アルミニウムはアルツハイマー病の原因ではないかと疑われている。
アルミニウムは地球で最も多い金属で、多少なりとも、どこの川の水にも含まれているのですが、アルミニウム濃度の濃い川の流域では、神経の病気が多いことが古くから指摘されていました。水中に溶けたアルミニウムは体内に吸収されやすい形となり、脳に達しやすく毒性も強いと言われています。そして飲料水のアルミニウム含量の多い地域にアルツハイマー病が多いと言う疫学的調査結果があり、アルミニウムと痴呆との関係が疑われているのですが、これには異論もあります。
一方、ネズミの実験では、アルミニウムが脳に貯まると痴呆になることが分かっています。あるいは、以前に慢性腎不全で透析を受けていた患者さんに痴呆が起こり問題になったことがありますが、これは透析脳症として知られているのです。その原因は透析液の中に含まれていたアルミニウムで、このアルミニウムが体に貯まるためであることが、後に分かりました。これがアルミニウムと痴呆症の関連が疑われるきっかけになったのです。最近では、透析に際してアルミニウムの排泄を促す薬が使用されるようになり、その心配はなくなりましたが、いずれにしてもアルミニウムが認知症を引き起こすことには疑う余地がありません。但し、アルミ鍋を用いての調理物、あるいはアルミ缶中の飲料水やビールなどに含まれるアルミニウムの濃度は認知症の症状を引き起こすほど濃い訳ではないことから、これらのアルミニウムが実際にアルツハイマー病の原因となっているのかどうかについては、否定的な意見もあります。
なお、アメリカの大学病院などで、アルツハイマー病の患者にアルミニウムを減らす薬を飲んでもらう研究も実際に行われています。
認知症にも動脈硬化が悪い