産業再生革命材料レアアースの脱中国依存へ、南鳥島沖の水深6000m海底から採掘技術開発に着手した。 政府は、小笠原諸島・南鳥島沖の水深6000メートルの海底で確認されているレアアース泥の採掘に乗り出す。来年度に採掘法の確立に向けた技術開発に着手し、5年以内の試掘を目指す。電子機器の生産に不可欠なレアアース(希土類)の国内調達を実現し、中国からの輸入への依存脱却を図る。2022年度第2次補正予算案にも、関連経費を盛り込む方向だ。
複数の政府関係者が明らかにした。レアアース泥は、レアアースを豊富に含む泥で、12年に同島沖の排他的経済水域(EEZ)の海底でも確認された。 同島沖の埋蔵量は国内消費量の数百年分相当と推計される。
採掘には内閣府の事業で今年8~9月、茨城県沖で試験が成功した世界初の技術を用いる。試験では海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」が深さ2470メートルの海底まで「揚泥管」を伸ばし、ポンプで1日約70トンの泥を吸い上げることができた。来年度以降、深海に対応するためにポンプの強化や揚泥管の延長などを進め、1日350トンの採掘を目指す。
現在はほぼ全量を輸入に頼っており、6割は中国から輸入している。中国では鉱山などで採掘している。政府は経済安全保障推進法に基づき、国が供給確保に関与する「特定重要物資」にレアアースも指定する方針だと。
※レアアースは、スカンジウムやイットリウムなど17種類の元素の総称。