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前回はデータが正しく保存されて、管理されているか？と言うの
が問題でしたが、その前に、そもそもその得られたデータは正し
いのかと言う問題があります。
どういうことかと言うと、例えば実験の時に良くあることですが
データが安定して取れない場合があります。多くは実験の工夫
（こう言うときにもアイデアが役に立ちます）によって改良でき
る場合が多いのですが、安定しないまま測定データとして結果を
まとめてしまうことがあります。
また、実験するときの条件も、この条件は考慮に入れたが、あの
条件は入れなかった、と言う場合もあります。例えば電子回路の
実験で、温度条件は考慮したが、部品特性のバラツキは考慮せず
今手元にある部品だけで、実験を行ったなどは良くある事です。
こういうデータで結論を下せば、製品が市場に出てから問題が発
覚すると言う事も起こり得ます。
また、他人から得た情報やデータを、その素性や背景を確認しな
いまま流用してしまう問題もあります。例えば、入手した情報が
事実であったとしても、全体の一部であったり、条件が付いてい
たりと真実でないことは良くあります。
この点については「ニュースの報道」に似ています。ニュースは
基本的に事実を（そうでない国や報道機関もありますが）報道し
ます。しかし事実から全体が正しく把握できるとは限りません。
最近のニュースにタイトルが
「がん治療費自己負担、年１０１万円」
内容は概略、
「調査は２００４～０９年、がん治療を行う約５０医療機関の患
者約６６００人（平均６３歳）に、領収書や家計簿を見ながら
支出額を記入してもらった。
その結果、医療機関で支払う治療費に、健康食品や民間療法な
どに使った費用も含めると、自己負担額は１人年間１０１万円。
高額療養費制度や民間医療保険などの利用による償還・給付額
は平均で年間６３万円で、それを差し引いても年４０万円近い
出費になる。
中には、経済的な理由で治療を変更・断念した患者も３％程度
いた。」
というものがありました。
普通に解釈すれば、多くの場合、がんに掛かった場合、年４０万
円あれば良いのか？と考えます。決して低い金額ではありません
が、月にすれば３万円少しで、全く余裕の無い場合は額に関係な
く大変ですが、それ以外は少し工夫したり、親戚等を巻き込めば
なんとか成ると思える額です。
しかし、実際に経験した者から見ると、単純に平均するとこうな
のかと思ってしまいます。詳細は長くなるので省きますが、発見
率も高くなり、患者数そのものが多くなり、短期治療で終わる人
も多い中、本当に治療が必要な人にとっては、こんな額では済ま
ないと言う事実もあります。
３ヶ月の治療で終わっても１年治療が掛かっても平均されるとき
は年間の治療費になります。１年治療が続いたら、と言う事とは
別です。調査の全員が１年治療が掛かったとは思えませんし、治
療を続けたら、と言う条件でデータを加工したとも思えません。
どちらも事実ですが、年間の費用が治療に１年を要したものであ
るとは限らないのです。報道ではそのことが明らかにされていま
せん。実際の調査では分かっているのかもしれませんが、最初に
ニュースとして伝わるときには一部しか伝わっていないので、こ
れだけが伝えられると誤解されやすくなります。
データや情報は最初が肝心です。得られたデータや情報は一度、
その奥や正当性を考えてみると品質は確実に向上します。是非試
して見てはいかがでしょうか？
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