「本焚き」作業は、長年の経験と勘がないと進めることは出来そうもありません。
特に、最初の「火入れ」と最後の「火止め」は経験が大事になります。
「火入れ」は「あぶり」とは異なり、窯口に「そだ木」を縦に積んで火をつけます。
これは炎の勢いを強くして、窯の中に火を回すためです。
火が十分に回ったかどうかを確認するために、窯口の空気取り入れ口の面積を何度か変えて、窯の中の火力を調整するのに一日火の番が必要となります。
火力の確認は、煙突から出てくる煙の色を見て行います。
当初は白色の煙が立ち昇りますが、炭が焼き上がるに従って紫煙となり、ついには透明に近くなります。

「本焚き」初期の煙は白色

窯口の空気取り入れの様子
約9日目頃間では毎日煙の色を確認して完成度をチェックしますが、煙が透明に近くなると「いつ火を止めるべきか?」と頻繁にチェックすることになります。
最終的な判断は、「煙の色」と「窯中の煙突上部の木酢液の乾燥度合い」に加えて、「煙突内部温度の測定」によって判断します。
「煙突内部の温度測定」は、割箸の先端につけたマッチ棒が10秒以下で点火すれば窯の中の温度が十分に上がっていると判断できます。
この段階で、煙突を取り除きその排気口を塞ぎ、窯口の空気取り入れ口を塞ぐことで「本焚き」作業が完了します。

煙突内部の温度測定の様子
ノウハウ
(1)窯口の火付け材は「そだ木」を縦積みにして炎を高くする
(2)作業完了チェックは煙突内部の温度をマッチで測定する