いよいよ明日が第3戦 今日本では 運命論とか お気楽な コロンビア負けてくれる論が はびこっています。
また 『自分たちのサッカー』という不思議な言葉 いつから日本代表は 天下無敵に なったのか? 相手は すべて 日本より 各上 攻撃だけしていりゃ いいなんて 誰が 言い始めたのだろう?
敵をもっと研究して 弱点を見つけ出し そう オランダでさえ スペイン戦では 自分のスタイルを 捨てた。 明日は 日本らしい=つまり 勝ち抜く 粘り強い サッカーを してほいい。
2試合を終えて勝ち点1。この現状に選手たちは「予想外」とコメントしている。しかし、本当に予想外だったのだろうか。この苦戦は既に大会前のコメントから感じ取れていた。
2014年06月24日
text by 海老沢純一
大会前から「このチームで戦えたことは幸せだった」
昨今の日本スポーツ界は世界の舞台で目覚ましい活躍を見せている。なでしこジャパンは2011年のW杯で初優勝という偉業を成し遂げ、翌年の2012年ロンドン五輪では銀メダルを獲得する成果を残した。
野球に目を向けてみると、2013年こそ敗れたものの06年、09年のWBCで大会連覇という快挙を達成した。
さらに、ロンドン五輪の団体競技では男子体操団体、競泳男子400mメドレーリレー、フェンシング男子フルーレ団体、卓球女子団体が銀メダルを獲得。さらに、競泳女子400mメドレーリレー、アーチェリー女子団体、女子バレーボールが銅メダルを獲得する活躍を見せた。
そして、彼ら彼女たちが口を揃えて発言する言葉が「このチームで戦えたことは幸せだった」「1試合でも多くみんなと試合がしたかった」といったものだ。
当然、試合を観ている我々にもチームの一体感や熱い思いが伝わってくる最高のチームだっただけに、この言葉は心の底から出てきたものだと分かるし、その感動がより一層高まる要素の一つとなっている。
そして、このコメントにもう一つ共通する点といえば、もちろん「素晴らしい結果を出した後に発せられたもの」と言うことだ。
しかし、どういう訳かブラジルW杯に臨むザックジャパンの選手たちからもこの言葉が飛び出していた。
たしかに、4年という歳月を経てこの大会のためにチームを作り上げ、そして厳しい選考を勝ち残った選手たちだけにブラジルの地を踏んだ際には感慨深いものがあったのだろう。
しかし、まだ本番が始まっておらず、何も成し遂げてはいない状況でこの言葉を耳にしたことには驚きを隠せなかった。
もしかすると、他競技の選手たちが発する“名言”に憧れを抱いたのかも知れない。北嶋康介が発する言葉、イチローが発する言葉はたしかにカッコいい。しかし、それは同時に結果を残したから説得力が生まれるのだ。
結果を残す以前に大会すら始まっていない選手がこの言葉を使えば、その裏には「結果がどうあれ満足」という意味が付随してしまうだろう。そう言った意味では、ザックジャパンは戦う前から満足し、闘争心を持っていなかったということになる。
そして、そのような心理で臨んだ初戦の後には「“自分たちのサッカー”を表現出来なかった」というコメントが日本中を駆け巡った。
今回のチームは世界の厳しい予選を勝ち抜いた強豪ぞろいの大会に挑みながら、相手のことを全く見ずに自分たちのことのみを考えていたのだろうか。
実際に、コートジボワール戦後にもギリシャ戦後にも日本側から相手を讃える意見はあまり聞こえてこない。自分たちの長所を完璧に潰された相手、1人が退場しながら勝ち点1をもぎとられた相手に対してだ。
そればかりか、選手からは前述の「“自分たちのサッカー”が…」や、コートジボワール戦後にはあろうことか「スカウティングとは違っていた」という発言まで飛び出す始末だった。
ヤヤ・トゥーレやジェルビーニョ、サロモン・カルー、そしてディディエ・ドログバといった誰もが知っている選手たちを擁するチームが「スカウティングとは違う」というのは言い訳にもならない。
しかも、コートジボワールが2014年に入って対戦したベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、エルサルバドルは日本とは選手も戦い方も違うチームだ。ゲームプランに関してはスカウティングと違って当然と言えるだろう。
逆に、日本は“自分たちのサッカー”を貫くために、どのチームと対戦しても同じ戦い方で臨んでいる。相手を苦しめるためのゲームプランを持っておらず、対戦相手にとっては対策を練りやすい簡単な相手だったはずだ。
対戦相手に合わせず、ポゼッションという一貫した哲学で戦い続けるチームなど世界のトップ・オブ・トップの一部のみだ。そして、そのポッゼッションの“頂点”スペインも今大会は完璧な対策を練ってきたオランダ、チリに完敗を喫して早々に大会を去った。
オランダという強豪でさえも伝統的な3トップの哲学を捨て、欧州予選終了後から5バック・2トップというシステムを導入して本大会に備えたのだ。
W杯という世界最高峰の舞台で挑戦者としての立場で結果を残すためには、徹底的に相手を研究し組み合わせが決まった時点で様々なシミュレーションを行い、相手の長所を潰すことが必須ということだ。
それどころか、日本はその“相手の長所を潰すサッカー”を実行して過去最高の結果を残した2010年南アフリカW杯のチームについて「あのサッカーで勝っても嬉しくない。成長はない」とコメントする選手もいた。
守備的とは言え、カメルーンを1-0で下し、オランダに0-1と善戦し、デンマーク戦では3-1と快勝して日本中を熱狂の渦に巻き込んだチームに対してだ。
あの大会があったからこそ、長友佑都はセリエAへの扉を開き、本田圭佑は市場価値を上げたのではないだろうか(それによってCSKAモスクワから移籍しにくくなったのは皮肉だが)。
しかし、そんな中で唯一警鐘を鳴らしていた選手がいる。内田篤人だ。
内田は、ギリシャ戦に向けた練習後の取材に対して「“自分たちのサッカー”が出来れば勝てると思うのか、相手がやらせてくれないレベルだと思うのかは人それぞれ。W杯で勝つのが目標なのか、自分たちのサッカーが出来れば良いのか」と語った。
さらに、「引くのが悪いって思われたくない。そう言う時間帯は必ずあるし、前からボールを取りにいく時間帯もある。試合中に選手が考えて、それを表現できるのも力かなと思う。それが試合前に分かればいいんだけどね。全部思い通りに行くわけではないし、相手もいることだから」と心境を述べている。
この内田のコメントは、「“自分たちのサッカー”を表現出来なかった」という言葉が溢れる中で、唯一日本代表の現状を的確に伝えているものだろう。
それでもまだ、わずかながらでも決勝トーナメント進出の可能性が残されたのは幸運と言える。そして、コロンビア戦に向けて求められるのは「気持ちの切り替え」ではなく「心の入れ替え」だ。
ザッケローニ監督には、出来ない理想を追求するのを止めてコロンビアを徹底的に分析し、長所を潰すゲームプランを期待したい。選手たちはゲームプランを完璧に実行して、チャレンジャーとして全力で相手に立ち向かう姿勢を見せてほしい。
【了】