この点は重要です。なぜなら、文学修士課程のカリキュラムには科学研究の重要な要素が含まれており、このカリキュラムは教会によって直接支援されていたからです。マイケル・シャンクは次のように述べています。
中世の教会が科学を阻止または抑圧しようとしたのなら、大学を容認し、ましてや支援したことは、間違いなくとんでもない間違いだった。この新しい機関において、ギリシャ・アラビアの科学と医学は初めて恒久的な居場所を見つけ、それは今日まで科学に受け継がれている。数十の大学が、ユークリッド幾何学、光学、生殖と再生の問題、天文学の基礎、地球球体論などを多数の学生に紹介した。これは第一級の文化現象であり、数十万人の学生の教養あるエリート層に影響を与えた。[23]
このカリキュラムの文化的影響は強調しすぎることはないが、教会はこの現象に深く関わっていた。
芸術のカリキュラムは、もともと三分学と四分学を中心としていた。三分学は文法、修辞学、論理学から成り、四分学は算術、幾何学、天文学、音楽から成っていた。やがて、アリストテレスや他のギリシャ・アラビアの学者の著作も導入された。特に、道徳哲学（または倫理学）と形而上学の研究が重要になった。さらに、近代科学の先駆けである自然哲学も中心となった。実際、神学者にとって、物理学を含む論理学と自然哲学は不可欠と考えられていた。[24]
これは、グラントが科学の発展の前提条件として挙げたもう一つの要素、つまり自然哲学者でもある神学者の階級へと私たちを導きます。彼はこう言います。
科学革命の前提条件は、神学者-自然哲学者の階級の出現であった。つまり、神学の訓練を受けただけでなく、修士号またはそれに相当する学位を取得し、したがってその分野で徹底的に訓練された人々の階級である。彼らの重要性は過大評価できない。大学の神学者がアリストテレスの学問を信仰にとって危険であるとして反対することを決定していたなら、それがヨーロッパの大学の研究の中心になることはなかっただろう。彼らは世俗的な芸術のカリキュラムを支持しただけでなく、自然哲学が神学の適切な解明に不可欠であると信じていた。彼らは自然哲学と科学の両方に重要な貢献をし、そのほとんどはこれらの主題について講義または執筆を行った。実際、中世の科学と数学における最も注目すべき業績のいくつかは神学者によってもたらされた。[25]
グラントは、自然哲学と自然科学の研究に対するこの教会の支援は、当時の他の社会では正確には類似するものがなかったと主張している。例えば、イスラムの科学者はいたが、彼らはカトリックのキリスト教ヨーロッパの科学者と同じレベルの宗教指導者からの支援を受けていなかった。したがって、グラントは次のように主張している。
先ほど述べた3つの前提条件、つまり翻訳、大学、神学者と自然哲学者は、科学の研究に適した環境を提供したため、近代科学の出現の基盤を築きました。...そして神学者と教会の支援がなければ、中世の大学は、西ヨーロッパの科学的思考と問題への長く途切れることのない関与の始まりとなった科学-論理-自然哲学のカリキュラムを制定することはできなかったでしょう。[26]
これらの考察から、中世の教会が大学の発展と、そのカリキュラムにおける数学と自然科学の中心的な役割を通じて、近代科学の発展の基盤を提供したことは明らかです。教会はまた、科学の進歩に対してかなりの資金援助も行いました。ジョン・ハイルブロンの言葉を借りれば、「ローマカトリック教会は、6世紀以上にわたって、他のどの機関よりも、そしておそらくすべての機関よりも、天文学の研究に多くの資金的および社会的支援を与えてきました。」[27]マイケル・シャンクは、「ハイルブロンの論点は、天文学をはるかに超えて一般化できる」と付け加えています。[28]教会とその高官は、新進の科学者の主なパトロンであり、科学的知識を前進させる彼らの仕事を促進し、資金的に支援しました。
科学の歴史は、教会が常に科学を高貴で価値ある試みとみなし、科学的研究を推進してきたことを示しています。教会は組織的にも財政的にも科学教育を支援してきました。この組織的支援と、上で概説した重要な概念的見解は、今日私たちが知っている近代科学の出現に直接関係していました。
