太田市9月議会・決算特別委員会の最終日となった9月28日、決算委員として私は、市の2011年度の一般会計、国保、後期高齢医療、介護保険、水道、下水道の各会計決算に対する反対討論を行いました。
なお、住宅新築資金貸付、八王子山墓園、藪塚老人保健施設の各会計決算には賛成しています。
すいません。そう遅くならないうちに、決算委員会での私の質疑や討論、9月議会・最終日となった10月3日の本会議での渋沢ゆきこ議員の反対討論の内容を要約し、見出しをつけて掲載する予定です。
要約して見出しをつけたほうが読みやすいのですが、今回は時間がないので、取り急ぎ、討論の原稿をそのまま掲載します。
私の反対討論は次のとおりです。
日本共産党の水野正己です。
議案第66号、67号、69号、71号、73号、74号、並びに、議案第64号、65号、すなわち、2011年度一般会計、国保会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、水道会計、下水道会計の各決算と、水道事業会計未処分利益剰余金の処分、下水道事業等会計資本剰余金の処分における主な問題点を指摘して、反対討論を行います。
本市の2011年度決算は、2008年秋からの、いわゆるリーマンショックとそれに続く世界同時不況による、急速な景気と雇用の悪化から日本経済が立ち直りきれずにいたところに、東日本大震災という未曾有の大災害と、それに伴う東京電力福島第一原発の爆発事故という、政府と東電による甚大な被害をもたらした人災まで加わった事態のもとで執行されたものです。
東日本大震災は自然災害ですが、福島第一原発の爆発事故とそれによる放射能被害は、根拠のない「安全神話」をふりまき、国民の安全をないがしろにしてきた歴代政府と東電による紛れもない人災であることは明白です。
こうした事態のもとで、政府と東電が、果たすべき責任を果たそうとしない、そうした特殊な状況下で執行されたのが、本市の決算であるといえます。
そこで本市の決算をみると、まず人件費の削減を指摘せざるをえません。
2011年度は、2010年の人勧を完全実施することで、予算段階では正規職員の給与、非正規職員の賃金を合わせて1億6千万円削減し、さらに、職員の持ち家にたいする住居手当の削減まで行われています。
さらに加えて、2011年12月議会では、2011年度中に996人の職員に対して、総額2,200万円の削減まで行われています。
また、本決算委員会での質問では、昨年4月に係長代理に昇任した19人の職員の管理職手当の総額が686万円であるのに対して、それらの職員が前年の2010年に受け取っていた時間外手当、つまり残業代は996万円であったことが明らかになりました。
つまり、係長代理としたことで残業代を支給せずに、昇任前より支払う給与を300万円も削減したということになります。
これでは、給与削減を目的として、労働基準法上、「管理職」とはいえない「名ばかり管理職」を増やしたということになってしまいます。
こうした給料・賃金の削減は、職員の生活設計を大きく狂わせることはもちろんですが、地域経済にも大きな打撃を与えるものとなったことを強く指摘するものです。
さらには、市長は、ケースワーカーは増員を決めていて、保健師は減らさないとしていますが、災害時に市民の安全、なにより命を守ることを考えるなら、職員削減計画を撤回し増員に転じることが、いまほど切実に求められているときはないことも、合わせて指摘するものです。
昨年3月11日の東日本大震災の教訓は、「災害はいつ起こるかわからない」ということです。
現在本市では、被災地に職員を2人派遣していますが、今後新たな大災害が起これば、市長は、人道的見地から、さらに被災地に職員を送るはずです。
そうしているうちに、本市で万一、大災害が起こった場合には、毎年、職員を削減しているもとで、通常業務だけでも大変な状況のなかで、職員が災害から市民の命、安全を守れるかどうかが問われる問題です。
職員削減計画をただちに撤回し、職員増に転じることが、いまほど切実に求められている時はないことを、重ねて強く指摘するものです。
次に総務費では、行政センター管理経費が問題です。
2011年度も、2010年度に続き、行政センターの、休日、夜間の警備員・管理人の配置を廃止したままとなっています。
現在では一定の改善措置も取られてはいますが、依然として、休日・夜間の利用者からは、「事前に受け取った、玄関のドアを開けるための暗証番号を、ともに利用する人たちすべてに、事前に伝えなければならない」という声が寄せられております。
市長は今年3月の休泊行政センターでの予算説明会で、参加者からの要望に答えて、「玄関のドアを鍵で開けられるように改善する」と答えましたが、セキュリティ上の理由から、そうした改善は行われないままとなっています。
昨年から、公民館5館を廃止したことを考えても、市民の多様な文化・サークル活動が、潤いのある市民生活の向上に貢献し、疾病予防、医療費、介護費の節減につながることを考えても、やはり、行政センターへの休日・夜間の管理人・警備員の配置を再開することが求められていることを指摘するものです。
同じ総務費では、デマンドバス――導入2年目となった、おうかがい市バスを含めた、公共交通の重要性を指摘しなければなりません。
導入にともない、2010年3月までの路線バス11路線のうち9路線が廃止されたこと、おうかがい市バスの運行時間が利用ニーズに応えきれなかったこと、予約・申し込みを断らざるを得ない運行体制が続いたことなどを指摘するものです。
今年度からは、路線バスも1路線増やし、おうかがい市バスも一定の改善がされてはいますが、やはり、公共交通を充実するためには、路線バスの充実が重要であることを改めて指摘するものであります。
民生費では、とりわけ、生活保護のケースワーカーの人員不足を指摘するものです。
ケースワーカー1人あたりの生活保護受給世帯は2011年度末で100世帯となり、国の基準である80世帯をはるかに超え、現在でも1人あたり95世帯となっています。
ケースワーカーの残業は慢性化し、夜7時から8時までの残業が常態化していることも、本決算委員会での質問で明らかになっており、必要とする人がすみやかに生活保護を受けられる体制を保障・整備するうえでも、その要となる職員の健康を保障するためにも、必要な人員増を求めるものであります。
衛生費では、東日本大震災に伴う原発の爆発事故による放射能被害に対応するため、他市町村に先がけて、原発避難者の受け入れや放射線量測定、除染の手立てを強めてきたこと、太陽光発電の推進は評価できるものです。
今年10月からは、3回目となる、1キロメートルメッシュでの放射線量測定を実施することも明らかにされてはいますが、放射能被害にたいする市民の不安に応えるためには、なおいっそう、きめ細かな線量測定と測定結果の公表、除染など、体制の充実が求められていることを指摘するものです。
労働費では、国の基金を活用した緊急雇用対策事業の積極的な活用は評価できますが、この事業は6カ月間の雇用に限定され、再雇用はしないとされます。
この事業で雇用された人たちの配置先は、児童館子育て相談事業や保健指導、子どもの教育に関わる分野であり、市単独での雇用の継続が求められることを指摘するものです。
商工費では、ニコモールへの、1億円の、無利子、5年据え置き、20年償還という、破格の貸付がされたことを指摘するものです。
土木費では、住宅リフォーム支援事業を大いに評価したいと思います。
これによって市内の建設関連の中小業者の仕事を増やし、さらに大きな経済効果をあげていることは、すでに明らかになっているとおりです。
また東日本大震災によって、被害を受けた住宅の屋根の修繕に対する補助を、大震災の2日後の13日に決定したのも、この住宅リフォーム支援事業を計画していたからこそ、と言えます。
残念だったのは、この事業の申し込みを昨年8月末で終了したことですが、来年度からの再開の意向も、すでに市長から示されていることは歓迎したいと思います。
教育費では、学校耐震化事業の積極的な推進によって、2011年度末で小中学校の耐震化率が92.7%となったことは、大いに評価できるところです。
しかし、市立太田中学校の建設関連費用が8億8千万円とされることを考えると、一部の特定の子どもたちの教育に、そこまでの税金を投入するなら、他の義務教育学校に通うすべての子どもたちの教育のための予算も、さらにいっそう充実することの重要性を指摘し、少人数授業ではなく、少人数学級の実現を強く求めるものであります。
そして、ここで、財政調整基金について指摘したいと思います。
その残高は本決算年度末で54億円となっており、年度中に4億円以上を積みましたことになります。
これは本市が、まだまだ財政的に強い体力を持っていることを示すものです。
しかし、私が指摘したように、2011年度は、経済危機に加えて東日本大震災や東電福島原発事故、民主党政権による社会保障の改悪によって、市民生活と中小業者、農業経営者の経営に大きな打撃がもたらされたことも考えなくてはなりません。
政府の責任ではありますが、本市の市民の生活と中小業者の経営には、本市もその責任を果たすことが求められていることを指摘しなければなりません。
財政調整基金の残高を考えると、そうした市民や中小業者、農業経営者への手立てが十分ではなかった結果として、財政調整基金を4億円以上積みまして、54億円の残高としたことは、税金の有効な使い方という観点からも、大きな課題を残していることを合わせて指摘するものです。
本決算は全体として、日本共産党として積極的に評価できる施策も含まれてはいますが、政府の相次ぐ増税、負担増から市民生活を守る有効かつ具体的な施策がまだまだ不十分なこと、本市が「貧困と格差」を拡大し、市製ワーキングプアの増加にもつながる正規・非正規職員の賃金削減と、非正規職員、業務委託の増加、正規職員の削減を合わせて進めた結果としての決算となっていることなどを、極めて重大な問題として強く指摘するものです。
次に、国民健康保険特別会計決算ですが、結果として、4億円近い黒字となり、年度中の基金の積み増しは4億円。年度末の基金残高は9億円を越えるものとなりました。
今年度からは、4億円規模の国保税の引き下げも行われましたが、国保税の引き下げは、1年前倒しが可能であったにも関わらず、実行されなかったことを指摘するものです。
同時に保険証の取り上げ、つまり資格者証の発行が、2011年10月1日現在で2,393世帯、国保加入世帯の7%となっており、この割合は、人口が同規模の伊勢崎市の3.7%の2倍近く、県内12市平均の2.8%の2.5倍にもなっていることを考えれば、早期に改善することの重要性を強く指摘するものです。
後期高齢者医療特別会計では、民主党が廃止を先延ばししたことが根本的問題ですが、この制度が続く以上、本市としてどれだけ、高齢者の負担を軽減し、予防医療も含めて必要な医療を保障できるかが問われます。
この点で本市の施策は不十分なものであったと言わざるを得ません。
介護保険特別会計では、本市独自の保険料・利用料の減免は、2011年度の実績で、保険料では3人に7万円ほどの減免。利用料では6人に100万円ほどの減免となっております。
しかし、基金残高が年度末で、まだ8億円を超えていることも考えると、やはり、高齢者の負担の軽減では、大きな課題を残していることを合わせて指摘するものです。
水道事業会計予算では、水道事業の包括民間業務委託の5年目となったことを指摘し、市民のいのちにかかわる水道水を安全に、安定的に継続して供給するという水道事業の性格を考えても、本市による完全な直営に戻すことが必要であることを指摘するものです。
下水道会計では、2010年度からの下水道料金の値上げの2年目となったことを指摘するものです。
最後に、水道事業会計未処分利益剰余金と下水道事業等会計資本剰余金の処分については、それぞれ、ただいま申し上げた理由から、反対する決算を受けてのものであることから、同様に反対するものであることを申しあげるものです。
以上、2011年度の、一般会計、国保会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、水道事業、下水道事業等の各会計決算における、重大かつ主要な問題点を指摘して反対討論を終わります。
9月議会・本会議最終日の10月3日には渋沢ゆきこ議員が、一般会計、国保、後期高齢医療、介護保険、水道、下水道の各会計決算に対する反対討論を行っています。
渋沢議員の本会議での反対討論は近日中に掲載する予定です。
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