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2024浜名湖アートクラフトフェア

2024-11-11 22:17:50 | 日記

 18回目を迎えた今年のアート・クラフトフェアは、2日間とも気温が28℃と好天というよりほぼ真夏日の中で開催されました。全国各地から348人の作家さんが参加、例年より初出店が多いように感じました。クラフト大賞は静岡県の奥山硝子工房さんのガラスのプレート「紺青星空」でした。ブルーのガラスに銀を混ぜ焼成すると、その成分だけが残ることでキラキラが現れるそうです。制作には3日間かかるとのこと。(下の氷のように見えるのは展示台です。)

 準大賞は静岡県のLeather Kakeiさんの「革のたいやき」。本物と見まごうようなたい焼きは思わず笑顔になります。その他にも「今革焼き」や「小籠包」など、ユーモア溢れる作品群は大人気で常に人だかりができていました。

 奨励賞は3組あります。1人目はこれも静岡県のマノミホIRON ART FACTORYさんの「リュウグウノツカイ」。いくつものパーツに別れた鉄を叩いて繋ぎ合わせた作品ですが、特に型は無いそうで、裏表を調節しながら合わせるのが大変だったとのこと。マノミホさんは、静岡文化芸術大学の卒業生で、卒業後も地元で鉄を使った創作活動を続けてみえ、駅近くの商業施設内には彼女の作品を展示するスペースもあります。2人目は石川県から参加のJiu Glassさん。電気炉を用いて制作するガラス工芸技法「キルンワーク」によるガラスのインテリア小物です。繊細な柄が何十にも重なって、独特の透明感と奥行感を出しています。3人目は愛知県のneedle works monchiさん。羊毛フェルトによる希少なカブトムシの標本です。思わず二度見するほどの出来栄えで、標本にしたセンスに脱帽です。他にもリアルな幼虫や、様々な動物の作品が並び、とても楽しいブースでした。

 今回とても嬉しかったことがあります。私は「もしかしたらムサ美の卒業生が出展しているかも?」と思い、毎回ムサ美の校友会のTシャツを着て行く(!)のですが、会場を歩いていたら、小走りに近寄って来た方から「ムサ美の卒業生の方ですか?」と初めて声を掛けられました。神奈川県在住で陶磁作品を制作されているOさんです。通信の卒業生とのことで、副業を兼ねた趣味として、波や水をイメージした水色~青系の小皿やカップ、花器等を制作され、各地のクラフトフェアやマルシェへ精力的に出品されてみえます。皆さんもムサ美Tシャツを着たオヤジを見たら、ぜひ声を掛けて下さいね!


卒業生訪問 その3

2024-10-28 13:26:00 | 日記

[ムサ美校友会 静岡支部 卒業生訪問企画 その3]

「高須英輔造形デザイン室」主宰 高須英輔様(熱海市)油絵科  訪問日:2024年9月14日 

 猛暑の9月14日、熱海市網代にある高須英輔(たかすひでほ)氏のアトリエを訪問しました。高須氏は、建築意匠デザインを手がけながらレリーフ、屋外彫刻・モニュメント碑等コミッションワークを数多く手がけてみえ、今なお次から次へと創作に励んでおられます。相模灘を望む小高い丘の上の瀟洒な住宅兼アトリエは、とても居心地が良く、室内には氏の作品も展示してあって、さながら小さな個人美術館のようでした。参加メンバーは私と事務局の亀山さん、前回OB訪問させて頂いた鳥羽漆芸の鳥羽さんの3名でした。

 高須氏は1946年生まれで70年油絵科卒。70年安保の真っ只中だったため、大学での寝泊まりも何度か経験されたとのこと。卒業後、アシスタントを務めていた彫刻家井上武吉さんのアトリエを見て「油絵じゃなく立体をやらなきゃ!」と思い立ち、30歳でデザイナーとして独立。以後、彫刻から建築と幅広く活動の場を拡げることとなりました。

 86年より取り組む代表的なシリーズ「蘇生組積」は「一つの善が二つの善に。それが無限に広がって限りなく善にあふれて世界になってほしい」という氏の平和に対する願いがこもった作品群です。初めての大仕事はキャピタル東急ホテルで、以後ANAインターコンチネンタル石垣リゾートをはじめ、パブリックアートにスタンスを置きながら、ホテル、マンション等の展示物を数多く手掛けられました。また、展覧会やエキジビションへの出展は数知れません。2010年より、ライフワークとして古材を使用した「輾てん轉 -TEN TEN DEN-」プロジェクトをスタートされました。

 元々建築のご経験があるため、クライアントや施工会社とコミュニケーションを取りながら仕事を進めるスタイルは「とてもやり易い」と評判のようです。計画段階で必ず模型を作って確認されるということですが、奥様によると、あまりにも模型に凝り過ぎて赤字になってしまうこともあったとか!ちなみに、奥様は以前ギャラリーのキュレーターをされてみえましたが、中々ご主人の作品は展示してもらえなかったとのこと。たまたま設計依頼を受けて制作した階段の模型を見て初めて「これなら展示してあげる!」となったそうです。これが後の階段彫刻シリーズへと繋がって行きます。

 ガレージを改造したアトリエには、制作中の作品や過去の作品が並び、雑然としながらも整理整頓され、とても使い勝手がよさそうでした。奥の倉庫には、杉やケヤキなどの様々な古材や流木が出番を待っています。作品制作の際は愛用のナタを振るって木を割るとのことで、それが健康の秘訣かもしれません。

 訪問する直前の今年8月までは、玉川高島屋の大型壁面作品制作で忙しい日々を送られており、相変わらず精力的に活動されています。(来年8月末まで展示。添付写真最下段をご参照下さい。)

【訪問を終えて】

 お会いする前は「芸術家だけに気難しい方かもしれないな」と少しドキドキしながらお邪魔したのですが、予想に反してとても気さくな方でした。これだけの実績を残されているのに、何より全く偉ぶったところがなく、初対面の我々にもカジュアルに接して下さいました。奥様もとても楽しい方で、高須先生をしっかり支えてみえるご様子が窺えました。終了後、奥様も交え親睦会を行い、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。

 

【略歴】

1983年より空間デザイナーとして建築関係の空間づくりに携わりながら彫刻・彫刻的家具(漆)を発表。
1995年より階段をテーマとした彫刻作品の発表をはじめる。
2003年に作品集「57の階段彫刻」が加藤義夫芸術計画室より出版にいたる。
2010年より旧建築・古材使用し、持ち主の「おもい」と共にアート作品への再生する、「輾てん轉 -TEN TEN DEN-」プロジェクトを本格的にライフワークとしてスタートする。

詳細プロフィールと作品写真は下記HPよりご確認下さい。

高須英輔 HIDEHO TAKASU (earthvision.jp)


校友会定期総会参加レポート

2024-07-07 16:34:47 | 日記

 梅雨の真っ只中ですが、いかがお過ごしでしょうか?雨が降らない日は夏日となるので、どちらも過ごしにくいことに変わりありませんね。

 6/29(土)14:30より、市ヶ谷キャンパスにおいて標記総会が開催されました。私は総会への対面での参加も市ヶ谷キャンパス訪問も初めての体験でした。建物1Fには無印良品のショップとカフェが、2Fにはギャラリーが開放されています。

 総会は32道府県と中国華東支部及び各学科支部より代表が集まり、高い出席率に驚きました。対面で参加されなかった地域もほとんどがオンライン参加でした。校友会萩原会長挨拶の後、議案についての説明、議決報告と続き、最後に樺山学長、長澤理事長より大学近況報告があって約1時間15分で終了。その後、休憩を挟んでグループワークに移りました。静岡県は山梨県、滋賀県と一緒のグループとなり、それぞれの活動状況や問題点等について情報交換を行いました。両県とも作品発表会を年1回開催しており、特に山梨県は毎年50人程の参加者があるそうです。最後に各グループより、トピックスを発表し終了しましたが、どこも若い世代へいかにアピールするかで苦労しているようです。

 18:00より、近くのホテルに場所を移しての懇親会(有料)がありました。長澤理事長による乾杯のあと、立食パーティー形式で歓談、卒業生によるマジックショーやバンド演奏もあり、とてもアットホームで賑やかな会でした。さらに中華料理屋で二次会がありましたが、残念ながら私は都合により失礼させて頂きました。今回、初めて対面で参加させて頂いて、改めて校友会の絆の強さを感じました。市ヶ谷キャンパスは1~2F はいつでも入れますので、お近くへお出掛けの節は是非お立ち寄りください。


2023 浜名湖アートクラフトフェア

2023-10-20 16:07:09 | 日記

 9月16日(土)17日(日)の両日、「浜名湖アート・クラフトフェア」が開催されました。静岡支部イベントとして17日に会場の浜名湖ガーデンパークへ行ってきましたので報告します。昨年は台風のため初日で店じまいするブースも少なくなかったのですが、今年は2日間とも猛暑に見舞われる中、全国から327人の作家さんが参加しました。会場には、金工、木工、ガラス、革工芸、テキスタイル等様々なクラフトのお店がいつも以上に多く並び、初日は地元ラジオ局による会場からの生中継もありました。私の大学も4年振りに出展したため、スタッフとして参加しましたが、コロナ禍での中止が響き予算の確保ができなかったため、これまでの鋳造体験より大幅に規模を縮小し、助手4人と学生ボランティア5人による親子での金属ストロー制作体験を行いました。今年の大賞は埼玉県の金文具2-10-6さんのボールペンでした。真鍮や銅を鍛金加工し表面に細工を施したペンをメインに制作されています。なんと今年の春までは公務員で、初出品とのことです!受賞作品以外にも、個性的な作品が多く、益々レベルが高くなっているようにみえました。来年は是非お出掛け下さい!

 

会場風景

 

 

大賞:金文具2-10-6 かなぶんぐにじゅうろく(埼玉県) 真鍮を鍛金加工し、模様を蝋付けしたボールペン                     

   

 

準大賞:Sugiyamamayumi(長野県)             奨励賞:都製作所(群馬県)

草木染した糸を織った生地によるパッチワークバッグ         陶芸によるチョイ悪な動物達

  

 

奨励賞:TAKOSUKE(静岡県)                奨励賞:杜のうつわ(岡山県)

ステンレスによるファンタジックなオブジェ           画家が作る世界に一つだけの器

  

 

出展風景                           出展風景

  

 

出展風景                           静岡支部参加者

  


卒業生訪問 その2

2023-09-01 15:44:51 | 日記

【ムサ美校友会 静岡支部 卒業生訪問企画 その2】

 「鳥羽漆芸」主宰 鳥羽俊行様(静岡市)工芸工業デザイン学科      訪問日:2023年7月8日

 

卒業生訪問企画第2回は、静岡市駿河区で「鳥羽漆芸」を主宰されている鳥羽俊行さんです。

【プロフィール】

・「静岡の地場産業・伝統産業」の一つである「駿河漆器」に属し、現在、静岡漆器工業協同組合代表理事。

・「鳥羽漆芸」の屋号で「金剛石目塗(こんごういしめぬり)」と言う独自の漆器を制作。

・「3代目 鳥羽硬忍(とばこうにん)」として静岡県指定無形文化財の保持者に認定。

・独自に開発した「うるしのグラスシリーズ:うるしのワイングラス」は、静岡県の「グッドデザインしずお  か」で県知事賞(大賞)を獲得。

高校生の時、父親から「これから先はデザインが必要だから美大へ行くのはどうだ。」と言われ、東京芸大の漆工科を目指して東京の予備校で浪人するも、併願していた武蔵野美大へ入学。工デでは、木工を専攻しながら、時々芸大へも遊びに行ったそうです。父親からは特に強制されなかったそうですが、既に稼業を継ぐつもりだったため、友達からはその環境を羨ましがられたとか。

【漆とは?】

漆は漆の木から出る樹脂を含んだ樹液で、縄文時代に大陸から渡来した。国内で使う漆の95%は中国産、国内産は岩手や茨城が産地だが、その価格は10倍!文化庁は国宝や重要文化財の修理に国内産を使うよう奨励している。静岡市も「漆の里構想」を掲げ植樹を行っているが、漆を採取できるまでに10年はかかる。漆は120°~140°で硬化するため、鉄には焼き付けるが、木には温度を上げられないため、酵素の働きを使って湿度を上げることで硬化させる方法を採る。漆はかぶれるが、10人中1人はかぶれて全く仕事に向かず、8人は被れるが次第に症状が軽くなり、もう1人は全くかぶれないそうである。

漆の弱点は紫外線と高温であるため、建物の外に塗ると半年足らずで艶が無くなってくる。徳川幕府は威厳を示すため、日光や静岡で傷んだ箇所の修復を重ねながらその美しさを維持した。

【駿河漆器の歴史】

駿河漆器は、元々3代将軍家光が浅間神社を建てる時、全国から集めた職人達が、その後も静岡の温暖な気候を気に入って住み着いたことから始まったとのこと。江戸から明治にかけて幕府や政府の保護を受け清水港から輸出、パリ万博にも出品された。当時、有田焼と駿河漆器が2大外貨獲得商品であったが、漆器は大量生産したくても急ぎ仕事ができないため、工期短縮を理由に下地を飛ばし、木に柿渋を塗るという手抜き仕事が行われた。そのため、乾燥した気候の欧州で木が伸縮し表面の漆塗装が剥離してしまい、駿河漆器は信用を無くしてしまった。その後反省を基に復興したが、輪島塗のような統一した工程は特に無く、事業者それぞれが努力して独自のやり方を継承している。従って「〇〇塗」という種類が色々ある。昭和初期には、雛道具の需要が多く150軒以上に復活したが、現在は組合加盟は6事業所のみとなった。中には後継者のいない一人親方と言う事業所もあるが、これは漆に限らず静岡伝統産業全てに共通の悩みである。

【漆のワイングラス誕生】

作る側だけでなく、買う側、使う側も後継者がいなくなってきた。新な顧客を開拓するため、約20年前の赤ワインブームをきっかけに、何とかガラスと漆を融合できないかと模索。試行錯誤を繰り返した結果、「ガラス+接着剤+金箔+漆」という独自の工法を発見。漆器は素材のイメージとして温かみがあるため、お椀など冬に使うイメージが強いが、ガラスに塗ることで夏も売れる商品ができるのでは?と考えた。考えることは皆同じで全国で同時発生的にガラス製品が出始めた。今では、静岡駅構内や六本木ヒルズ等で様々なグラスを販売。特に外国人観光客の人気商品となっている。

【訪問を終えて】

静岡駅から歩いて約8分の住宅街に、鳥羽漆芸さんのショールームと工房がありました。モダンな店内に入ると、伝統的な漆器とともに様々な種類のグラスが迎えてくれます。どれも美しく思わず手に取って眺めたくなります。日本の伝統工芸でありながら実用的でもあり、これなら外国人観光客に人気なのも頷けます。お会いする前は職人と言う気難しいイメージを勝手に想像していましたが、とても物腰の柔らかな優しい方でした。HPの「漆職人からの話」を見て戴ければ分かりますが、話がとても分かり易く感心させられました。また「大量生産前は、伝統産業はその時代の先端産業だった」「伝統産業はSDGsである」という言葉はとても新鮮でした。これまでは、布や挽物と言った伝統産業同士のコラボが多かったのですが、現代産業であるガラスに続き、白を表現するために陶磁器とのコラボを考えているとのことでした。さらに今後はレーザー加工機や3Dプリンターを使った新商品も開発したいそうです。伝統を受け継ぎながら、常に新しいことへチャレンジする精神を忘れない点に、生き残りの秘訣があるように思いました。既に4代目となる息子さんが一緒に働いてみえるとのこと。これからも鳥羽漆芸さんから生み出される新時代の駿河漆器が楽しみです。       

うるしの ワイングラス鳥羽漆芸 (toba-japan.com) (←漆職人からの話を是非ご覧下さい!)

 

ショールームと鳥羽さん               静岡駅構内駿府楽市にて

金剛石目塗 乾漆花瓶(砂を使った鳥羽漆芸ならではの工法) 店内

店内                        塗る前の椀の断面。部位によって厚さが変化。

刷毛断面(女性の直毛を漆で固めて作る。       金箔(本場である金沢から取り寄せる。)

今や刷毛職人は全国で1~2人!。)          西洋と東洋では「金色」のイメージが異なる。

職人さんの作業机(塗り)              刷毛の数々

職人さんの作業机(研ぎ)               工房

静岡炭(研ぐと平滑面ができる。昔は静岡が産地    湿度を保ちながら乾燥させるための室(むろ)。

だったが今は北陸で焼いている。材料は日本油桐。)  庫内に直接水を撒いて湿度調整。 

保管中の生漆                    漆と砂の混合物(乾漆花瓶の厚みとなる材料)

制作中のワイングラス                金剛石目塗工程見本

初代が昭和28年の式年遷宮の際、三種の神器の一つである「鏡」を入れる箱の塗りを担当。その時の工程見本

が板の裏側に記録されている。

                    (文責 服部守悦)