韓国・仁川(インチョン)で開催されたアジア大会でカメラを盗んだとして略式起訴され、日本選手団から追放された競泳男子平泳ぎの冨田尚弥選手(25)が6日、名古屋市内で弁明記者会見を開き、「盗み行為はやっていない」「見知らぬ人物からカメラをバッグに入れられた」などと主張したことについて、韓国の警察当局は「偽りの主張」などと反論した。複数の韓国メディアが報じた。
冨田選手の事件を捜査した仁川南部警察署関係者は、韓国メディアの取材に対し、「CCTVの動画に体育服を着た男性が、カメラの本体とレンズを分離して自分のカバンに入れる場面があった」とし、「大会組織委員会側から日本選手団の服装であることを確認した後、日本選手団関係者たちに動画を見せたところ、日本オリンピック委員会役員である柳谷直哉氏が、動画の中の人物が冨田であるとすぐに特定した」と説明した。
この関係者は、「柳谷氏が同行する中で、水泳競技場で応援中だった冨田選手を廊下に呼び出したし、柳谷氏が『カメラを持っていったのか』と尋ねたところ、冨田はすぐに『そうだ』と認めた」といい、「冨田選手が(警察調査の時)『カメラを見た瞬間、欲しくなった』という話を明確にした」とも主張している。
さらに、「冨田選手は最初から疑惑を認めた。容疑否認は偽りの主張」としながら、「冨田選手を(容疑者として)特定した時から警察での陳述が終わる時まで同行した柳谷直哉氏が口を開いて真実を明らかにしなければならない」と話した。
カメラの模型を示し会見する冨田(中)右は国田弁護士
カメラの模型を示し会見する冨田(中)右は国田弁護士
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冨田の代理人を務める国田武二郎弁護士は、無実である4つの理由を挙げ説明した。
まず最初に挙げたのは動機。「冨田選手はあの会場でカメラを盗む動機があったのか?彼はカメラの知識がなく動機がない」とキッパリ。続く第2の理由は場所。「メーンプールのプールサイドという人目につきやすいところで、監視カメラもあると知っていた。そういうところで日本の代表である彼があえてリスクを冒して盗むだろうか?」。
第3の理由はカメラの大きさ。「小さいカメラだったら考えられるかもしれないがあんな大きなカメラを盗むということは果たしてありえるだろうか?」。冨田が盗んだとされるカメラは1キロ超で片手では余るほどの大きさだ。
第4の理由は証拠の映像がないこと。「彼が本当に盗んだというなら、韓国の警察は盗んだシーンを見せて納得させるべきだが、それがないのは不自然。水連や日本人で決定的なシーンを見た者もいない」。韓国警察は決定的な映像を持っているという説もあるが、国田弁護士が確認した範囲ではそうした映像を見た人間はいないという。
また、韓国警察が犯行時間としている午前10時48分は、冨田が松田丈志と雑談していたというアリバイがあるとも主張。ただし韓国警察の主張が午前11時48分に変わっているという報道もある。
こうした理由を元に、韓国警察の捜査について「最初から結論ありきだったのではないか」と批判した。