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循環論 マルクス 労働価値

循環論法に陥っていた有名な事例として、マルクスの主張した「労働価値説」がある。この説が循環論法に陥っているという問題点は、ベーム=バヴェルク(1851-1914)によって指摘された。具体的に言うと、マルクスは『資本論』の第1巻で『商品の価格は投下労働量で定まる』と主張していたのだが、同書の第3巻1 - 3篇では『商品価格は商品の生産コストである「費用価格」に「平均利潤」を加えた「生産価格」で決まる』(結局、商品の価格は市場の需給で決まる)と主張しており、循環論法に陥っていた。ベーム=バヴェルクは単純労働と専門的労働の双方に必要とされる平均労働時間と商品価値がどのような関係にあるかを研究していたのだが、その中で、マルクスの主張した労働価値説が循環論法に陥っていることに気付き、論文「マルクスとその体系の終結」においてそれを指摘したのであった。
また ケインズの利子論について「将来における利子率の上昇や低下の予想が現在の利子率を決めるという循環論法に陥っている可能性がある」といったことをロバートソンは述べた[5]。
グローバル経済でドルが基軸通貨として使われていることに関して、「人々がドルを貿易などに使うのは、ドルで米国のものを買うためではなく、“取引相手がドルなら受け取るから”という理由からであり、“他国がドルを基軸として使うから、自国もドルを基軸として使う”という循環論法によっている[6]」と言われることもある。


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