生活保護は生活困窮者を救う最後の砦であり、申請は国民に付与された権利です。しかしながら、現実に生活保護を申請して受け取るのは並大抵のことではありません。その理由は、生活保護の支給をできるだけ減らすため、申請を諦めるよう誘導されてしまうケースがあるからです。生活保護は住所がなくても申請することができますが、住所がない人は申請できないなどと言われ、追い返されるケースが報告されています。もっとも大きいのは扶養照会であると言われています。これは生活保護申請者の親族に対して援助できるか問い合わせを行うものですが、親族に生活困窮状態を知られたくない人はたくさんいます。一部ではこの扶養照会を悪用して申請を諦めさせるケースがあるようです。経済的に厳しい状況にある人は、親族との関係も良好ではないことが多いですし、最悪の場合、虐待を受けている可能性もありますから、扶養照会は重大な人権侵害を引き起こすリスクがあります。このため先進諸外国では生活保護が申請されたことを親族に通知するということは基本的に行われていません。
定額給付金であれ生活保護であれ、結局は一般会計からの支出ですから財政的には何も変わりません。生活保護への一本化は現実的にはあまり意味のない方針と考えてよいでしょう。