「間葉系幹細胞」を培養、静脈注射しただけで劇的改善
研究成果を発表したのは札幌医科大学 医学部附属 フロンティア医学研究所神経再生医療学部門の本望修教授らの研究グループ。研究グループでは脊髄損傷の患者13人に対し、患者自身の体から取り出し培養した「間葉系幹細胞」を静脈から注射し、症状の推移と副作用など安全性を観察した。
「間葉系幹細胞」とは、骨髄や脂肪組織のなかに存在する種類の細胞のひとつで、細胞分裂して増殖する能力が非常に高く、かつ、神経や筋肉、脂肪、骨などど様々な組織に分化する能力を持っている。人工的に分化する能力を与えたiPS細胞や、受精卵から取り出すES細胞ほど分化する能力はないが生成・培養が容易で、遺伝子操作も伴わないため安全性が高いとされ、再生医療の鍵になるものとして期待されている。
研究グループが発表した論文では、21歳から66歳までの男女13人の患者に対し、それぞれの骨髄から取り出した幹細胞を培養したあと、骨髄に直接注入するのではなく、静脈から注入した。観察期間は6ヵ月だったが、その間に症状に何らかの改善がみられたのは12人。そのうちほとんどは大幅な改善といえるもので、特に首から下が麻痺し寝たきり状態だった患者2人に関しては、装具の助けを得ながらの食事、車椅子の運転、タブレット操作ができるようになるなど劇的な改善がみられたという。また13人全員について、問題となる副作用はなかった。
今後、大規模な臨床実験でさらに有効性を確認することが重要だとしている。
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