2000年8月29日 「三宅島の子供たちへ」 阿久悠
家を離れ 学校を離れた
三宅島の少年たちよ 少女たちよ
新しい環境の中で
どうか タフに過してほしい
野太く 楽天的に
明るさと強さを探してほしい
淋しいのはあたりまえ
不便も当然のこと
緊張も体を縛ってくるだろうが
そもそも相手が地球なのだから
地球的タフさを示してほしい
地球を相手のたたかいには
人の心の結束が何よりだと
この機会に真先に覚えてほしい
泣きたい一年生がいたら
二年生が親になろう
馴染めない三年生がいたら
四年生が寄り添う
一人でどうにもならないことがあったら
大勢で考えよう
そして 少し落ち着いてきたら
人間は一人ではない
一人では生きられないし
一人だけ幸福でもつまらないし
助けて貰ったり 役にたったり
そういうことの繋がりだと
学習することにしよう
この夏 日本でいちばん気の毒な
家を離れ 学校を離れた
三宅島の少年少女たちが
何年かあとになって
いちばん貴重な体験をした
選ばれた子供になれるように
タフに タフに やさしく やさしく
集団の生活をものにしよう
人を語ること 人を理解すること
人を愛することを知る
最高の子供になる機会にしよう
時たま私がかえっていく詩。読んでは勇気をもらう詩。
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